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長崎大学の現況:長崎大学産婦人科から皆さんへ
長崎県における腹腔鏡手術の取り組み
 腹腔鏡手術は産婦人科から始まりました。実際に内視鏡手術として実施された症例は、1960年代のドイツの婦人科医Semmによる虫垂切除が最初とされています。その後、1987年にフランスのMouretによって世界で初めて腹腔鏡下に胆嚢摘出が行われています。以来、外科において腹腔鏡下胆嚢摘出術が普及し、我が国では1990年春に最初の胆嚢摘出が行われています。
 長崎大学産婦人科では、それより前の1982年に、現教授(増﨑)によって第1例目の腹腔鏡が行われています(写真1)。
写真1:長崎大学初期の腹腔鏡(1982年)
写真1 長崎大学初期の腹腔鏡(1982年)

 その後、次第に各地で腹腔鏡が行われるようになり、1992年に内視鏡下手術が保険に収載されました。その後は、全国に急速に普及しました。

 腹腔鏡手術は侵襲が小さい低侵襲手術(minimal invasive surgery)の代表です。術後は早期歩行が可能で、術後の疼痛も少なく2,3日で退院できます。
 ただ婦人科領域で腹腔鏡手術が普及したとはいえ、未だ特定の施設においてのみ行われているのが現状です。長崎県では大学病院以外では、済生会病院と佐世保市立総合病院において正式の認定医による手術が行われています。現在のところ、良性疾患に対してはほぼすべての例が腹腔鏡手術で対応可能です。図1は大学での良性疾患に対する手術のうち、腹腔鏡手術の占める割合です。2006年の43%が、最近は70%程度を占めるまでに増加しています。
図1:良性疾患手術のうち腹腔鏡手術が占める割合(長崎大学)
図1 良性疾患手術のうち腹腔鏡手術が占める割合(長崎大学)

 2013年9月に「子宮体癌に対する腹腔鏡下子宮体がん根治手術」が大学病院臨床研究倫理委員会の審査を通過したので、今後は先進医療として、子宮がんの患者さんについても腹腔鏡手術の恩恵を広めていきたいと思っています。

 日本産科婦人科内視鏡学会においては、「技術認定制度」が2002年8月より施行されました。これは内視鏡下手術に携わる医師の技術と知識を評価し、内視鏡下手術を安全かつ円滑に施行する者を認定し、婦人科領域における内視鏡下手術の発展と普及を目的としたもので、内視鏡手術を100例以上経験すること、内視鏡に関する学会発表が筆頭演者として5題以上あること、内視鏡に関する論文が5題以上あること(1題は筆頭著者)など、かなり取得の難しいものです。当教室には技術認定医が3名在籍していますが、その他、長崎県内の産婦人科では、当教室の関連病院である済生会長崎病院と佐世保市立総合病院に「内視鏡学会技術認定医」が在籍しており、高度な内視鏡手術研修を受けることができます。なお2013年11月からは健康保険諫早病院に大学から認定医を派遣するようになりました(写真2)。
写真2:現在の腹腔鏡手術
写真2 現在の腹腔鏡手術

 今後は、県内すべての関連病院に技術認定医を配置し、どの病院に勤務しても腹腔鏡手術の技術習得ができるようなシステムを作り上げていきたいと考えています。「腹腔鏡技術認定医」を目指す学生・研修医、あるいはすでに産婦人科医である先生にも懇切な指導を行いますので、希望のある方は長崎大学産婦人科の門を気楽にたたいてください。
(文責 平木宏一)