平成8年2月16日に長崎大学医学部第二内科の教授に就任してから早10年が経ちました。忘れられない患者さんのことや医局員のことなど色々な出来事がありました。この10年間を振り返ってみますと、私が教授に就任して、従来の第二内科から少し変えるべきと考えて実行したことがいくつかあります。それは、回診にコンピューターやプロジェクターを導入し、カンファランス室でのデイスカッションを重視するスタイルに変えたこと、週一回昼休みの時間に昼食を取りながら大学院生や医員の研究成果を発表して貰うランチョンセミナーの時間を設けたこと、そしてモーニングレクチャーをスタートしたことです。このような改革を実行し、また医局長や教官を始めとする医局員全員の努力により、他の医局に比較してもそれほど引けを取らない新入医局員数を確保し、また研究に関しても教授就任2〜3年後より急速にインパクトファクターが増加し、内容的にも立派な論文が増えてきているようです。
このように研究や教育体制の充実はもちろんのことですが、臨床において地域医療に貢献できる総合力を持った内科医の育成が極めて重要と考えています。就任後、業績集を毎年出し、そこに大学だけではなく関連病院の業績も入れるようにしました。これは関連病院の先生方にも若い先生を指導しながら、臨床と研究が結びついた問題解決法を学ぶチャレンジ精神を養って貰おうと考えたからです。アカデミックマインドを持ちながら、臨床を楽しく勉強する気持ちを育んで欲しいと望んでいます。第二内科に所属して最も嬉しいことは先輩と後輩の良好な関係であり、NPO法人「長崎県地域医療の研究支援を目的として医師団」が堀田 覺先生のご尽力で創設されました。現代的な制度に基づく開かれた研究支援を受けられるシステムが誕生したことは今後の研究推進に極めて意義あるものになると確信しています。また、第二内科で誇れることとして、先生方の素晴らしい御努力とその才能により、多くの教授が誕生していることも挙げられます。これが第二内科の底力ではないかと考えています。この10年間様々なことがありましたが、多くの先生方の御努力・御支援でこのように恵まれた結果を得ることができ、無上の喜びであります。
次の9年間で私は以下の3つのことを目標にして第二内科の舵を取っていこうと考えています。
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研修制度の変革等で、地域医療が危機的な状況である。私たちはこれを維持するために、関連病院を整備し、医局と教育病院の連携の強化を図る。具体的には、ITなどの活用による地域医療機関と大学の同時双方向性の連携強化と、教官および準教官を教育病院に派遣し研修体制の充実を通して魅力ある医療を確保する。 |
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研究ではNature、Science、N Eng J Medへの論文掲載をめざし、人材と研究費の集約をはかる。具体的には、基礎教室との共同研究を強化し、実績と将来性を有する研究者に十分な時間と資金を配分する。 |
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教育では第二内科の枠組みを超えて、長崎大学の内科の連携を行う。また、感染症の臨床教育ではこれから必要になる感染制御学の我が国における中心的拠点化を目指し、学内外から人材を集め、感染制御のリーダーとなる人材を育成するシステムを作る。 |
同門あるいは医局員の先生方、ならびに学内外の先生方の御指導、御助言を仰ぎながら、優秀で、かつ人間性あふれる医師を育て、地域医療に貢献し、かつ医学の発展に寄与する、そんなプロフェッショナルの集団として、今後も第二内科の絆を深めて行きたいと考えています。私自身も平成18年4月より医学部長に就任し、長崎大学全体の舵取りにも尽力しなければならない立場となりました。平成20年には新病院の建築も完了し、長崎大学の新たな診療体制もスタートします。さらに長崎大学医学部は今年創立150周年を迎えます。残り9年間もこれまでのような幸運に加えて、非力ながらもこつこつと努力を積み重ね、第二内科、そして長崎大学医学部のために貢献出来ればと、半分の任期を終えてさらに身の引き締まる思いで頑張っていく所存です。
平成19年1月30日
長崎大学第二内科
(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 感染免疫学講座)
教授 河野 茂 |
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