医学生・医師の皆さんへ

キャリアイメージ





他大学からの入局、新専門医制度を終えて、国内留学の経験
氏 名
桑野 克久
略 歴 出身高校:弘学館高等学校
2016年:久留米大学医学部医学科 卒業
2016年:長崎大学病院 初期研修医1年目
2017年:北九州総合病院 初期研修医2年目
2018年:長崎大学病院腎臓内科 修練医
2019年:諫早総合病院腎臓内科 修練医
2020年:長崎大学病院腎臓内科 修練医
2021年:聖マリアンナ医科大学病院腎臓・高血圧内科 任期付き助教(国内留学)
2022年:長崎大学病院腎臓内科 医員
今までのキャリアを経て

私は福岡県出身で、出身大学は久留米大学ということで元々長崎県には縁もゆかりもありませんでした。初期研修を長崎大学病院で行い、様々な内科をローテートしましたが、患者さんの主訴・病歴・身体診察・検査所見などから鑑別診断を絞り、アセスメントをしっかりと行う長崎大学の腎臓内科に惹かれ入局を決めました。冒頭に述べた通り、私は元々長崎の人間ではありませんが、長崎の腎臓内科の先生方は、その様な事は全く関係なく、別け隔てなく接して頂いており、本当に温かく、指導熱心な先生ばかりです。また私は、新内科専門医制度の第1期生なのですが、専攻医登録評価システム(J-OSLER)においても、指導医の先生方に、適切なご指導を頂き、無事終了することが出来ました。腎臓内科の疾患は、循環器内科領域や感染症内科領域、膠原病内科領域、血液内科領域など様々な他領域の疾患と絡み合うことが多く、J-OSLERの症例登録にあたっては、そのことが非常にプラスに働きました。

そして、その様な中で2021年からは国内留学という形で、聖マリアンナ医科大学病院腎臓・高血圧内科で1年間勤務させて頂きました。国内留学の理由としては、電解質異常をより深く勉強したいと思い、電解質異常関連の書籍を多く書かれている聖マリアンナ医科大学病院腎臓・高血圧内科で一度働いてみたいと思ったからでした。1年間という短い期間ではありましたが、homeの長崎を離れて、全く知らない土地で腎臓内科医をしたことは、私にとって本当に貴重な経験となりました。当時、医師6年目という若手の私に、国内留学という貴重な機会を与えて頂いた長崎大学の腎臓内科医局には、感謝の気持ちしかありません。

腎臓内科の魅力
腎臓内科には、腎炎・急性腎障害・慢性腎臓病・透析・移植と様々な領域がありますが、私は中でも電解質異常・酸塩基平衡異常・体液管理に魅力を感じています。入院中の患者さんは、疾患が重症であればある程、また高齢であればある程、体液や電解質のホメオスタシスが崩れやすくなっています。その様な状況で我々腎臓内科が、適切に輸液・利尿薬などを駆使することで患者さんの状態が改善する。そこに私は特に魅力を感じ、日々診療をしています。是非一緒に、原因を考え介入し、電解質異常や体液バランス異常が治っていく喜びを共有しましょう。
今後の目標は?
電解質異常や輸液の領域というのは、中々理解することが難しく、苦手意識を持っている若手Drが多いと認識しています。私も勿論まだ道半ばですが、わかりやすい指導・教育を行うことで、電解質異常・輸液の領域に興味をもつ若手Drが一人でも増えることを目標としています。


僻地での診療、大学病院を経て基幹病院のチーフ
氏 名
太田 祐樹
略 歴 出身高校:長崎県立佐世保南高等学校
2008年3月:長崎大学医学部卒業
2008年4月:佐世保市総合医療センター 初期臨床研修
2010年4月:長崎大学病院
2011年4月:佐世保市総合医療センター
2013年6月:泉川病院
2016年1月:長崎大学病院
2019年3月:博士号取得
2021年4月:佐世保市総合医療センター
今までのキャリアを経て

初期研修2年間を終えたのち、苦手でしたが興味があった腎臓内科学を志すことに決め、腎臓内科医としてのキャリアがスタートしました。しかし、崇高な志があったわけではなく、内科医としてさまざま疾患への対応ができるようになりたいという思いだけで、上司の先生方に手取り足取り教えていただきながら目の前の患者さんの診療を行ってきました。

医師4-5年目では、徐々に自分でできることが増え、先輩に背中を押してもらいながらも診療がうまくいったときには自信がつき、また逆にうまくいかず落ち込み、その繰り返しだったような気がします。腎疾患だけでなく、他の領域の疾患についても初診でみた患者さんを自分で診療したいという好奇心から、たくさんの症例を経験させていただきました。

医師6年目から腎臓内科・透析医が当時院内1名体制であった泉川病院(南島原市)へ異動となり、上級医がいない中でそれまでに修得した知識や診療がどれだけ通用するのか経験し、またいかに未熟なのかを突き付けられた日々でした。地域医療が地元住民を支えていることを肌で感じ、地域医療を行っていく上で、高次医療機関との連携の大切さや紹介の難しさを知りました。

医師8年目から約5年間、長崎大学病院の助教を務めさせていただくこととなり、大学に異動してまもなく病棟医長を務め、最後の1年半は腎臓内科医局長を仰せつかりました。診療は勿論のこと、研究、後輩や研修医、学生指導、医局運営、学会活動、病院会議、保険診療における指導・監査、周辺医療機関や行政との連携など大学でなければ経験できないような数々の仕事を経験し、諸先輩方や同門の先生方より叱咤激励を受けながら邁進して参りました。非常に充実した毎日で、それまで全く見えていなかったことが少し垣間見えるようになり、新しい視点を得ることができました。この経験がなければ今の自分はなかったと思っています。

