長崎大学病院第一内科 Department of Immunology and Rheumatology, Department of Clinical Neuroscience and Neurology, Department of Endocrinology and Metabolism, Nagasaki University Graduate School of Biomedical Sciences
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リウマチ・膠原病グループ
 
 
1. 関節リウマチのトランスレーショナルリサーチ
2. 関節リウマチの疫学研究
3. 関節リウマチと画像検査
4. 関節リウマチにおける関節エコー
5. SLE、ループス腎炎の発症機序に関する研究
6. 中枢神経ループスの研究
7. 家族性地中海熱を中心とした自己炎症性疾患のメカニズム解明
8. 皮膚筋炎の予後予測に関する研究
9. シェーグレン症候群とHTLV-I
10. シェーグレン症候群における唾液腺細胞死
11. 高安動脈炎の研究
12. RS3PE症候群
13. リウマチ性疾患とmicroRNA


1. 関節リウマチのトランスレーショナルリサーチ
 分子標的治療薬に関しては臨床研究と基礎研究のタイアップを目指している。臨床研究に関しては、長崎県下での生物学的製剤の使用状況を確認しており、薬剤別では、シェーグレン症候群(SS)合併RAへのアバタセプト(ABT)の有効性(寶来等JCR2014、寶来等EULAR2014)、抗HTLV-I抗体の有無とTNF阻害剤の有効性(鈴木等JCR2014)、Secondバイオとしてのインフリキシマブ(IFX)の有用性(梅田等JCR2014)、高齢RA患者へのエタネルセプト(ENT)の安全性(福田等九州リウマチ学会2014 9月)、トシリズマブ(TCZ)の有効活用(Kawashiri S, et al. Clin Exp Rheumatol 2014: 32; 445、Kawashiri S, et al. Mod Rheumatol 2011: 21; 365など)、脊椎関節炎へのアダリムマブ(ADM)の有効性、生物学的製剤多剤耐性RA患者へのトファシチニブの有効性をテーマに、一般的な臨床パラメータ+(バイオマーカーや画像)を用いた分子標的治療薬の有益な用いた方を研究している。脊椎関節炎に関しては本邦では疫学•診断などが確立しておらず、患者のリクルート体制から地道な研究体制を構築中である。
 一方、関節炎の臨床研究にはMRIや超音波などの高感度画像検査は欠かせない。その点に関しては、MRIは玉井慎美講師、超音波は川㞍真也助教が中心となり、画像と早期診断、画像と関節予後、画像とバイオマーカーの関連を解析し、外部資金を複数獲得するなど、国際的にも高い評価を受けている。例えば、2010RA分類基準とMRI骨髄浮腫(骨炎)/パワードフラ陽性関節滑膜炎を組み合わせた早期RA分類(診断)基準の長崎スコア(Tamai M, et al. Arthritis Rheum. 2009: 61; 772, Kawashiri S, et al. Mod Rheumatol 2013: 23; 36-43, Tamai M, et al. Ann Rheum Dis 2014 73: 2219など)や、MRI骨髄浮腫(骨炎)や骨びらんを用いた、関節予後の予測(中島等JCR2014、中島等ACR2014)である。
 現在、分子標的治療薬を導入する関節リウマチ患者を対象に、九州地区を中心とした多施設共同で関節エコーを用いた前向きコホート研究を展開中で(当科が主幹施設、九州の26施設)、血清および血漿のバイオマーカーを用いて、各薬剤に共通もしくは特異的な分子機構を推定し、それを滑膜細胞などの基礎研究系に展開予定である(西野等九州リウマチ学会2014年9月)。
 MRIに関しては今まで解析が困難であった軟骨傷害を、放射線科上谷教授との共同研究で開始し(3T MRI)、こちらも血清/血漿のバイオマーカーから軟骨細胞などの基礎研究系に展開予定である。
 上述の基礎研究への展開であるが、RA滑膜炎の病態は、滑膜細胞(滑膜線維芽細胞)、軟骨細胞に加え、組織マクロファージ、血管内皮細胞、T細胞、B細胞、破骨細胞など多種類の細胞群の種々の生物活性(増殖•分化•活性化•アポトーシスなど)の総和と考えられる。MRIや超音波で得られた情報は、病理の次に滑膜炎の病態を正確に現すと思われるので、得られたバイオマーカーと画像情報をよく対比させながら、基礎研究のプロトコールを、考えて行きたい。一つの例として、RA血清を用いたLC-MS/MS解析でRA自己抗原候補分子を同定し(Ohyama K, et al. Clin Chem 2011: 57; 905、Ohyama K, et al. Ann Rheum Dis 2012: 71; 191)、その発現調節機序を培養滑膜線維芽細胞、エコー画像、バイオマーカー動態から解析している(Suzuki T, et al. submitted)。
 それに加え、抗リウマチ薬で治療中のRA患者の関節破壊の実態調査を、トータルシャープスコアを用いて解析する全国多施設共同研究を、主幹施設として継続中である。解析可能症例数は600を超え、リウマチ実地診療下での世界に類を見ない臨床研究としてこちらも非常に注目を集めている。全症例のトータルシャープスコア読影は終了し、種々の角度からの解析を開始したところである(岡田等JCR2013、岡田等EULAR2013、岡田等ACR2013)。

