長崎大学病院第一内科 Department of Immunology and Rheumatology, Department of Clinical Neuroscience and Neurology, Department of Endocrinology and Metabolism, Nagasaki University Graduate School of Biomedical Sciences
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HOME>ニュース&インフォメーション一覧>向野晃弘先生が、神経内科専門医試験に合格しました。

第39回日本神経学会神経内科専門医試験を受験して
  長崎大学病院第一内科 神経内科 向野 晃弘

 今年の1月に免疫性神経疾患に関する調査研究班の厚生労働省班会議が、都市センターホテルで開催された。ホテルのフロントで僕は7月12日の宿泊予約をした。なぜなら、2013年7月13日は第39回日本神経学会神経内科専門医二次試験が行われるからであった。1次試験に絶対に合格して、2次試験を受験するんだ、と自分自身に言い聞かせた。まず11月に千葉県船橋市で行われた神経内科専門医受験者を対象としたセミナーに出席した。神経学的診察方法や最近topicsとなっている疾患についてのレクチャーはとても勉強になった。
 神経内科専門医試験は内科認定医であることと、受験時に初期研修を含む臨床研修期間が6年以上で、かつ日本神経学会会員歴3年以上であれば受験することができる。僕にとって神経内科専門医という資格は1つの大きな目標で、受験資格が生じる今年、受験することに決めた。一次試験は筆記試験(必修問題100問、一般問題100問、臨床問題100問の計300問)、二次試験は口頭試問から成る。受験するにあたりまず必要なのは「症例サマリー10例」と「経験した疾患、検査の記入用紙」の作成であった。「症例サマリー」は神経疾患の分類(①血管障害、②感染、炎症、③変性、④脱髄、⑤中毒、⑥代謝、⑦腫瘍、⑧機能性、⑨先天性、⑩脊髄・脊椎、⑪末梢神経、⑫神経筋接合部および筋、⑬自律神経、⑭その他)の中から10例を選択し、2500字以内に作成しなければならない。また、「経験した疾患、検査の記入用紙」は①〜⑭の中で経験した疾患を全て箇条書きにし、経験した検査について例えば、神経伝導検査を何例、針筋電図を何例というように記載するのだ。この「症例サマリー10例」と「経験した疾患、検査の記入用紙」から2次試験は出題されるため、その点を意識して作成した。締め切り2週間前から取り掛かったが、僕にとっては本当にギリギリで、締め切り前日の3月21日の夜にサマリーを完成させた。昨年受験した中田先生、成田先生、そして中嶋先生、本村先生は夜遅くまで、僕のためにサマリーを添削して下さった。そして3月22日の午前2時に郵便局に書類を持っていき、郵送した。
 1次試験の勉強を始めたのは4月中旬に入ってからであった。病棟業務や大学院の実験、当直、私用でも何かと忙しかった。しかし今考えれば、それは遅かったなと思う。勉強は主に過去問3年分と「神経内科ハンドブック第4版」や「臨床のための筋病理」「グラフィック神経学」「よくわかる脳MRI」「エキスパートのための脊椎脊髄疾患のMRI」「神経内科疾患の画像診断」、「Annual Review」、インターネットサイトの「e-learning 神経病理」などを用いて行った。最初は問題が全くと言っていいほど解けなかった。しかし、勉強していくにつれて少しずつではあるが身になって行く事が実感できた。5月の神経内科学会総会にも参加して、専門医試験に役立つ講演はできる限り出席して知識をつけた。筋病理の知識はほとんどなかったが、5月に辻畑先生にみっちり鍛えて頂いた。色んな筋病理標本を見せて頂き、勉強した知識をさらに深めることができた。
  6月15日土曜日東京大学駒場キャンパスで1次試験が行われた。必修問題、臨床問題はまだなんとか解けた印象があったが、一般問題はかなり難しくて全く手応えがなかった。どの問題①〜⑭の分野から隈なくでていて、病理(筋、神経)、検査(脳波や神経伝導検査、針筋電図、画像検査など)、最近のtopics(Pompe病の酵素補充療法や、SCA 36など)、神経内科医として知っておかなければいけない知識など、本当によく作られているなと思った。できたという手応えはあまりなかった。1週間後には結果が分かり、合格していた。とても嬉しかったが、2次試験は面談なので、面談が苦手な僕にとっては1次試験以上に心配だった。
 合格発表から2週間後から本腰を入れて、2次試験の勉強を始めた。2年前受験された中嶋先生、昨年受験された中田先生から2次試験対策を伝授してもらった。それに過去問に加え、日本神経学会から出ている神経学的診察のDVDを2〜3回見た。
 2次試験は2013年7月13日土曜日都市センターホテルで行われた。A組(神経学的診察法の診察実技)、B組(症例サマリーと臨床神経学に関する口頭試問)に分かれており、それぞれ20分ずつ行われた。A組では部屋に入るとすぐ入口に被験者の男性(健常人)が1人いて、敷居がしてあって、敷居の先には二人の試験官が座っていた。「右Horner症候群を診察しなさい」と言われた。「瞳孔所見は?」「眼瞼下垂の程度は?」「発汗低下の分布は?」など次々に質問された。次に「Horner症候群を来す疾患は?」と聞かれた。Wallenberg症候群と答えると、「右Wallenberg症候群を診察しなさい」と言われた。顔面・四肢感覚鈍麻の分布、カーテン徴候、眼振などを診た。Wallenberg症候群以外にも尋ねられ、肺癌(肺尖部)と答えた。もうひとりの試験官からはぶん回し歩行、痙性歩行、Parkinson病(Yahr1)の歩行、前頭葉障害の歩行など様々な歩行を実際にやってみてと言われた。今まで教わってきた通りに真似した。次にasterixisや舞踏運動、ジストニア、安静時振戦、アテトーゼなど様々な不随意運動の性質を答え、真似るようにと言われた。難しかった。役に立ったのは辻畑先生の講義だった。「Asterixisは振戦ではない」、この事を僕は辻畑先生の講義を受けるまで知らなかった。試験官の先生はこの点を尋ねてきたのだ。本当にありがたかった。それに神経学会総会のレクチャーも役に立った。
 A組の部屋を出た後、すぐにB組の部屋に入った。B組では変性疾患専門の先生と脳卒中専門の先生がおられた。まず神経内科医になった動機や「学生に神経内科の魅力を伝えるにはどうすれば良い?」などの質問を受けた。その後、自分の今まで経験した症例やサマリーから様々な質問をされた。変性疾患についてはParkinson病のtopicsについて聞かれた。「CDSとは?」徐放剤やアポモルフィンについてなど。MSAの突然死の原因、中枢性呼吸不全の機序についても質問された。脳卒中の先生からはTIAのABCD2スコアやCHADS2スコア、CHA2DS2-VAScスコア、アミロイドアンギオパチー、静脈洞血栓症、片頭痛や群発頭痛の治療などを質問された。試験官の先生は優しく、終始和やかな雰囲気だった。こちらが緊張しないように、冗談を言われたりして気を遣って下さっていた。分からない問題もあったが、なんとか無事に終えることができた。
 1週間後、速達で通知が来た。合格だった。うれしかったけど安堵感の方が大きかった。神経内科専門医は私にとって1つの節目になった。試験期間中、私をサポートして下さった第一内科神経班の皆さん、そして今まで僕を指導して下さった全ての先生方に感謝致します。

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