ごあいさつ

 この度、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科先進予防医学講座に地域医療学分野が新設され、平成24年7月1日付で本分野を担当することになりました。これまで担当してきた離島・へき地医療学講座を兼務していますので、引き続き離島の医療にかかわりながら、地域医療の向上に資するよう、教育と研究、そして診療支援に取り組んでまいりたいと考えております。
 全国的に高齢化が進行し、医療に対するニーズが高度化・多様化する中、医療者には医療の質的向上と安心安全の期待に応えるとともに、患者のライフスタイルや個人的価値観を尊重した医療・ケアを提供することが求められています。地域医療の現場はこうした問題に直面しており、患者中心の全人的医療を実践できる医師の養成や地域医療に関する研究が大きな社会的要請となっています。
 近年、医学部入学定員の増員や地域枠制度の拡充など、地域医療の充実に向けた取組が急ピッチで進んでいます。これに合わせて、医学教育モデル・コア・カリキュラムの改訂や日本医学教育学会からの提言など、地域医療に関する教育を充実させる動きが活発化しており、こうした背景の中、全国の医学部・医科大学では地域医療教育に力を入れるようになってきました。
 長崎大学医学部では、こうした全国の動きに先立ち、平成16年5月に長崎県と五島市の寄附講座「離島・へき地医療学講座」を開講し、長崎県離島での地域医療教育に取り組んできました。この取組は、徐々に教育フィールドと対象を広げ、今では大学と学部を超えた地域包括医療の一貫教育へと発展しています。さらに、平成24年度からは大学病院周辺の地域中核病院において臨床実習を開始しました。離島で展開する地域包括医療教育と本土で展開する地域中核病院教育の二重の地域医療教育プログラムを進めています。
 離島という環境は、医療サービスを提供する上では不利な条件となりますが、逆に地域医療に関する研究を行うには適した場ではないかと考えています。動脈硬化に関する研究や地域医療情報の共有化に関する研究など、平成16年に離島・へき地医療学講座が主体となって始めた研究の成果が少しずつ現れてきています。そこで、地域医療学分野としては、離島・へき地医療学講座や他の関連講座、そして自治体などと連携しながら主に地域疫学研究や地域医療情報に関する研究を推進していきたいと考えています。
 地域医療に興味を持つ学生や若い医師は決して少なくありません。地域医療学分野は、地域医療に関する教育と研究を推進し、地域医療の面白さとやり甲斐を伝えることで、地域医療を支える人材を育成していきたいと考えています。そして、地域診療を支援し、地域医療の活性化に貢献するよう努力してまいります。皆様のご支援とご協力をよろしくお願いいたします。

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療科学専攻
先進予防医学共同専攻 地域医療学分野
教授 前田 隆浩
前田隆浩教授
地域医療学分野 教授
前田 隆浩