(文責:川上 純)

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2. 関節リウマチの疫学研究

 近年、関節リウマチ(RA)の診療は日々進化を遂げ、診断や治療薬の進歩により寛解導入が可能となり、寛解を目指して目標に向けた厳格な治療が実践され、真の寛解が模索されるようになった。当科は、日々進化し続けているRA診療に沿って早期関節炎の疫学研究を継続的に行っている。当大学のRA臨床研究の特徴は、画像検査を用いる点にあり、近年はMRIのみならず関節エコーも用いるようになった。
 2001年度から2009年度までの9年間、江口勝美前教授(現在、名誉教授)は早期RAに関する厚生労働省科学研究の主任研究者として研究を推進した。その一環として長崎大学早期関節炎外来が開設された。早期RAには治療反応性が良好な時期、“Window of opportunity”が存在し、また1987年アメリカリウマチ学会RA分類基準は早期診断に十分対応できていないことから、新たな診断ツールや基準が求められていた。早期診断の新しいツールとして注目を集めていたのが抗CCP抗体である。抗CCP抗体は従来のリウマトイド因子と比較して特異度が高く、発症前から存在する。また、RAは骨びらんを来す持続性関節炎の一つであるが、MRIはX線よりも鋭敏に病変を描出することが可能である。まず、早期RAと非RAとの鑑別から1.手指関節MRI 対称性滑膜炎陽性2.手指関節MRI 骨髄浮腫もしくは骨侵食が陽性3.血清抗CCP 抗体もしくはIgM-RF陽性の3項目で2項目が陽性(Tamai M, et al. Ann Rheum Dis 65:133-5;2006)を早期診断基準案として、また診断未確定関節炎からのRA進展予測から1.手指関節MRI 骨髄浮腫陽性2.血清抗CCP 抗体もしくはIgM-RF が陽性(Tamai M, et al. Arthritis Rheum 61;752-8;2009)を早期治療開始基準案(Nagasaki score)として提唱した。また、RAを慢性持続性びらん性関節炎と捉え、MTX導入を要する早期関節炎を拾い上げるべく2010年RA分類基準が提唱された。この新しい基準は、感度は高いが特異度はやや低いとされている。関節エコーやMRIなど画像所見の付加は診断能を改善させることを報告した(Kawashiri S, et al. Mod Rheumatol 23:36-43;2013、Tamai M, et al. Ann Rheum Dis 73:2219-20;2014)。この研究に付随して、関節リウマチに進展する回帰性リウマチのリスクファクターとして抗CCP 抗体の寄与が最も大きいこと(Tamai M, et al. Intern Med 45;795-7;2006,Sand J Rheumatol 39:287-91;2010)、早期関節リウマチの重症度とマトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)遺伝子多型(Mod Rheumatol. 2011 Jun;21(3):240-3)、抗CCP 抗体陽性シェーグレン症候群の特徴(Iwamoto N, et al. J Rheumatol 36;113-5;2009)、早期RA で検出される軟骨破壊(Fujikawa K, et al. J Rheumatol 36;1126-9;2009)も明らかとした。寛解に関してもいくつか報告している。超早期関節炎の前向き治療介入試験において、抗CCP抗体もしくはIgM-RF陽性、かつMRI骨髄浮腫のRA予後不良因子を持つ早期RAに対しT2Tを実践し、臨床的寛解に加えてRAMRIS骨髄浮腫スコアが著減すればX線進行を認めず、1年間Drug freeでも寛解維持が可能であった(Kita J, et al.Mod Rheumatol 22:195-201;2012, 22(3):346-52;2012, 23(2):254-9;2013)。また、関節エコーは真の寛解の指標となる可能性があることを示した(Kawashiri S, et al.Rheumatology (Oxford) 53:562-9;2014)。
  2013年長崎大学の早期関節炎研究が新たな展開を迎えた。同年金沢大学・千葉大学・長崎大学の3大学共同大学院構想により五島市に予防医科学研究所が開設され、病院受診者から健診受診者へと対象を拡大した。10年ほど前より長崎大学離島医療研究所の前田隆弘教授が五島市の協力のもと実施してきた動脈硬化健診に付随する形で、2014年よりリウマチ健診を開始した。生活習慣病とRA発症・予後に関するプロジェクトである。
 これまでさまざまな知見を長崎大学早期関節炎外来から報告してきた。今後も、長崎から世界へRAのエビデンスを発信し続けたい。

(文責:玉井慎美)

