女性医師の会
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エチカの扉 〜これが私の生きる道〜
エチカとは、生きる勇気を与えてくれる、色々な人の身近なお話


VOL.3 (2011年8月) 腎臓班  小畑 陽子

早いもので、医師として働き始めて今年で12年目を迎えました。そして、生まれ育った大分から、長崎での生活を始めて人生の半分くらいになろうとしています。
私の時代は、臨床研修必修化前の卒業であったため、大学卒業後すぐに医局に入局するのが当たり前の時代でした。現在、長崎大学病院医療教育開発センターのスタッフとして、研修医の先生方のお世話をしている身としては、昔は、よく卒業してすぐに入局する科を決める事が出来ていたなあと思います。現在は、ポリクリのあとに興味のある科を1カ月ごとに回る事ができるクリクラもありますし、臨床研修の間にも実際その科を研修してから決める事ができるのは大きなメリットだと思います。
6年生の夏休みには別の病院も見学に行ったのですが、ちょうどお盆前後ということで入院患者数が少なかったことも影響してか、若いうちは頑張って勉強しようと思い、長崎に残る事を決めました。私には、もともと、“お医者さん=なんでも診てくれる人”というイメージがあったので、全身を診ることができる科に行きたいという思いが学生時代からあり、第二内科に入局しました。当時の第二内科には、呼吸器・消化器・循環器・腎臓と4グループが存在し、基本的な内科分野を網羅していたことが私の理想と一致したことが決め手になりました。最初は呼吸器から研修をはじめましたが、初日の夜に、病棟から「担当の患者さんが38度台の発熱をしています」という電話がかかってきて、対処方法も判らず指導医の先生にあわてて電話をしたのを覚えています。指導医の先生方も、大変熱心で、胸部単純写真の読み方を基礎から毎週教えてもらったり、当時の免疫グループチーフであった門田先生(現大分大学第二内科教授)の当直の時に押し掛けて、同期の研修医と一緒に胸部CTの読み方について講義をしていただいたりもしました。医者としての基礎知識は、この呼吸器グループ研修時代に叩き込まれたと言っても過言ではない気がします。その後、消化器、腎臓・循環器を4カ月ずつ研修しましたが、どこのグループにいっても熱心な指導医の先生方に巡り合いました。さらに、この1年間を一緒に研修した同期の仲間とは、つらいときも楽しい時も一緒に過ごしたので、今でこそ専門分野や働いている場所、状況はバラバラですが、今も仲良くやっていますし、大変感謝しています。
2年目の研修では、半年間、佐世保市立総合病院に勤務をしました。指導医の先生がほぼマンツーマンで指導してくれていた大学とはうってかわり、指導医の先生も臨床が大変忙しい病院でしたので、朝早くに病院に行って、その時に指導医の先生を見つけて、自分の患者さんの事を相談するのが日課でした。20名前後の患者さんを常時受け持っていましたが、第二内科で研修をした4分野以外にも、血液、神経、糖尿病、内分泌、救急など色々な症例や検査・手技を経験できたのはとても有意義だったと思います。病院が、街の中心に位置していたので、昼間忙しく働いた後には、夜は夕食も兼ね、同期や先生方とよく飲みにもいったものです。(今ではなかなかその体力はないかもしれませんが)その後、私たちの時代から、将来の臨床研修必修化に向けて、他科ローテーションを長崎大学では必修としていましたので、大学病院に戻り、3か月麻酔科研修を行いました。麻酔科を選択した理由は、やはり気管内挿管や全身管理など、基本的な事を学びたいという思いからでした。他科からのローテーターが少なかったこともあり、年末年始の休みが多かった時期にもかかわらず、60症例以上の麻酔を担当させていただき、大変勉強になりました。このころになると、第二内科の中でどこのグループに専門を絞るかという決断を迫られることになりましたが、“初志貫徹”やはり、腎臓、高血圧、透析、糖尿病、膠原病など全身を診ることができる腎臓グループを選びました。
まずは、臨床で頑張ってみようと思ったのですが、当時の腎臓グループチーフであった宮崎正信先生からの説得もあり、3年目から大学院に入学しました。縁は奇なもので、河野教授の勧めもあり、学生時代にリサーチセミナーで2カ月ほどお世話になった感染防御の松山教授のもとで、大学院生活を始めました。まったく、腎臓とは無関係の研究テーマでしたし、基礎の深い知識についていけず、挫折しそうになった事もありましたが、周りの多くの人々に支えられ、最終的にはここで研究したテーマが学位論文となった事には、なんとなく、不思議なものを感じます。当初、1年間の約束で感染防御にお世話になる予定でしたが、河野教授に御無理を言って6カ月ほど第二内科に戻るのを延長させていただき、大変感謝しております。第二内科を離れて思ったのは、第二内科は大変懐が深く、温かい医局であるということです。
無事に学位も取得でき、北松中央病院で2年間勤務した後、3年前より再び大学病院で勤務しています。現在は、腎臓グループの仕事とともに、医療教育開発センターのスタッフとして、教育にかかわる仕事もしています。これまでの臨床・研究とはまた違った新しい分野の仕事に取りくむことで、自分の視野を広げる事が出来るのは大変有意義だと思っています。まだまだ自分自身が発展途中なので、将来的にどのような事をやっていきたいのか、目標をはっきり定められていないところもありますが、後輩の先生方を指導する年代にもなってきたので、今後は、少しずつこれまで私が指導医の先生方にしていただいたことを後輩の先生方にも還元していければと思っています。


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