医師13年目からは佐世保市総合医療センターに異動し科長として勤務しています。診療、研究、教育について、これまで大学や関連病院で培ったことを少しでも佐世保の地で実践し貢献できればと思っています。患者さんたちによりよい医療を届けられるために、臨床の中で出会うたくさんの難題、クリニカルクエスチョンを前に、同僚、研修医とともに議論し、全力で取り組んでいます。

今の自分があるのは、これまで私を支え励ましてくれた環境(医局や先輩、同僚、病院、スタッフ、家族など)のおかげだと思います。そういった環境に心から感謝するとともに報いることができるように、これからも腎臓病の患者さんたちへ真摯に向き合っていきたいと考えています。

腎臓内科の魅力
腎臓がしている仕事は神秘で、今でなおわかっていないこともたくさんあります。そんな腎臓の働きを考えながら、腎障害の原因を考える、病態生理を追求する、病理をみる、薬物治療をする、輸液を組み立てる、透析や移植を行う、そのような全身管理、腎臓内科学は内科医を目指す医師にとって、とても興味が沸き立つ分野だと思います。
入局を考えてくれている若手の先生方へメッセージ
腎臓は全身臓器と密接に関わる臓器であり、腎臓内科は腎疾患を入口に患者さん個々の全身を診ていく診療科です。
科内は熱心で優しい先生が多く、それぞれの先生の希望に沿って、キャリアを支えてくれる環境が整っています。
ぜひ私たちと一緒に働きましょう。


妊娠、出産を経て
氏 名
山下 鮎子
略 歴 出身高校:鹿児島県立甲南高等学校
2010年:長崎大学医学部医学科 卒業
2011年:諫早総合病院 初期臨床研修
2012年:長崎大学病院 初期臨床研修
2013年:諫早総合病院 医員
2015年:長崎医療センター 医員
2016年:第一子産前・産後休業
2017年:新里クリニック浦上
2018年:長崎腎クリニック
2019年:長崎大学病院 助教
2020年:大学院進学
2022年~ 第二子産前・産後休業中
今までのキャリアを経て

出身は鹿児島ですが、長崎大学に進学したのをきっかけにそのまま長崎に残りました。研修医1年目は別の内科に入局しようとほぼ決めていました。ところが、研修医2年目の4月、当時一番苦手分野であり、しかし内科医として生きていくためには知っておくべき分野だと思った腎臓内科を研修先に選び、この1か月がきっかけで腎臓内科への入局に舵をきることになります。

もともとは考える事が好きな方だったので、診断や病態を考える腎臓内科は性に合っていたというのもありますし、もっと知りたい、面白い!と心から思えたのも腎臓内科でした。そして「知りたい」、に応えてくれる指導医がいた、というのが大きな決め手だったように思います。当科の魅力の一つは、どの病院に行っても指導医が熱心に教えてくれるところだと思いますし、自分も教える立場になった今、そうでありたいと思っています。

入局後、いくつか基幹病院で経験を積み、医師5年目で結婚し、6年目で第1子を出産しました。生後7か月で復帰しましたが、初めての育児、家事、仕事の両立は思った以上に大変で、体調を崩しがちになりました。

2年ほど透析施設で勤務させて頂いたのち、大学病院で教官として働く、という機会を得ました。この頃体調不良がピークに達し数か月療養が必要となりましたが、その後体調も全快し、仕事に戻ることができました。これも周囲の先生方がサポートして下さったおかげだと感謝しています。その後体調は全快し、無理なく仕事に復帰できました。

教官の仕事は普段の診療に加え、「教育」という新たな領域への挑戦にもなりました。教えることで自分が成長していくのを肌で感じられ、大変刺激をもらえましたし、学生さんと関わるのはとても楽しい時間でもありました。そうこうしているうちに教授室に呼ばれ、「大学院に行ってみる?」というお話を頂き、大学院に進学することになります。「研究」という分野への新たな挑戦が始まりました。研究など自分とは無縁と思っていましたが、やってみるとまた新たな発見があり、面白さを感じています。臨床をしながら教官として教育にも関わりつつ、研究も同時に行う形になりました。時間をかけ、自分の中でのワーク・ライフバランスを確立できてきました。

そして2022年に第2子を妊娠し、産前・産後休業に入ることになりました。1年ほどお休みしたのち、また復帰したいと思っています。この12年間でもいろいろな事がありましたが、これから先、子どもが成長するとともにまた仕事の仕方も変わってくるのでは、と思います。当科は女性医師も多く、医局員それぞれにライフイベントがあり、目標とするキャリアプランがあると思います。

年に一度、大学病院以外で勤務している医局員を含め、教授や医局長と直接今後のキャリアプランや希望について相談する機会もあります。今、私は助けて頂いている立場ですが、ある程度子どもが成長したら、今度は私が後輩たちのキャリアアップを支えていきたいと思っています。

腎臓内科の魅力
学生の頃は、腎臓は尿を作る臓器で、電解質や酸塩基平衡も関わってきてとにかく難しいしとっつきにくい!と思っていた分野でした。それもそのはず、腎臓はただ老廃物を捨てるだけではなく、全身の体液の恒常性を保つという、大仕事を担っているからです。腎臓を診る、ということは腎臓だけでなく、全身の体液の変化を診るということです。この腎臓を通して全身を診るというところが最初に感じていた難しさでもあり、奥深さと面白さでもあると思っています。
入局を考えてくれている若手の先生方へメッセージ
腎臓内科は上記の通り、病態や診断を考えるのが難しい分野でもありますが、それゆえにやりがいがあり、面白さがあります。慢性疾患も多く、患者さんとの長いお付き合いの中で学ぶことも多い診療科です。患者さんの病態だけでなく、人生に寄り添う、そんな医師像を目指している先生方、ぜひ腎臓内科へ!