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3. 関節リウマチと画像検査

 2001年長崎大学に早期関節炎外来が開設された。当大学の関節リウマチ(RA)臨床研究の特徴は、画像検査を用いる点にあり、これまで画像のエビデンスを発信してきた。近年はMRIのみならず超音波検査(Ultrasonography:US)の研究も盛んに行っている。RA診療において画像検査は不可欠な存在と広く認識されるようになった。2013年ヨーロッパリウマチ学会よりRAにおける画像に関するレコメンデーションにその詳細は示されている。X線よりも高感度の関節超音波、MRI、CT、PETなどが臨床的に実施されることが多くなったが、従来の骨単純X線も重要であることは言うまでもない。
 まず、早期RAと非RAの鑑別として、両側手指関節MRI所見と自己抗体(抗CCP抗体あるいはリウマトイド因子)を用いて早期診断基準案を作成した。すなわち、1.手指関節MRI 対称性滑膜炎陽性、2.手指関節MRI 骨髄浮腫もしくは骨侵食が陽性、3.血清抗CCP 抗体もしくはIgM-RF 陽性、の3項目のうち2項目以上陽性をRAとする(Tamai M, et al. Ann Rheum Dis 65:133-5;2006)。次に、診断未確定関節炎からRA進展の検討を行い、抗CCP抗体とMRI骨髄浮腫のRA予後不良因子を共に認めた場合は1年後高率にRAに進展することを示し、早期治療開始の指標を示した(Tamai M, et al. Arthritis Rheum 61;752-8;2009)。また、関節エコー(パワードップラースコア2以上)やMRIなど画像所見の付加は診断能を改善させることを報告した(Kawashiri S, et al. Mod Rheumatol 23:36-43;2013、Tamai M, et al. Ann Rheum Dis 73:2219-20;2014)。
 前述の通り、関節MRIおよび関節USは、X線よりも早期の病変(滑膜炎、骨侵食、MRIのみ骨髄浮腫)を検出可能であり、かつ診察よりも鋭敏に関節所見を検出可能である(Tamai M, et al. Arthrits Care Res(Hoboken) 63:436-9;2011. Kawashiri S, et al. Rheumatology(Oxford) 53:1452-6;2014)。また、US所見と MRI骨髄浮腫の間には強い相関を認めた(Kawashiri S, et al. Rheumatology(Oxford) 53:1452-6;2014)。治療に関しては、抗CCP抗体およびMRI骨髄浮腫の予後不良因子を持つ早期RAに対しT2Tを実践し、臨床的寛解に加えてRAMRIS骨髄浮腫スコアが著減すればX線進行を認めず、1年間Drug freeでも寛解維持が可能であったことを報告した(Kita J, et al. Mod Rheumatol 22:195-201;2012, 22(3):346-52;2012, 23(2):254-9;2013)。造影検査と比較した場合の非造影検査の感度、特異度を検討し、滑膜炎は特異度が低下し、骨炎や骨侵食は感度が若干低下するものの特異度は低下しなかった(Tamai M, et al. Mod Rheumatol 22:664-8;2012)。このほか、US観察部位数を従来の24関節から6関節に限定しても遜色ないこと(Kawashiri S, et al. Rheumatology(Oxford) 50:962-5;2011)、関節所見のない寛解状態のRAにおいてUSパワードップラー滑膜炎は将来X線骨びらんに関連し、真の寛解の指標となる可能性があることを示した(Kawashiri S, et al.Rheumatology (Oxford) 53:562-9;2014)。

 RA画像研究に付随して、基礎研究では、間葉系幹細胞からの脂肪化とMRI骨髄浮腫に関する検討(Okada A, et al. Clin Exp Rheumatol 30:332-7;2012)、臨床研究では、軟骨関連マーカーであるCOMP(cartilage oligomeric matrix protein)とMRI骨侵食、MMP-3、CRPと関連の関連(Fujikawa K, et al. J Rheumatol 36:1126-9;2009)、原発性と続発性のシェーグレン症候群における関節症状の鑑別(Iwamoto N, et al. Clin Exp Rheumatol 29:1062-3;2011)の報告を行った。
 今後も、長崎から世界へRA画像のエビデンスを発信し続けたい。

(文責:玉井慎美)

