学生・若手医師の皆さんへ
長崎大学病院循環器内科の診療内容と方針について紹介させていただきます。
循環器内科で多く診療している疾患
 循環器内科では、主に胸痛、息切れ、むくみ、動悸、失神などの症状をともなう病気を診療しています。具体的には1)狭心症、心筋梗塞など、心臓に血液を送る冠動脈に狭窄または閉塞が生じる疾患、2)心臓には4つの弁がありますが、それらのいずれかの弁の開きが悪くなったり、完全に閉まらなくなって血液の逆流が生じる弁膜症、3)心臓の筋肉の異常で心臓の壁が厚くなったり、心臓が大きくなって動きが悪くなる心筋症、4)生まれつき心臓に異常のある先天性心疾患、5)1−4の結果として心臓の動きが悪くなって生じる心不全、6)脈が速くなったり遅くなったり、規則的に打たなくなる不整脈、7)高血圧や低血圧、8)自律神経の調節異常による失神、9)肺動脈に血栓がつまる肺塞栓症や肺の動脈の血圧が高くなる肺高血圧、10)足に行く血管が動脈硬化で狭くなり歩くと足が痛くなる閉塞性動脈硬化症や大動脈瘤、大動脈解離などの動脈疾患に対する診療を行っています。
循環器内科で行っている治療
 前述の病気に対してまず的確な検査を行います。そして診断がついたら主に薬による治療を行いますが、循環器内科の特徴としてカテーテル治療や、ペースメーカー、植え込み型除細動器(ICD)、心臓再同期療法(CRT)、補助循環などの薬以外のやや外科的な治療も多く行います。また、急を要する病気が多いため、診断がつく前でもまず症状を軽くする治療を行いながら、診断のための検査を行うことも良くあります。病気によっては、手術が必要になることもあります。循環器内科の病棟は心臓血管外科と同じフロアーにあり、常時連携を密にして迅速に的確な治療が可能になっているのが強みです。
 このように循環器疾患の治療法は最近急速に進歩しておりますが、まだまだ治療できない病気も数多く残されています。新しい治療法の開発、応用にも今後積極的に取り組んで行きたいと思っております。
当科の診療方針
 循環器内科は心臓や血管に対する専門的な診療を行いますが、患者さんはいくつかの病気を同時にもっていることが多々あります。当科で働く医師は循環器の病気のみでなく、他の病気についても総合的に診療し、患者さんを全人的に診ることのできる医療をめざしています。ただ大学病院の特長として、さらに専門的な診療が必要な場合には他のどの科の先生とも連携をとれるメリットを最大限に生かしています。
 患者さんの診療には、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、栄養士などとの連携が重要です。一人の患者さんについて、これらの職種の者がいっしょにカンファランスを開き、よりよいチーム医療をめざしています。
病診連携・病病連携
 長崎県の拠点病院として、関連の病院、診療所と連携をとりながら、診療を行って行くことは極めて重要です。急性心筋梗塞など一刻を争う急性疾患は一刻も早く専門病院で治療できるよう救急医療のネットワークを構築しています。一方、病気が落ち着いたらかかりつけ医による、きめ細かい日頃の診療や、往診による診療をお願いしています。
学生教育
 大学病院の使命として、学生の教育も大きな部分を占めます。単に循環器疾患の知識や手技の習得のみならず、患者さんの話を良く聞き、身体所見を的確に診察し、自分の頭で考え解決して行く能力を養うとともに、患者さんの立場に立った視点をもった医師を養成したいと考えています。そのためには患者さんの学生教育へのご協力をお願いすることもありますが、その際はよろしくお願いします。
長崎大学病院循環器内科 科長
教授 前村 浩二
外来診療担当表(スタッフ・診療時間)
入院患者数の推移・入院患者疾患別内訳・治療件数の推移
病院への交通アクセス