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専門医取得までの道のり
⑨ マンモグラフィ読影認定医
増崎 雅子
乳癌検診について

 近年、日本人女性のがんの罹患率トップは乳がんです。人口10万対93人、生涯罹患率は15人に一人と言われます。年間死亡数も12000人を超え、部位別死亡者数では大腸、肺、胃に次いで第4位です。また、乳がんの特徴として若年に発症する傾向があり罹患のピークは40代後半から50代前半にあります。「お母さん」と呼ばれる年代の人たちが、乳がんになって亡くなることが多いため、別名マザーキラーとも言われます。しかし、罹患率トップ、死亡率4位であることからもわかるように乳がんは早期発見が可能な癌でもあります。このため乳がんの治療を考えるときに「検診」は大変重要なファクターになってきます。1997年に日本乳癌検診学会が中心となり関連6学会(乳癌検診学会、日本乳癌学会、日本産婦人科学会日本医学放射線学会、日本放射線技術学会、日本医学物理学会)から推薦された委員によってマンモグラフィ検診精度管理中央委員会(以下、精中委と略)が設立されました。マンモグラフィによる乳がん検診を行うにはこの委員会が主催する(または共催する)マンモグラフィ読影講習会、試験を受けて評価AまたはB以上をとる必要があります。全国にマンモグラフィ読影認定医は10000人を超えますが、まだまだ不足といわれています。ちなみに長崎県下では現在約140人の先生方が認定資格を取得されています。

 

認定受験の実際
 実際に認定をとるための手順を説明します。以下は私見が入りますが悪しからず。まずインターネットで精中委のホームページにいくと全国の講習会予定が掲載されていますので、ここから講習会への申込をします。1回に50人ほどしか受け付けられないので早く申込みを行わないとなかなか参加できません。講習会はふつう土日の2日間をかけて行われます。土曜日の朝9時から夜19時まで受講、さらに日曜日9時から12時まで受講してその後13時から15時まで試験、当日に合否(評価A~D)がでます。約10人グループにわかれて2日間みっちりの講習ですからかなりハードです。受講者は資格更新のために来ているベテラン先生から全くの初心者の先生までいますのでマンモグラフィが初めての産婦人科医でも心配はいりません。先にも書きましたが、読影認定医は不足ですので精中委は認定資格を多くの先生にとって欲しいのです。乳がんの疫学、病理、マンモグラフィの原理、実際の読影、腫瘍の穿刺まで初歩から懇切丁寧に教えていただけます。ただし、試験は本物のマンモグラフィ100例(普通は左右あるので200枚)を読影、カテゴリ―までつけて診断し感度80%、特異度80%以上をとらなければ評価Bは取れません(評価Aは90%を超えなければなりません)。試験には本でもノートでも持ち込み可です。知識ではなく読影力を試験されます。結構ビギナーズラックで合格する先生もいます。私の隣で受けていた外科の若い先生もほとんど乳がんの診療はしたことない、と言いながら評価Bをとっていました。ただ産婦人科医は平常業務でマンモグラフィという画像に接する機会が少ないので講習前に正常でも異常でも構わないので実物のマンモグラフィをある程度見ていかれた方が良いと思います。講習会参加費は42000円ですが50人の生徒に講師陣が約15人という手厚い講習会で大変勉強になります。資格取得後は5年ごとに更新の必要があります。更新者専用のコースというのもあり、こちらは21000円で受講できます。
 認定を取得するのに学会所属が*年以上、論文*編などという条件が付くものが多いなかで全くの初心者でもとれてしまう認定医です。しかし、女性医療の中での乳がんの重要性を考えると今後需要の多い資格であり、かつ一定の技量を要求されるものでもあります。乳がんにかかわっていく場合はこれが基礎となる資格でもあり、興味のある先生にはぜひとっていただきたい認定資格です。