診療実績 [ 2015年度 ]

 入院患者数の年次推移です。2015年の入院患者数は1078名で、循環器内発足以来、毎年、増加しています。



入院患者数の年次推移


 入院患者の疾患内訳は、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞):36%、不整脈:23%、心不全:13%、肺循環疾患:7%の順で多く、ここ1年では慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の治療であるバルーン肺動脈形成術(BPA)の増加に伴い、肺循環疾患の増加が目立ちます。

2015年 入院患者疾患別内訳

 入院患者の年齢構成もこれまでとほぼ同様で、70才以上の患者さんがほぼ50%を占め、60才以上では約80%です。急性期治療が終わった患者さんは、地域の病院・施設において、リハビリや治療を継続してもらっています。また、自宅での加療を望まれる方には、開業医の先生方との連携を取りながらリハビリや治療を行っています。 

 当科で行っている主な治療の年次推移を、次のグラフに示しています。
   
治療件数の推移


 虚血性心疾患の治療であるPCI: percutaneous coronary intervention、いわゆる風船治療やステント留置術は、治療件数は2011年に一旦減少したものの、2012年以降は回復し、2015年は211件でした。PCI治療の適応は、患者さんの症状だけでなく、負荷心電図や負荷心筋シンチ等の非侵襲的な検査を用いて、あるいは、直接、冠動脈内の冠血流予備量比(FFR: fraction flow reserve)を測定して決めています。
 不整脈治療に関して、ペースメーカー植込みは、同程度の件数で推移しています。一方、カテーテルアブレーションは毎年着実に増加しています。当科でも心房細動に対するアブレーション治療を行っています。
 循環器疾患における重要な検査の一つに、心エコー(超音波)検査があります。2015年の経胸壁 / 経食道心エコーの実施件数も例年同様8089件 / 310件と大変多く、また、大学病院であるため、様々な循環器疾患を対象に、検査を行っています。検査実施者だけでなく、オブザーバーも含めた複数の目で確認し、フィードバックも重ねることで、所見の見落としを減らし、正確な評価を行い、検査の質を高めるよう努めています。
 その他に、肺高血圧症は頻度が稀な疾患のため、患者数は少ないですが、近年、その治療薬の開発や進歩は目覚ましいものがあります。全国で限られた施設において行われている治験に我々も参加しており、その治験薬も含めて肺高血圧症患者の治療を行っています。
 近年、肺高血圧症の一つである慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)に対するカテーテル治療(BPA: balloon pulmonary angioplasty)が注目されており、我々も治療を行っています。この治療により、CTEPH患者さんのQOL(生活の質:在宅酸素療法が必要なくなる、服薬数の減少など)が向上することが示唆されており、今後も取り組んでいきます。
 このように、我々は虚血性心疾患、不整脈、心不全、心筋症、そして肺高血圧など、多くの循環器疾患の検査や治療に携わっています。患者さんにとって、より良い治療を目指して、我々は日夜頑張っています。


2014循環器内科集合写真