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ホーム九州法医学ワークショップ平成26年11月22日ー 11月23日>東京慈恵医科大学法医学教室:柗本紗里


ダイビング中に死亡した50代男性の1剖検例

  東京慈恵会医科大学 法医学講座
柗本 紗里

【症例概要】
50代男性。7月某日9:55に某諸島に到着し、そのままダイビングショップで酸素ボンベを借りて、知人2人とダイビングスポットへ行った。11:20単独で潜水を開始、11:35水中で写真撮影、11:45水面にうつ伏せで浮かんでいた。酸素ボンベは残圧70、ダイビングコンピューターには水深約51mと記載があった。救急搬送先で施行された検査によると、WBC 10300, Hb 14.2, CRP 0.1, Glu 99, 頭部CTに異常を認めなかった。
病歴:狭心症(2-3年前に冠動脈ステント留置術)、高血圧、高脂血症、逆流性食道炎
内服:ミカルディス、バイアスピリン、メバチロン、アムロジン、タケプロン

【写真提示】
全身外表、横隔膜下降像、肺虚脱、胸腔穿刺による気体の漏出、主要臓器のマクロ・ミクロ像

【剖検時検査結果】
エタノール 血液0mg/ml、尿0.01mg/ml、HbA1c 6.0%、NT-proBNP 1750pg/ml

【設問】
①症例概要のみの情報から、可能性が高い死因を列挙せよ。
②胸腔の肉眼所見から、診断名を答えよ。
③死体検案書の死亡の原因、死亡の種類を考察せよ。

【グループのまとめ・解説】
①急死、水中死亡、心疾患の既往に着目して、溺死、心臓性疾患、減圧症・気胸などを解答例としたが、各グループとも的を射た鑑別疾患を挙げていた。
②気胸
③死亡状況と胸腔所見から減圧性気胸が生じたと思われるが、ベテランダイバーが急浮上する何らかの理由があった可能性を考えていただきたかった。検索範囲には明らかな急性期病変を認めず、溺水所見もなかった。解答例では減圧性気胸を死因としたが、心疾患等が契機になった可能性も高く、また死後に浮上し気胸所見が出現したことも考えられ、様々な記載方法があると思われる。


 
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