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長崎大学の現況:長崎大学産婦人科から皆さんへ
産婦人科領域の遺伝医療に対する長崎大学産婦人科の取り組み
 長崎大学病院産婦人科は、日本医学会の認定を受けて、平成25年4月より全国15施設の一つとして“母体血を用いた胎児染色体検査(以下NIPT: non-invasive prenatal diagnosis)”を開始しました。私どもは必ずしも出生前診断を推進しているわけではありませんが、悩みを抱える多くの妊婦に対応しうる数少ない施設の一つとして、その使命を果たすためにNIPTに関する遺伝カウンセリングと検査の実施を決めました。これまで約60組の夫婦に遺伝カウンセリングを行い、その約10%の夫婦がNIPTを受けないという選択をされています。これは、出生前診断に於いて、専門職による検査前の遺伝カウンセリングが如何に重要であるかということを表しています。

 日本産科婦人科学会の「出生前に行われる検査および診断に関する見解」によると、出生前診断は十分な専門知識を持った医師により実施され、加えて適切な遺伝カウンセリング体制が必要であるとされています。遺伝カウンセリングは、遺伝医学の基礎的・臨床的知識のある専門職が行うことになっています。日本における遺伝医学の専門職として、日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会・臨床遺伝専門医と認定遺伝カウンセラーがあります。また、出生前診断の検査法には、染色体検査や遺伝子検査に加えて、産婦人科医が日常診療で使用する超音波検査などの画像検査も含まれます。したがって、胎児診断は遺伝医療と密接に関連しますので、周産母子センターのような高度医療施設で行う出生前診断には、産婦人科専門医かつ臨床遺伝専門医であるだけではなく、日本超音波医学会・超音波専門医の資格も必要だと私どもは考えています。最近の産婦人科医療においては、とりわけ習慣流産や着床前診断では生殖遺伝の専門知識(日本生殖医学会・生殖医療専門医)、卵巣がん・子宮体がんでは遺伝性腫瘍の専門知識(日本婦人科腫瘍学会・婦人科腫瘍専門医)も必要とされるようになりました。これからは、胎児形態異常、不妊症あるいは婦人科腫瘍の診断と治療に加えて、遺伝学的検査の必要性を適切に判断し説明する能力も求められることになります。

 長崎大学病院産婦人科では、産婦人科専門医に加えて、臨床遺伝専門医、超音波専門医、生殖医療専門医、婦人科腫瘍専門医、日本周産期新生児医学会・周産期(母体・胎児)専門医および女性医学専門医が遺伝医療に携わる理想的な診療体制とそれらすべての専門医取得のための教育システムを整備しています。また、産婦人科の一般診療には臨床技能の修得がもちろん必要不可欠ですが、さらに高い見識を持って医療を提供しうる医師を目指すには研究者としての視点も重要だと私どもは考えています。長崎大学産婦人科では、NIPTなど出生前診断に関する研究にも取り組み、平成24年度は平成20年度入局の若手医師2名が大学院を4年間で修了し学位を取得しました。出生前診断に関して、このように充実した遺伝医療を提供し教育しうる施設は、長崎県では唯一、おそらく日本でも数施設です。長崎大学産婦人科には将来の産婦人科医としての可能性を大きくしてくれる環境があります。産婦人科に興味を抱いている皆さん、長崎大学で共に頑張りましょう!!

 日常診療で妊婦からNIPTについて相談を受けた場合には、紹介状は不要ですので、妊婦さんに長崎大学病院遺伝カウンセリング室(TEL:095-819-7548)まで連絡させて下さい。その他の相談(羊水検査などの出生前診断、胎児形態異常、生殖遺伝、遺伝性腫瘍など)については、専門医による適切な診断とカウンセリングを行いますので、長崎大学産婦人科外来へご紹介下さい。
(文責:三浦清徳)