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4. 関節リウマチにおける関節エコー
 関節リウマチ分野における関節エコーはここ数年で本邦に広く普及し、リウマチ専門施設では不可欠な検査となった。関節エコーの普及に関して、川上が日本リウマチ学会関節リウマチ超音波標準化委員会に所属し、川㞍が講習会のトレーナーを務めている。研究においては、関節エコーの診断から治療評価におけるまで日常診療に則した有用性に関して下記の報告をしてきた。診断未確定関節炎を関節リウマチに早期に分類するためには、関節エコーにおける中等度以上のパワードプラ(PD)陽性の滑膜炎を少なくとも1つ以上の関節に有することが重要であることを報告した(Kawashiri SY, et al. Mod Rheumatol. 201323:36-43)。この結果から2010年ACR/EULAR関節リウマチ分類基準に関節エコーを組み合わせた早期分類フローチャートを作成した。また、手・手指の6関節におけるPDスコアを用いた簡易な関節エコーのスコアリングシステムを構築した。そのPDスコアが代表的な血管新生因子であるVEGF(vascular endothelial growth factor)とよく相関することを示し、滑膜異常血流の意義を報告した(Kawashiri SY, et al. Rheumatology (Oxford). 2011;50:962-5)。これまでの当科の研究により関節リウマチにいてMRIの最も重要な所見は骨髄浮腫(骨炎)であることが分かっているが、さらに関節エコーの滑膜炎重症度とMRIの骨髄浮腫(骨炎)重症度がよく相関することを示した(Kawashiri SY, et al. Rheumatology (Oxford). 2014;53:1452-6)。また、臨床的寛解症例において関節エコーによる滑膜内異常血流の残存は同部の骨びらんの存在と関連することを示した(Kawashiri SY, et al. Rheumatology (Oxford). 2014;53:562-9)。現在、分子標的治療薬を導入する関節リウマチ患者を対象に、九州地区を中心とした多施設共同で関節エコーを用いたコホート研究を展開している。この研究では関節エコーの有用性の証明に留まらず、関節リウマチの病態解明や分指標的治療薬の特性解明など多岐にわたる成果が期待出来る。

(文責:川㞍真也)

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5. SLE、ループス腎炎の発症機序に関する研究

 全身性エリテマトーデス(SLE)は自己抗体と免疫複合体の血管壁、組織の沈着により、種々の臓器障害を引きおこす自己免疫疾患である。SLEのヒトT細胞の核内ではCalcium/calmodulin-dependent protein Kinase Type IV(CaMKIV)の発現が亢進しており、転写因子制御を介したT細胞機能異常を引き起こすことが報告されている(Juang YT et.al, J Clin Invest. 2005 Apr;115(4):996-1005.)。一瀬、古賀はHarvard大学留学中にGeorge C. Tsokos教授の元でSLEのモデルマウスであるMRL/lprマウスを用い、CaMKIVのB細胞におけるCD80, CD86発現制御(Ichinose K et.al, Arthritis Rheum. 2011 Feb;63(2):523-9.)やmTORシグナルや転写因子CREM-aを介したTh17細胞制御の機序(Koga T et.al, J Clin Invest. 2014 May 1;124(5):2234-45.)を明らかにした。またCaMKIV阻害薬であるKN-93による制御性T細胞を介したMRL/lprマウスに対する治療的役割について解明した(Koga T et.al, Autoimmunity. 2014 May 15:1-6.)。さらにループス腎炎のCaMKIVによるメサンギウム細胞や糸球体上皮細胞(ポドサイト)の機能的制御についても検討を行った。メサンギウム細胞ではその増殖はCaMKIVによるCDK2やcyclin-D1のcell cycleおよびIL-6産生亢進によってもたらされ(Ichinose K, Koga T et.al, J Immunol. 2011 Dec 1;187(11):5500-4.)、ポドサイトでは糸球体濾過フィルターの役割だけでなく、CaMKIVを介したCD86発現制御により免疫担当細胞としての機能を有する可能性があることが示された(投稿準備中)。このようにCaMKIVは種々のSLEの病態に関与すると思われ、今後の分子標的薬としての役割を担う可能性がある分子である。
 この他、現在、梅田、古賀、一瀬を中心に「免疫疾患におけるT細胞サブセットの機能異常とその修復法の開発(厚生労働科学研究費(山本班)」のプロジェクトの一端として、SLE患者の末梢血におけるT細胞サブセット異常の同定とその機能解析を進めている。

(文責:一瀬邦弘)

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6. 中枢神経ループスの研究

 中枢神経ループス(NPSLE)は認知機能障害、精神障害、うつ病、脳血管障害など多様な症状を呈するSLEの重篤な臓器障害である。NPSLEは治療抵抗性であり、種々の抗体が増悪に関与していることが報告されているが、特異的な検査異常や治療反応因子は明らかとなっていない。
 我々はNPSLEと神経系の免疫疾患である多発性硬化症(MS)、視神経脊髄炎(NMO)患者の髄液サンプルなどからNPSLE特異的な自己抗体の検出を長崎大学薬学部・薬品分析化学研究室(大山要准教授)と共同で行っている。検出した自己抗体がアストロサイトや神経細胞に与える影響について、機能解析を含めた研究を行っている(投稿準備中)。治療反応因子については治療前の髄液中の27種類のサイトカイン・ケモカインなどをBio-plex assayにて測定し、1年後の治療反応と比較して予後予測因子を検討している(投稿中)。さらにNPSLE、MS、NMOの3つの神経免疫疾患を区別するマーカーの検出を行い、Bio-plex assayを用いた複数のサイトカイン・ケモカインを組み合わせることで診断の確度を高められるかどうかの検討を行っている(投稿中)。

(文責:一瀬邦弘)

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7. 家族性地中海熱を中心とした自己炎症性疾患のメカニズム解明

