宿主因子の解析-感染防御因子解析学(腫瘍)
 
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准教授(感染病態制御):林 日出喜

略 歴
1986年4月 大阪大学医学部大学院博士課程入学(微生物病学研究所)
1989年4月 徳島大学酵素科学研究センター酵素遺伝学部門 助手
1994年8月 徳島大学酵素科学研究センター酵素遺伝学部門 助教授
1998年4月 アメリカ、バーナム研究所に留学(Reed-JC博士の研究室)
2001年4月 長崎大学医学部第二薬理教室 助手
2004年11月 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科生命医科学講座内蔵薬理学 講師
2007年4月 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科新興感染症病態制御学系専攻感染免疫学講座 准教授

プロジェクト
1)
インターフェロン調節因子(Interferon regulatory factor)IRF-2-欠損マウスの合成2本鎖RNA、poly(I:C)-刺激(ウイルス感染を模倣)による急性膵炎モデルの研究。
  インターフェロンはウイルス感染防御において重要な役割を果たしているが、その発現調節は主としてIRFsにより行われている。最近、我々はIRF-2-欠損マウス(IRF-2-/-)において、通常の膵臓では発現していないタイプのトリプシノーゲン5(Trp5)遺伝子の顕著な活性化を認め、これがpoly(I:C)-刺激による急性膵炎の発症に不可欠であることを証明した(PNAS, in press)。また、IRF-2-/-マウスが膵臓外分泌腺細胞においていくつかのCa2+-結合蛋白質の発現異常と分泌顆粒の形態異常をともなった分泌不全をきたすことから、IRF2がIFN誘導抑制以外の生理的に重要な作用を持っていることは明らかなので、その分子メカニズムを解析していく。
i) 急性膵炎モデルとしてのIRF-2-欠損マウス(IRF-2-/-)の利用。特に分泌顆粒の蓄積といった顆粒の分泌輸送におけるIRF2の役割の解析。
ii) ヒトにおけるIRF2のIFN誘導と関係のない役割の検索。
 
2) IRF-4、癌原遺伝子c-RelのATLL(Adult T-cell leukemia/lymphoma)における役割の解析。
  IRFファミリーのなかで、IRF-4はその発現がリンパ球や骨髄系細胞に限られ、インターフェロン誘導とは関係のない、PMA/Ionomycin(以下P/I)といった増殖因子処理、TCR(T-cell receptor)刺激等によって誘導されるという特徴を持っている。さらにIRF-4欠損マウスを使った実験により、in vivoにおいてもT細胞、B細胞の増殖、分化の過程において重要な役割を果たしていることがわかってきた。ヒトのHTLV-1(human adult T-cell leukemia virus type 1)感染に起因するATLL(adult T-cell leukemia/lymphoma)におけるIRF-4及びc-Relの役割を明らかにし、治療につなげることを目標としている。
 
3) ATLLの治療を目指したTRAILと併用して細胞死誘導効果のある生物活性物質の検索。
  TRAIL (TNF-related apoptosis inducing ligand)の受容体は少なくともDR4(TRAIL Death rceptor4)、DR5、DcR1(TRAIL Decoy receptor1)、DcR2の4種類が知られており、DR4、DR5を介してアポトーシスの外因性経路、及び内因性経路を活性化し、細胞死を誘導する。当初、悪性腫瘍特異的にアポトーシス誘導能を持つ分子として期待されていたが、その後、DcR1、DcR2のような細胞死のシグナルを伝える細胞内ドメインを持たないおとり分子の存在等により、多くの癌細胞においてTRAILに抵抗性があること、さらに細胞の種類によっては正常細胞においてもTRAILにより細胞死が誘導されることもわかってきた。そこで、よりTRAILの作用を増強し、癌細胞特異的に細胞死誘導効果を持つ、新たな生理活性物質の検索を行っている。
 
4) ヒトiPS細胞を用いた、ウイルス感染高感受性細胞株の樹立。
  ヒトiPS (induced pluripotent stem cells)細胞において、Interferon regulatory factors(IRFs)のshRNA, Dominant negative(DN)変異体を用いてIFNの産生に関与するシグナル伝達系を異なる部位で阻害(knock-down)する細胞株を樹立することを試みている。それらの細胞株をいろいろな細胞に分化させることにより、これまで困難であったウイルスの増殖、単離に貢献できると期待される。さらにウイルスの感染が疑われながら、ウイルスを単離できなかった症例や新興ウイルス感染症におけるウイルスの単離も期待される。またウイルスを大量に産生させることにより、ワクチンの開発やウイルスそのものの研究にも使用できると考えられる。

主な業績
  http://gyoseki.jimu.nagasaki-u.ac.jp/IST