医学部長メッセージ

医学部長から新入生へのメッセージ

 医学部医学科、保健学科の新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。長崎大学医学部を代表して、心よりお祝い申し上げます。
 37年前にこの大学に入学した私の場合と同様、医学の世界への第一歩を踏み出す自分への期待や不安を抱いている方もいるだろう思います。君たちはこれから様々な講義、実習、試験などの厳しい教育プログラムを乗り越えて行かなければなりませんが、先のことを思い煩って悩むよりも目の前のことに日々、全力投球して行くことを大切にしてください。そのうえで大学生活も大いに楽しんで欲しいと思います。
 長崎大学医学部は、開祖であるポンペ・ファン・メールデルフォールトが医学伝習のために講義を開始した1857年11月12日を創立記念日とする日本最古の医学部であり、昨年創立160周年を迎えました。
 近代西洋医学教育の父と称されるポンペは、1859年に西坂の丘で日本初の人体解剖実習を行い、1861年には長崎港を見おろす小島郷の丘に医学所 と日本初の西洋式附属病院である養生所を開院しました。この医学所と養生所が現在の長崎大学医学部および病院の前身であり、その遺構の一部が現在、発掘されようとしています。
 ポンペの長崎着任時の年齢はわずか28歳でしたが、日本を離れるまでのわずか5年間で多くのことを成し遂げました。
 「医師は自らの天職をよく承知していなければならぬ。ひとたびこの職務を選んだ以上、もはや医師は自分自身のものではなく、病める人のものである。もしそれを好まぬなら、他の職業を選ぶがよい。」
 この有名なポンペの言葉は建学の理念であり、我々が目指すべき医療人としての在り方を示しています。皆さん、しっかり心に刻んでおいていただきたいと思います。
 ポンペの時代から現代にいたるまで医療は目覚ましい進歩をとげて来ました。ロボット手術、AI診断など新たな医療技術が導入されようとしている中で、それらを操作、制御する医療人の人間性、モラルが問われています。
 近年、医学部学生の起こした非人道的な行動が度々マスコミに取り上げられていることを危惧しています。社会人であれば職を失うような案件でも、これまで大学生、あるいは医学部生ということで更生を期待して守られてきた部分がありました。我々は医学部生に対する一般社会からの目が大変厳しくなっていることを自覚したうえで、反社会的な行動をとった学生への大学としての処遇も大変厳しくなっていることを認識しておく必要があります。
 厳しいことを言いましたが、決して羽目を外してはいけないと言っているのではありません。ただ近い将来、ポンペの言葉を実践する立場になる君たちは、そのためにどうすれば良いかということを考えながら行動していただきたい。更にこれから学んでいく医療という学問が、病気で苦しむ人々の為に私欲を捨て努力を惜しまなかった先人たちのおかげで発展してきたことを忘れてはなりません。
 真の医療人になるための第一歩を踏み出した君たちを心より歓迎します。
 

 


平成30年4月4日
長崎大学医学部長
永安 武