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他大学からの研修・見学:横浜市立大学医学部(平成30年5月24日〜25日)
長崎大学法医学教室 実習レポート

横浜市立大学医学部医学科4年
甲斐 史一
 私は大学のカリキュラムの一部であるリサーチクラークシップの一環として、長崎大学医学部法医学教室で実習をさせて頂きました。
 まずは検案、解剖を見学させて頂きました。警察官の方々が解剖に参加し、複数人の先生が同時に解剖所見の音声入力をして解剖の効率化を図っている様子には驚かされました。また、解剖所見やCT画像、病理のプレパラートまでスキャンしてすべてデータ化されて整理され、それぞれの情報へのアクセスが容易になっていました。その中でも解剖の所見の写真は後々に編集ができないようなファイルで保存されており、誤りによる編集や第三者による編集を防止していることには、真実を追求する法医学者としての意識の高さを感じさせられました。
 他にも、長崎大学では当大学とは異なり、法医学教室にCT設備を備えていました。学内における資格を持った警察官がそのCTでご遺体を撮影し、その結果を放射線科の医師が読影をしているそうです。資格を持った警察官がCT画像を撮ることで、24時間体制での撮影を可能にし、撮影した画像を読影の専門家である放射線科医が読むことで正確な鑑定を実現しています。これは、理想的な協力の形で、法医学におけるチーム医療の形であると感じ感銘を受けました。また、このCTは、剖検の最中の検査の1つとして行うのではなく、解剖前に行い解剖を行うのかを決定するのに用いると聞き、非常に有用であると感じました。
 また、教室で法歯学を担当している山下裕美先生にも講義をして頂きました。歯科の先生が解剖の際に所見を取っているのは新鮮で、ご遺体の口腔内の所見だけで年齢を特定しているのには驚かされました。また、東日本大震災の際にDNAで人物特定をしたのが1.1%なのに対して歯科所見で人物特定をしたのが7.9%だと聞いて、災害時などの歯科所見の重要さについてあらためて気付かされました。
 今回の実習を通じて、法医学、ひいては医学に携わる者として、客観的な視点で、ご遺体や患者からの所見を見て、検査や分析を惜しむことなく行うことが重要であると考えさせられました。
 最後にはなりますが、お忙しい中時間を割いて講義までしてくださった池松和哉教授、山下裕美先生をはじめとする長崎大学法医学教室の皆様に厚く御礼申し上げます。



長崎大学法医学教室実習見学報告書

横浜市立大学医学部医学科4年
針金 裕平
 この度はご多忙にも関わらず実習見学を受け入れていただき、御礼申し上げます。私の所属する横浜市立大学医学部では、4年次にリサーチ・クラークシップという約4ヶ月間の研究室配属実習カリキュラムが設けられています。他の基礎研究室や臨床教室と異なり、広い視点で社会の安全に貢献する法医学の領域に私は興味を抱くようになり、法医学教室に配属となりました。そのプログラムの一環で、長崎大学法医学教室にて実習見学をさせていただきました。
 教室を拝見して、規模及び研究施設、スタッフの充実さにとても驚きました。学生専用部屋も配置されており、研究に打ち込みやすい環境であるように感じました。
 一通り教室のご案内を受けた後、検案業務の見学、及び山下裕美先生から歯科による個人識別のご講義を拝聴する機会をいただきました。検案では所見の採取など基本的な流れは横浜市立大学と同様でしたが、死後CTを活用して総合的に解剖の必要性の有無を判断していること、歯科法医学専門の先生が歯科所見を取り、個人識別に役立てていることなどが特徴的に感じました。口腔内所見でご遺体の年齢をほぼピタリと的中している手技に感嘆しました。
 また、池松和哉教授から長崎県での検案・解剖実務の運営システムについてのご講義を拝聴する機会をいただきました。県下の法医学教室は長崎大学のみで、離島が多数存在するという神奈川県とは異なった環境下での実務の効率的な運営システムに驚きました。検案においても死後CTを活用しており、警察の協力のもと、24時間365日運営の撮影体制が整備されており、撮影後、放射線科医が読影をし法医学教室へと報告がなされるという連携が取られていることがとても印象的でした。救急との連携で週一回カンファレンスに参加するなど、他科との連携を重視している点も長崎大学の特徴的なのかと感じました。
 その後実際に解剖見学を行い、様々な点で横浜私立大学との違いを観察することができました。撮影された写真はすぐさまデータベース上へと保存される点、AmiVoiceによる所見入力は複数の医師により同時に実行される点、解剖終了後はすぐさまメールにて関係者に結果報告し共有する点、など実務運営の面で業務負担を軽減する工夫がなされていると感じました。
 本実習を通じ、法医学のもつ社会的な役割を再認識することができました。このような機会を与えてくださった、長崎大学医学部法医学教室の皆様に改めて御礼申し上げます。今回の経験を忘れずに、広く社会的な視野を持った医師になれるよう精進してまいります。



長崎大学法医学教室 実習見学レポート

横浜市立大学医学部医学科4年
玉置 亜実
 横浜市立大学では4年前期がリサーチクラークシップという研究実習にあてられており、私は当大学の法医学教室に所属し研究活動をしてまいりました。この度は、研究実習の一環として、長崎大学の法医学教室に実習見学に行く機会を設けていただきました。検案や解剖の見学、施設内見学、法歯学に関する講義、長崎大学法医学教室のシステムについてお話を伺うなど、たくさんの経験ができました。
 検案では、長崎大学では歯科医師の方が常駐しており、ご遺体の歯科所見をその場で正確に残していることが当大学との大きな違いでした。山下裕美先生が歯牙の状態から年齢を±2歳程度まで絞り込んでいたことに大変驚きました。年齢だけでなく喫煙の有無などの生活状況まで予想できるとのことで、歯牙や口腔内環境から得られる情報の多さに改めて気付かされました。
 山下先生が法歯学についての講義をしてくださり、特に印象深かったのは、東日本大震災の際に歯牙鑑定が個人識別に大きく寄与したことを数字で実感したことです。また、私は歯牙鑑定による個人識別をテーマに研究をしているため、山下先生に研究の方向性について親身に相談に乗っていただき、大きなヒントを得ることができました。
 施設内見学と法医学教室のシステムについて池松和哉先生からお話を伺い、人員や設備が充実しているのはもちろんのこと、他大学の法医学教室との連携や他職種との連携もなされており、なにより解剖に関するデータや連絡がシステム化されており、大変効率化されていることに感銘を受けました。解剖することだけが全てではなく、一つでも多くのご遺体を多角的に見ることが重要で、そのために効率化はなくてはならないものだと強く感じました。 
 解剖では、解剖で用いる音声入力システムが、長崎大学では複数人が同時入力できるようになっており、入力項目も当大学とは異なることが印象的でした。また、警察官の方々が積極的に解剖業務を行っていました。見学を通して、解剖業務にも地域柄がでることを実感するとともに、それぞれの先生が異なる視点を持って業務にあたっていることに気付かされました。
 最後になりますが、お忙しい中で実習見学を受け入れてくださった池松和哉先生ならびに長崎大学の法医学教室の方々に心より御礼申し上げます。


 
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