 自己免疫と対比される疾患概念として、自己炎症が近年、注目されている。自己炎症のメカニズムが亢進すると自己炎症疾患が発症する。古典的な自己炎症疾患は自然免疫に関連する遺伝子変異で発症し、代表的な疾患に家族性地中海熱(Familial Medirerranian fever:FMF)が挙げられる。FMFは、”責任遺伝子であるMediterranian FeverMEFV遺伝子のホモ変異で発症し、地中海沿岸地域に特有の遺伝性自己炎症疾患”と考えられていたが、右田清志先生(長崎医療センター)や井田弘明先生(久留米大学)の厚労科学研究全国調査により、予想とは大きく異なり、本邦においてもFMFは散見され、MEFV遺伝子のヘテロ変異/多型、もしくはMEFV遺伝子変異を認めない症例が、全体の90%を占めることが明らかとなった(Migita K, et al. Medicine 2014: 93; 158、Migita K, et al. Medicine 2012: 91; 337)。すなわち、FMFにはMEFV遺伝子以外の疾患遺伝子が存在も示唆され、その全貌の理解には、変異/多型遺伝子で構成されるインフラマソームの解析が必須であることが示された。臨床的にも本邦のFMFは、必ずしも幼少時の発症には限定されず、成人での不明熱や原因不明の発熱や腹痛などで、内科を受診することが比較的多いこともわかってきた。PubMedなどで検索すると、本邦からも多くの症例報告がヒットする(Nonaka F, et al. Tohoku J Exp Med 2014: 233: 73、Fujikawa K, et al. Intern Med 2014: 53; 2381、Matsuoka N, et al. Int J Rheum Dis 2014 Epub ahead of printなど)。
 これらのデータをもとに、FMFを中心とした自己炎症疾患に関して、当科では、二つの方法でのアプローチを試みている。一つは、NGS(次世代シーケンサー)を用いたゲノムの包括的解析である。川上は平成26年度から厚労科学研究”遺伝子変異にもとづくFMFインフラマソーム病態解明と炎症制御に向けたトランスレーショナル研究”の研究代表者で、原研遺伝吉浦孝一郎教授との共同研究で、MEFV遺伝子の全ゲノム解析とエキソーム解析を含めた網羅的遺伝子解析を行い、“日本人FMFの発症はMEFV遺伝子のみで説明できるのか? それとも新たな疾患遺伝子が存在するのか?”について、研究を開始している。責任遺伝子が同定されたら、生体内でのインフラマソーム活性系を再構成し、ケミカルライブラリーを用いてインフラマソームの活性化を制御する低分子化合物をスクリーニングし、自己炎症疾患の新たな分子標的治療の確立を目指す(愛媛大学プロテオサイエンスセンター病理学部門・病理学 増本純也教授との共同研究)。
 もう一つは、非FMFにおける自己炎症関連遺伝子(MEFV遺伝子)の変異/多型の解析である。リウマチ性疾患は多因子疾患であり、関節リウマチ(RA)に代表されるように、疾患(関連)遺伝子も多岐にわたる(GWASのメタ解析より)。すなわち、リウマチ性疾患の病態がMEFV遺伝子により修飾される可能性が考えられ、すでに私たちはRA(Migita K, et al. Clin Exp Rheumatol 2008: 26; 1091)、 inflammatory myopathy with abundant macrophages (IMAM)(Fujikawa K, et al. Clin Exp Immunol 2014: 178; 224)、成人発症スティル病(Nonaka F, et al. Clin Exp Immunol. 2014 Epub ahead of print)おけるMEFV遺伝子変異/多型を報告した(通常シーケンスでの報告)。これを他疾患に応用するとともに、上述のNGSの手法で、非FMF疾患におけるMEFV遺伝子の詳細な解析も行いたい。

(文責:川上 純)

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8. 皮膚筋炎の予後予測に関する研究

 皮膚筋炎(dermatomyositis:DM)の予後を大きく左右する臓器病変の一つに間質性肺炎が挙げられる。その中でも急速進行性間質性肺炎(RPILD)は致死率が高く、早期診断、早期治療が極めて重要である。
 近年、新たな筋炎特異的自己抗体(myositis- specific autoantibodies:MSA)がいくつか発見されており、自己抗体の種類によって間質性肺炎の予後の推定が可能な時代となってきた。我々はこれまでに、抗CADM-140kDa抗体は筋症状および筋炎に関する検査異常が認められないclinically amyopathic DM(CADM)に合併するRPILDと関連する点、抗155/140kDa抗体は悪性腫瘍合併の皮膚筋炎と関連する点を報告した(Fujikawa K, et al. Sand J Rheumatol 2009:38;263-7,Mukae H, et al. Chest 2009:136;1341-7)。その後抗CADM-140kDa抗体の対応抗原が細胞内ウイルスレセプターであるMDA-5であると同定されたが、当科においても抗MDA-5抗体を用いた皮膚筋炎の予後予測に関する研究を行い、抗MDA-5抗体陽性患者は有意にCADM、RPILDの合併が多く、手掌の逆ゴットロン徴候や胸部CTにおいて縦隔気腫を認める点を報告し、抗MDA-5抗体陽性患者の5年間に渡る長期予後を世界に先駆けて明らかにした(Koga T, Rheumatology. 2012;51:1278-84.)。MDA5は自然免疫に関わるシグナル分子として重要であるが、その下流の分子としてI型インターフェロンがあり、当科では抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎患者において血清中のインターフェロンαが有用なバイオマーカーであることを報告した(Horai Y, et al. Mod Rheumatol. 2014 Apr 9.)
 今後の展望としては、皮膚筋炎患者における抗MDA-5抗体を含むMSAとT細胞サブセットの解析、次世代シークエンサーを用いた疾患感受性遺伝子の同定、血清中のmiRNAの網羅的解析等により、RPILDの発症機序を分子細胞学的に明らかにし、新たな分子標的治療の確立を目指す。

