長崎大学病院第一内科 Department of Immunology and Rheumatology, Department of Clinical Neuroscience and Neurology, Department of Endocrinology and Metabolism, Nagasaki University Graduate School of Biomedical Sciences
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国内・海外「留学便り」
 
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古賀 智裕 (リウマチ・膠原病内科)
Beth Israel Deaconess Medical Center, Harvard Medical University
(Rheumatology Division):アメリカ
(2011年6月〜2014年2月)

 
留学近況報告:ボストン渡米後、1年が経過して思うこと。
 皆様、平成19年より第一内科(膠原病班)に入局した古賀智裕と申します。平成23年3月に学位取得後、同年6月よりHarvard Medical University, Beth Israel Deaconess Medical Center, Rheumatology Division, George C. Tsokos Labの研究員(ポスドク)として働いています。メンバーは総勢約20人と比較的大きなラボです。
 現在の研究テーマは、SLEのモデルマウス(B6.lpr mice, MRL/lpr mice etc.)を用いたT細胞の機能解析であり、前任者である一瀬邦弘先生から引き継いだものです。一瀬先生とはボストンで約1ヶ月半を共に過ごしましたが、研究内容の引継ぎだけでなく、生活のセットアップに多大な協力を頂き、大変感謝しております。また、ボスであるGeorgeの一瀬先生に対する評価は極めて高く、大きな信頼を得ております。そのおかげで私も何とかLabメンバーの一員として認めてもらっているようです。渡米してまだ1年ですが、現時点での近況について報告いたします。
 こちらでの生活は、平日はラボと家の往復で、水曜日の朝にJournal Club、金曜日朝に臨床のConsult Round/Grand RoundとLab Meetingがあります。Journal Clubは当番制ではなく、毎回ポスドクレベルの研究者が順番にFigureの説明をし、ボスやPIを交えてディスカッションをするという形式です。参加当初は全く英語を口にすることがありませんでしたが、最近ようやく各Figureの説明が英語でできるようになってきました。毎週Cell、Nature、Science(とその姉妹紙)の論文を読むことで、最近の知見だけでなく、免疫学でよく使われるマウス、実験系や手技の確認にもなり、免疫学の基礎研究の知識が乏しい私にとって、大変有意義です。金曜日のConsult Round/Grand Roundではリウマチ分野の教育的な講演やクリニカルカンファレンスに参加することができ、臨床の知識のアップデートや鑑別診断のトレーニング等もできます。Lab Meetingでは研究の進捗状況を全員で共有し、実験手技の確認、研究計画の妥当性、結果の解釈等についてみんなで議論します。約4-5ヶ月に1回は自分の番が来るのですが、英語が上手くできない私にとっては大きなストレスになっています。発表後、録音した自分の英語を聞いて、あまりのひどさに毎回愕然として、戦意喪失しております。
 私生活においては、米国で私と共に生活すると決心してくれた妻と昨年7月に誕生した長男との3人暮らしです。妻は家事、育児に加え、料理教室、ESLクラス、ママ友さんたちとplay date、ボストンマタニティー協会のスタッフとして日本人の妊婦のための教室やマタニティーコンサートの幹事等で私より多忙な生活を送っています。そのため、こちらに来て幸運にも育児も習得しました(おむつ交換、沐浴、爪きり、散髪、スキンケア、ボディーマッサージ、離乳食、抱っこ紐を用いた睡眠導入、土日に一人で子守等)。休日は車で近くのショッピングモールや日系のスーパーへ買い物に出かけたり、外でみんなとテニスをしたり、レッドソックスの応援に行ったり、車でニューヨークまで遊びに行ったりと、家族との時間を十分に取ることができています。日系スーパーはさらに充実しており、今年の3月にオープンした一番安い店では、おーいお茶ペットボトル500mlは1.69ドル、ポテトチップスのり塩味(80g)は1.59ドルで買え、牛タンや薄切り牛肉もリーズナブルな値段で手に入ります。さらに今年の4月からJALの直行便が就航し流通がよくなったのか、今年の秋には牛角がオープンし、京都系こってりラーメンも今年の9月にオープン予定です。
 私のラボには現在日本人が私を除いて2名います(阪大特殊救急部出身の先生と、阪大微生物研究所出身の先生)。日本人の先生がいることは、英語習得という点においては弊害になるかもしれませんが、実験のことだけでなく、なんでも相談できる先生であり、少なくとも私にとっては精神的な支えとなっています。その他にもボストンには日本人の研究者が多く、たくさんの方々と知り合うことができ、家族ぐるみで仲良くさせていただいています。留学しなければ、絶対に親しくなれないような方々との出会いも渡米の大きなメリットではないかと思います。
 これまでよい点ばかりを述べましたが、経済的な問題に加え、臨床を何年も離れて大丈夫なのか、英語は全く上達する気配がないが本当にこれでいいのか、実験結果がでなければどうなるのか、家族はボストンの生活に適応できるのか、こちらで病気したらどうなるのか、といった不安は常につきまといます。さらに言語の壁・文化の違い・気候や環境の違い等に日々直面し、日本に逃げ出したくなる日もありました。
 アメリカに留学して結果を残し、High impactの論文を書く。ということが医局を代表して渡米した私の大きな使命であり目標であることは言うまでもありませんが、留学して得られるものは決して形で表せるものだけではないと思います。日本から離れた異国の地で数年間家族と暮らすという想像も出来ない経験自体が、今後より自分の人生、家族の人生を豊かにするものであると確信しております。最後になりますが、私に快く留学の機会を与えてくれた川上純教授、江口勝美前教授、右田清志先生、折口智樹先生、中村英樹先生、山崎聡士先生、玉井慎美先生、有馬和彦先生、一瀬邦弘先生、並びに同門の先生方に深謝し、近況報告と致します。この度は誠にありがとうございました。今後とも御指導、ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。

ロブスター準備万端!!

ラボ集合写真。上段左から3番目が私、6番目がGeorgeです。

 
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