九州法医学ワークショップ INDEX
 
ホーム九州法医学ワークショップ平成24年11月23日ー 11月24日>東京医科大学:水上 創


 第2部 法医学 症例クイズ 問題提示編

  東京医科大学
水上 創

本問題
<症例>
 1歳5か月の男児。両親、1歳年上の兄との4人暮らし。

<病歴>
 38週2日、帝王切開で出生。これまで発育遅延や既往歴なし。ワクチン接種はBCG(4カ月)、DPTおよびHib(5、6、7カ月)、MR(1歳2カ月)。

<状況>
 4月5日から入園した保育園ではロタウイルス感染が流行中。
 4月7日の起床時より大量の泥水様便、その後嘔吐も始まる。かかりつけの小児科にて、ロタウイルス感染と診断(糞便ロタウイルス抗原+)、ナウゼリン、ビオスリーを処方。その後も下痢、嘔吐を繰り返していた(兄も嘔吐主体の症状)。4月8日の下痢は濃い褐色調。
 4月9日午前4時30分ころ、ベビーベッドで本屍が泣いており、母親がオムツを交換。午前5時頃、父親が、本屍がうつぶせになっているのを確認。午前6時35分頃、母親が様子を見ると、反応なく、救急隊を要請するも既に心肺停止で、硬直、死斑が出現。死亡約7時間後に行政解剖。

<剖検所見>
1.身長79cm、体重10.6kg。死斑は淡赤色で体幹部前後面に軽度に発現、指圧褪色する。硬直は全身に軽度に発現。
2.心臓:43g。卵円孔は閉鎖。
3.肺:左56g、右61g。左肺割面よりStreptococcus pneumoniae(3+)、E. coli(+)、Moraxella catarrhalis(+)、エンテロウイルス(+)、RSウイルス(+)を検出(ウイルスは遺伝子検査)。
4.肝:393g。
5.腎:左33g、右33g。
6.胃十二指腸、空回腸および結腸は黄緑褐色下痢便を容れ、腸内容よりA群Rotavirusを検出(遺伝子検査)。
7.脳1230g。
8.血液型はB型。マウス毒性反応およびシェーンバイン反応陰性。血液および尿よりエタノール、n-プロパノールは検出されず(アセトンは各々36μg/mlおよび71.5μg/ml検出)。



 第2部 法医学 症例クイズ 問題提示編

  東京医科大学
水上 創

追加・予備問題
<症例1>27歳 男性(建設会社員)
状況:午前7時55分頃バイク(カワサキ、250cc オンロードタイプ)で通勤中(ヘルメットあり)に転倒(当日は雨、転倒理由は不確定)、後方から来た2トントラック(約半分位の積載)に轢過された。トラックには高さ0.4〜0.45mのデフ(バンパーの一部と言われた)に損傷あり(警察の言)。
病院:到着時意識あり、胸部X線で左鎖骨骨折(線状骨折)、左肺挫傷の疑い、縦隔内に血腫の疑い、左右胸腔内血気胸、皮下気腫あり、左右胸腔から2000〜3000mlの出血、血管造影で出血部位写らず。 左鎖骨骨折による鎖骨下動脈の破綻と思われる(病院カルテ及び先生の言)。

<症例2>
状況(1):平成○年×月□日午後17時50分頃、片側3車線の道路の中央線をカワサキ製250ccスポーツタイプのバイク(ニンジャ)で、約50kmの速度で走行中、前方の大型トラック(1)を追い抜こうとするため、同トラックの左車線へ移動したところ、左車線に駐車中の大型トラック(2)後方に衝突、死亡したもの(警察の言)。

遺体所見情報の追加事項
1.病院に搬送されているが、検案日は休日であったため、病院からの情報なし。
2.損傷部位は以下の通り。下顎、左三角筋部、左腋窩、左手指、左右膝部周囲、左下腿、左臀部。
3.左下腿の骨折は、内側方向に開放骨折。
4.頚部が異常に可動。
5.左上腕、左下腿、頚部以外に明瞭な骨折は触れない。
6.明瞭な皮下気腫は触れない。
7.洋服の提示はなし。
8.バイクが右に転倒しているので、本屍も右を下にして倒れていたと思われるとの事。
9.検案日、トラックの写真提示は1枚のみ。

 
法医学教室について
教授挨拶
スタッフ紹介
業務・研究内容
ご遺族の皆様へ
死因究明医育成センター
九州法医学ワークショップ
法医学の医師になろう!高校生の皆さまへ
業績
大学院生募集
関連リンク
お問い合わせ
国立大学法人 長崎大学  
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療科学専攻社会医療科学講座
法医学分野 (長崎大学医学部法医学)
〒852-8523 長崎市坂本1丁目12番−4号 基礎棟6F
tel. 095-819-7076 / fax. 095-819-7078 
E-mail
forensic_med_nagasaki@ml.nagasaki-u.ac.jp
※@(全角)を@(半角)に変更して送信ください。
 
Copyright(C)