(文責:古賀智裕)

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9. シェーグレン症候群とHTLV-I

ヒトT 細胞白血病ウイルスI 型(HTLV-I)感染と自己免疫疾患の関連は1980年代から知られており、長瀧内科時代には、関節リウマチおよびシェーグレン症候群についての検討を行った。すなわち、臨床的には抗HTLV-I抗体陽性シェーグレン症候群では、筋症状やぶどう膜炎などの腺外症状が多いことEguchi K, et al. Arthritis Rheum 1996: 39;463-7、疫学的にはHTLV-Iの高浸淫地域である長崎市における献血者のうち、27,284人中3%にあたる916人が、抗HTLV-I抗体陽性であったのに対し、シェーグレン症候群74名中23%にあたる17名が抗HTLV-I抗体陽性であり、統計学的に有意差を認めることTerada K, et al. Lancet 1994:344;1116-9などが報告された。また、HTLV-I関連脊髄症(HAM) では高頻度にシェーグレン症候群を合併することNakamura H, et al. Ann Rheum Dis 1997:56;167-72も示した。病因論的には、抗HTLV-I 抗体陽性シェーグレン症候群唾液中にはIgA 型抗HTLV-I 抗体が高頻度に検出されることTerada K, et al. Lancet 1994:344;1116-9およびHTLV-I tax DNA がpolymerase chain reaction法では低コピー数ではあるものの抗HTLV-I 抗体陰性シェーグレン症候群患者唾液腺組織においても検出されることMizokami A, et al. Scand J Rheumatol 1998:27;435-40を報告した。江口内科となってからは、従来の臨床疫学的手法に加え、細胞生物学・病理学的検討も取り入れた。HTLV-Iのin vitroでのアポトーシス抵抗については、HTLV-T tax分子によって、NF-kBや細胞死に拮抗する蛋白発現増強が生じることを明らかとしたKawakami A, et al. Blood 1999:94;3847-54Nakashima K, et al. J Lab Clin Med2003:142;341-7。また抗HTLV-I 抗体陽性シェーグレン症候群では抗セントロメア抗体(ACA)陽性率が低いことHida A, et al. Ann Rheum Dis 1999:58;320-2も新たな知見として報告した。抗HTLV-I抗体の有無で細胞死関連蛋白の発現の差異についても病理学的に検討したが、小唾液腺におけるFas/Fas リガンド発現Nakamura H, et al. Clin Exp Immunol 1998:114;106-12、Bcl-2関連蛋白やCD40/CD40リガンド発現Nakamura H, et al. Lab Invest 1999:79;261-9およびXIAP発現NakamuraH, et al. Lab Invest 2000:80;1421-7には明らかな有意差は認められなかった。しかしながら、抗HTLV-I 抗体有無で血清学的な異常に有意差は無いものの、単核球浸潤が強いことNakamura H, et al. J Lab Clin Med 2000:135;139-44や抗HTLV-I 抗体陽性シェーグレン症候群では炎症の割に唾液腺構造破壊が少ないことNakamura H, et al. Clin Exp Rheumatol 2008:26;653-5も明らかとした。続いて、抗HTLV-I 抗体陽性シェーグレン症候群では唾液腺組織の異所性二次リンパ濾胞(eGC)の形成やCXCL13発現が有意に少なく、HAMに合併するシェーグレン症候群ではeGCの形成が見られないことも明らかとなったNakamura H, et al. Rheumatology 2009:48;854-5。 川上内科時代に入ってからは、抗HTLV-I抗体およびACA両者陽性のシェーグレン症候群における組織学的検討を行い、HTLV-Iプロウイルス量に応じて血清や小唾液腺でのTGF-b発現が異なることを報告したNakamura H, et al. Mod Rheumatol 2013:23;133-9。 近年では、成人T細胞白血病患者でもシェーグレン症候群類似の唾液腺炎が生じることも報告しNakamura H, et al. Int J Rheum Dis 2013:16;489-92、新たな展開が期待される。現在は、HTLV-Iが唾液腺上皮細胞にどのように作用するのか、その分子生物学的機序について解明を進めており、シェーグレン症候群のみならずHTLV-Iと関節リウマチ治療との関連Nakamura H, et al. Intern Med 2013:52;1983-6についても発展させる予定である。

