長崎大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚病態学分野・長崎大学病院皮膚科・アレルギー科

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎について

アトピー性皮膚炎とは

 アトピー性皮膚炎は、増悪・寛解を繰り返す、痒みのある湿疹を主病変とする疾患です。アトピー素因(家族内のアレルギー発症、あるいはIgE抗体を産生しやすい体質)も関与します。皮膚炎は左右対称に生じることが多く、その分布には年齢ごとの特徴があります。例えば乳児期は口の周り、体全体、足の甲といった部位に好発し、徐々に4歳頃くらいには頸部、肘・膝の屈曲面などに出現します。思春期、成人以降には頭頸部、前胸部上背部、上腕外側、下腿が主体となります。多くの場合、痒みが皮膚炎に先行し、掻いているうちに左右対称性の皮疹を生じます。痒みの対策が重要になります。

治療の方針

 悪化因子対策、スキンケア、薬物療法が治療の3本柱になります。悪化因子では血液検査やアレルゲンの検査をはじめ、当院の特色として発汗機能の評価を行い、治療効果の評価につなげております。
当診療科におけるアトピー性皮膚炎治療
次のような短期・中期目標と長期目標の達成に向けて治療を行っております。
短期・中期目標
炎症や痒みを速やかに抑えるための治療により
・湿疹が治っている、もしくは軽い。
・皮膚を掻かないでいられる
長期目標
・日常生活に支障がなく、スキンケアや悪化因子対策のみで皮膚を良い状態に保てている。
炎症や痒みをすみやかに抑えるための治療療
抗炎症外用薬
・ステロイド外用薬
・タクロリムス軟膏(プロトピック®軟膏)
・デルコシチニブ軟膏(コレクチム®軟膏)
外用療法で改善が乏しい場合
・シクロスポリン(ネオーラル®):免疫を抑える飲み薬です。
・デュピルマブ(デュピクセント®):注射薬です。炎症と痒みの原因物質であるインターロイキン4を中和する抗体が含まれています。
・バリシチニブ(オルミエント®):内服薬です。炎症や痒みの信号伝達にかかわるJAKを阻害します。
代替治療
紫外線治療: 皮膚の炎症や痒みを抑える効果があります。紫外線(ultraviolet: UVと略します)は比較的長い波長のUVAと波長の短いUVBを用います。UVBはさらにブロードバンド(いろいろな波長のUVBを含む)とナローバンド(308-311nm(ナノメートル)の波長のみ)、エキシマライトに分けられます。当院ではUVAとナローバンドUVB、エキシマライトの治療を受けることができます。 治療の選択や回数は症状に応じてご提案しています。
補助的治療
抗ヒスタミン薬、漢方治療などの補助療法もご提案しています。
ページのトップへ戻る