研究活動
期日:2013年11月1日~3日  報告者:医員 髙松渥子

 11月1~3日に石川県金沢市で開催された第33回日本臨床麻酔学会に参加してきました。
日本臨床麻酔学会は、全身麻酔から区域麻酔と様々な麻酔法について、また心臓・産科・小児などあらゆる分野について、さらに術前評価・術中管理・術後鎮痛と周術期の様々なテーマを取り上げる規模の大きな学会です。症例発表によるポスター発表が可能ですので、若手にとっては発表のチャンスがある学会です。日本臨床麻酔学会は、一昨年は沖縄、昨年は福島と全国各地で開催されているイメージでしたが、北陸で開催されるのは今回が初めてだったそうです。初めての地ということもあってか、長崎大学麻酔科からも大勢の先生方が参加されました。
我々は朝長崎を出発し、福岡から約1時間半のフライトと1時間の高速バスで夕方に金沢市内に到着しました。金沢はNHKの大河ドラマ「利家とまつ」(結構前ですが…)で有名な前田利家が居城(尾山城)とした土地です。利家が加賀藩の原型をつくり、加賀百万石の城下町として金沢は大変繁栄したそうです。観光地として有名な兼六園(写真①)やひがし茶屋街(写真②・③・④)で歴史や秋の風景を楽しんだり、金沢21世紀美術館(写真⑤)で前衛的な(?)アートに浸ったり(ちょっとよくわからないものもたくさんありましたが…)、学会の合間も非常に楽しく滞在できました。

 
写真①:兼六園。この日は年に1度の“雪吊り”を設置する日だったようで、カメラを持った人がたくさんいらっしゃいました。左奥に見える木の番傘の骨のようなものが雪吊りです。(光の加減で見えにくいかもしれませんが)   写真②:ひがし茶屋街。この日は小雨で、夕暮れ時になると濡れた石畳がお茶屋さんの灯りを映してとてもきれいでした。

 
写真③:ひがし茶屋の“志摩”というお茶屋さん。1820年に建てられたそうです。お茶屋さんは通常“一見さんはお断り”なのですが、こちらは重要文化財で一般公開されています。   写真④:お茶屋さんの窓辺で黄昏ている稲富先生。芸妓さん気分? 部屋の壁は輪島塗の漆器を彷彿とさせる艶やかな朱色で、別世界へ誘われます。

 また、海の幸や加賀野菜と食事も大変おいしかったです。学会でしっかり勉強した後は、みんなで集まって飲み会をして楽しいひと時を過ごしました。(写真⑥)当時、佐世保にいらっしゃった原田弥生先生や、山口にいらっしゃる田中絵里子先生とも久しぶりに再会でき、近況を報告しあったりと懐かしい時間を過ごしました。

 
写真⑤:加賀友禅がモチーフの体験型アート。この椅子に座ると、ゆっくりお庭が眺められます。この美術館はお気に入りで、学会終了後に通いました。   写真⑥:到着した日はみんなで回転寿司へ。長崎では見たことないお魚もいっぱいで、すごくおいしかったです。研修医の先生方もたくさん参加してくれました。

 さて、前置きが長くなりましたが、私の今学会の参加目的は“術中冠攣縮による心停止をきたした縦隔腫瘍摘出術の一症例”のポスター発表をすることでした。(写真:⑦⑧)私の他に、柴田伊津子先生、矢野倫太郎先生、酒井亜輝子先生、原田弥生先生、研修医の小柳幸先生、貞松茉莉先生と多数の先生方が発表されました。
私の発表は最終日でしたので、少し緊張した状態で学会の日程を過ごしました。当日はたくさんの先生方が応援に来てくださり、心強かったです。質疑応答はしどろもどろになった部分もありましたが、なんとか無事に終えることができました。発表前は「ああ、ついにここまで来てしまった~、もっと勉強すればよかった。」とかなり不安だったのですが、学会発表が終わると、解放感と気分の高揚で「次こそ質問にもバンバン答えて、もっと素晴らしい発表をしてやるっっ!!」とモチベーションが上がりました。
尚、この症例は学会誌に投稿するために、準備を進めています。

 
写真⑦:発表中の私。原教授の厳しくも温かい目が光ります(>_<)   写真⑧:発表終了後。これから遊びに行くぞ~。

 ポスター発表だけでなく、リフレッシャーコースもいろんなテーマのものがあり、当日参加も可能でしたのでいくつか参加することができました。また “専門医が伝えるプロの技”では、心臓麻酔や小児麻酔を専門とする先生方のお話が聞けました。心臓麻酔ではTEEのポイントや大血管手術の麻酔管理、小児麻酔では最新の考え方や新生児の術前評価のポイントなど、日常の臨床に役立つものが多く非常に有意義な時間を過ごしました。
 最後になりましたが、お忙しい中、発表をご指導してくださった原先生をはじめとする諸先生方に厚く御礼申し上げます。学会発表という貴重な経験をさせて頂きありがとうございました。この学会で得た知識と経験を、プレゼンテーションを含めた今度の業務に生かしていきたいと思います。