臨床活動
 長崎大学病院における手術件数は年間約9,700症例と全国トップクラスの実績です。そのうち約6,700症例の全身麻酔,脊髄くも膜下・硬膜外麻酔のすべてを麻酔科で管理しています。当院の外科領域各科はアクティビティーが高く、小手術から高難度手術まで、未熟児・新生児から100歳前後の高齢者まで、予定・緊急を問わずに幅広く対応しています。心臓大血管手術は年間300例近くで、全国でも珍しい小開胸での僧帽弁形成手術や補助人工心臓植え込み術も行っています。臓器移植手術はそれぞれ年間約20例の肝移植や腎移植に加え、高い管理能力を要する肺移植も行っています。このような症例の麻酔経験を通して、あらゆる疾患や病態に対応できる麻酔科医として成長する機会が得られます。
 麻酔科医は「全身管理のスペシャリスト」という理念の基に、病態生理の理解を臨床に繋げる教育を行い、根拠に基づいた診療を実践して、患者のみならず各診療科からの信頼や納得を目指しています。麻酔管理に求める質は「手術が無事に終わればよい」ではなく、「周術期を通して患者が安楽にいられる」であり、マニュアルに盲従することなく個々の患者に合わせた最適な管理を行っています。また、麻酔科各部門には専従医が24時間管理し診断・治療まで行うclosed ICUや、専従医が診療を行うペインクリニック、緩和ケアなどの部門があり、各部門の専門家から手術麻酔とは違う視点の意見が聞けるため、広い視野で麻酔管理を行うことができます。
 「全身管理のスペシャリスト」と一言でいうのは簡単ですが、生体メカニズムの全てを理解し、その上であらゆる病態に対して、あらゆる患者に対して、最適な対処が出来るようになるのは非常に難しいことです。しかしわれわれはその高みを目指して、日々診療を行っています。麻酔科専門医を目指す方だけでなく、われわれが目指す全身管理を別の分野で生かしたい方、現在他分野を専攻しているが少しだけでも全身管理を学びたい方、どうぞ遠慮なくご連絡ください。マニュアル医療ではなく、病態生理を理解した論理的思考に基づき、個々の症例に合わせた最善の医療を実践できる医師になりたい方は、ぜひ長崎大学麻酔科でわれわれと共に頑張りましょう。
手術麻酔