医学部長メッセージ

  長崎大学医学部長:下川功
長崎大学医学部長 下 川  功

 医学部の使命は、医学、保健(看護、リハビリテーション)学を志す学生を健全に育成し、有能で人間性に富む医療人として社会に輩出することです。
 社会における医療人の役割は、病める人々の人としての尊厳を最後まで守ることであると私は理解しています。それは、医師や看護師として患者に直接接するだけではなく、研究室で生命科学の疑問に答えを見つけようとする努力や行政の場で医療福祉に尽くすことも含まれます。
 医療人の育成のためには、一貫した医学、保健学教育を行うとともに、学生の個性を伸ばし、能動的な学習態度を醸成するための多様な教育プログラムを提供する必要があります。
 そして、私たち、教職員は職務に忠実で、医療、研究、教育を国際的に高いレベルに保つよう常に努力する必要があります。
 1836年、長崎においてオランダ人医師のもとで医学を学んだ緒方洪庵は、大阪に戻り、医院を開業するととともに蘭学塾「適塾」を始めました。その適塾における十二か条の訓戒、第一条*を記します。私は、この第一条を心に刻み、医学部長としての職務を遂行するつもりです。

「医者がこの世で生活しているのは、人のためであって自分のためではない。決して有名になろうと思うな。また利益を追おうとするな。ただただ自分をすてよ。そして人を救うことだけを考えよ。」

 

*適塾における十二か条の訓戒は、ドイツを代表する医師、フーフェランド(C.W.Hufeland 、1764-1836)が執筆した「Enchiridion Medicum」(医学必携)のオランダ訳書を、緒方洪庵が十二か条にまとめ、医師が守るべき戒めとして塾生に教えたと言われている。おそらく、ポンペ先生もこの医学必携を読んでいたと想像する。