(文責:中村英樹)

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10. シェーグレン症候群における唾液腺細胞死

 シェーグレン症候群小唾液腺におけるアポトーシスについては、Fas/Fasリガンドと共に導管・浸潤細胞におけるアポトーシスの存在を示したNakamura H, et al. Clin Exp Immunol 1998:114;106-12。またFasの発現は腺房上皮や導管の管腔側に観察され、Fas ligandは主に浸潤単核球に見られた。これら膜型のFas/Fasリガンドに対し、可溶性Fas/Fasリガンドについての検討では、シェーグレン症候群唾液中のFasリガンドが有意に上昇していたNakamura H, et al. Clin Exp Rheumatol 2005:23;915。また小唾液腺浸潤細胞に発現しているCD40分子に関連して、多くのCD40陽性細胞がc-Jun N-terminal kinase (JNK)とp38を発現していることを示したNakamura H, et al. Ann Rheum Dis 1999:58;382-5。小唾液腺浸潤単核球にはMAPキナーゼキナーゼ4(MKK4)、JNKおよびc-Junが発現しており、リン酸化JNKはCD4のみならずCD8陽性T細胞にも発現していることを示したSoejima K, et al. Rheumatol Int 2007:27;329-33。次に、唾液腺上皮細胞側に発現しているアポトーシス調節蛋白群について検討を行った。シェーグレン症候群小唾液腺組織にはリン酸化AktやNF-kBが発現し、唾液から分泌されるepidermal growth factor (EGF)によって発現が誘導されたNakamura H, et al. Rheumatol Int 2007:28;127-36。また、培養唾液腺上皮細胞は抗Fas抗体刺激のみではアポトーシスに陥らず、PI3K阻害剤同時添加により細胞死が起こることが明らかとなったNakamura H, et al. Clin Exp Rheumatol 2007:25;831-7。このアポトーシスはEGF濃度依存性に抑制されることも明らかとなった。Fas依存性アポトーシスに対してTRAIL依存性アポトーシスはより早期に起こり、ミトコンドリア経路を介することも示されたNakamura H, et al. Apoptosis 2008:13;1322-30。自然免疫については、toll-like receptor (TLR) 2-4がシェーグレン症候群小唾液腺に有意に発現し、各リガンド刺激によりIL-6産生やERK, JNKおよびp38発現増強が示されたKawakami A, et al. J Rheumatol 2007:34;1019-26。シェーグレン症候群患者由来の唾液腺上皮細胞に対するTLRリガンドの効果のうち、TLR3のリガンドであるpoly I:C投与により有意なアポトーシスが生じ、Akt、stress-activated protein kinase/Jun-terminal kinase (SAPK/JNK),などのリン酸化が起こることも明らかとなったNakamura H, et al. Rheumatol Int 2013:33;441-50。現在、TLR3リガンド刺激による下流シグナルについて組織学的およびin vitroの研究を行っている。今後は他のウイルス遺伝子受容体であるTLR7-9についても機能解析を行う予定である。近年ではシェーグレン症候群とIgG4関連疾患の合併例についてFas/Fasリガンドを介するアポトーシスの違いから報告し、今後の発展が期待されるNakashima Y, et al. Mod Rheumatol 2014 epub ahead of print

(文責:中村英樹)

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11. 高安動脈炎の研究

 高安動脈炎は明治41年(1908年)4月に福岡市にて開催された第12回日本眼科学会総会で高安右人先生が初めて報告された疾患である。アジア、中近東での症例が多いことが知られている。また、2012年の厚生労働省の難治性血管炎の班会議において、長崎県の女性では人口比に対する患者数が多いことが示された。
 そこで、本県における高安動脈炎患者の臨床症状、検査成績、治療などについて調査した。その結果、本県の高安動脈炎症例は若い女性に多く、V型の症例が多かった。そして、HLA-B52が高率に陽性で、HLA-B52陽性者は、1)発熱、頭痛などの自覚症状、血圧左右差、血管雑音などの頻度が高かった。白血球数やCRP値などの炎症所見も高い傾向にあった。2)ステロイド薬の投与量が多く、ステロイドパルス療法を必要とする症例が有意に多かった。生物学的製剤や外科的手術を必要とする症例もあった。
 以上の結果について、第57回日本リウマチ学会総会(2013年、京都)、APLAR2014(2014年、セブ)にて発表を行い、英文誌に投稿中である。
 そして現在、長崎大学病院関連病院施設と共同で高安動脈炎における治療反応因子、予後規定因子について検討を進めている(福井、一瀬、折口)。高安動脈炎は心血管系の合併症が多く、さらに造影CT、MRI、PET-CTなどの画像診断が重要で、循環器内科、血管外科、放射線科との連携が必要で、様々なパラメーターを含めて今後解析を広げていく予定である。当科でも高安動脈炎の症例は多く、最近、潰瘍性大腸炎に対するTNF-a阻害薬治療後に発症した高安動脈炎の症例報告を行った (Horai, Y et. al; Mod Rheumatol. 2013 23(3):572-6)。
 また、厚生労働省科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)「難治性血管炎に対する調査研究班」の研究協力者として参加し、高安動脈炎のGWAS解析に協力をしているところである。今後、高安動脈炎の原因遺伝子が解明され、治療法の開発に貢献できることを期待する。

(文責:一瀬邦弘)

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12. RS3PE症候群

 RS3PE症候群は1985年McCartyが提唱した疾患である。1)予後が良い (Remitting)、2)リウマチ因子が陰性 (Seronegative)、3)対称性 (Symmetrical)、4)手背足背の圧痕浮腫を伴う滑膜炎 (Synovitis with Pitting Edema)の頭文字から名づけられた。
 初めてこのRS3PE症候群という奇妙な名前の疾患名を知ったのは10年以上前 久留米大学医療センターの福田孝昭先生が学会で発表された時であった。その後、この疾患の患者を診療する機会もなく、稀な疾患と思って数年が経過した。
 2005年有馬和彦先生がRS3PE症候群患者の血液中のVEGF濃度の上昇と手のMRI画像で血流増加を認めることを発見し、Annals of the Rheumatic Diseasesに掲載された(Arima K, et al. Ann Rheum Dis. 2005 64(11):1653-5)。
 2009年には、有馬先生の貢献により厚生労働省科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)「高VEGF血症を特徴とするRS3PE症候群関連新疾患概念の確立と普及」に採択された。そして、長崎県内外の関連病院のご協力を得て、RS3PE症候群の臨床的特徴に関する研究を実施した。その結果、この疾患は決して稀な疾患ではなく、患者数は関節リウマチ患者の約0.489%で、約3,600人と算出された。そして、悪性疾患の合併が多く、悪性疾患を合併した症例において血清MMP-3が高値であることを明らかにした(Origuchi T, et al. Modern Rheumatol, 2012, 22(4):584-8)。さらに、RS3PE症候群はステロイド薬が著効するが、長期的にはステロイド薬を中止可能な症例ばかりでないことを見出した(EULAR2014, oral presentation in Paris)。
 有馬先生はRS3PE症候群患者におけるVEGF濃度の検討をさらに進めて、血漿より血清において高いことを見出し、血小板の活性化によりVEGF濃度が増加することを突き止めた。
 川尻先生は、RS3PE症候群患者において関節MRIと超音波検査を実施し、腱鞘滑膜炎と皮下浮腫が少量のステロイド薬により速やかに改善すること、それと同時に血清中VEGF濃度、IL-6濃度が低下することを報告した(Kawashiri SY, et al. Rheumatol Int. 2010 30(12):1677-80)。
 RS3PE症候群はリウマチ性多発筋痛症、高齢関節リウマチと鑑別が難しい疾患であるが、その臨床的特徴を明らかにすることで、臨床の診断・治療に貢献できることを期待するとともに、有効な治療方法の開発に努めていきたい。

(文責:折口智樹)

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13. リウマチ性疾患とmicroRNA

 microRNA(miRNA)は約22塩基からなるnon-coding RNAであり、複数のmRNAを標的としその塩基相補性を介して、翻訳抑制またはmRNAの分解を導き、タンパクレベルでの発現を抑制する。miRNAの発現は組織や発生、分化段階により異なり、細胞の増殖、発生分化、アポトーシスなどの調節を行っていることが明らかとなり、近年では関節リウマチ(RA)をはじめとする様々な疾患の病態形成、進展に関与していることが報告されている。異常制御/発現されたmiRNAの是正による影響は病態特異的なことが多く、生理的な状態であれば、正常細胞へのmiRNAの導入/阻害による影響は少ない。すなわち、治療応用した際、有効性のみならず、安全性が期待できる。
 全身性強皮症における検討では、miRNA-193bが皮膚維芽細胞において正常群と比しその発現が減少しており、miRNA-193bはurokinase-type plasminogen activator(uPA)を標的とすることによって、血管平滑筋細胞の増殖を誘導し、強皮症における重要な臓器病変である肺高血圧症の発症に関与している可能性を示した(Iwamoto N, et al. Ann Rheum Dis 2014 in press)。また、Sjogren症候群(SS)の口唇小唾液腺細胞を用いた検討では、miRNA-181bが健常群に比し発現減少していることを見出した。今後はこのmiRNA-181bの発現減少がSS唾液腺細胞に与える影響について機能解析を施行していく予定である。
 RAにおいては、その病態の首座を成す滑膜細胞に与えるmiRNAの影響について研究を行っている。MTXを始めとする薬剤応答によるmiRNAの発現変化、また、治療応用を見据え滑膜細胞の骨芽細胞への分化を誘導するmiRNAの解析を行い、それらに関連するmiRNAを同定した。今後はこれらの研究をさらに発展させ、miRNAによる新たな治療法の確立をめざす。

(文責:岩本直樹)

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