患者さんへ

耳鼻咽喉・頭頸部外科の病気
診療内容 [ 耳科・神経耳科学領域 ]
 中耳・神経耳科診療班では慢性中耳炎、真珠腫性中耳炎、耳硬化症などの中耳疾患に対する手術を中心に、高度感音難聴に対する人工内耳埋め込み手術や、めまいを含めたほぼ全ての耳疾患に対して診療が可能です。

小児中耳炎
 中耳炎は幼少児に多く、年齢と共に次第に治ってくる病気ですが、その後に手術を要するような後遺症に発展することがあります。従来の一般的耳鼻咽喉科診療ではそれを早期に見つけて積極的に治療することは難しかったのですが、当科では中耳の生理学的機能、構造の発達をみることにより、そのようなハイリスクの幼小児を見出して重点的に治療する方針を確立しています。

慢性中耳炎
 慢性中耳炎は小児にも成人にもみられ、日常生活に支障を来たす難聴や、なかでも真珠腫性中耳炎などでは時に頭蓋内合併症を引き起こすなどの問題がある病気です。これを治すには手術が必要ですが、当科では中耳の生理的機能に基づいた独特の理論で各患者様に最適な手術方法を選択しているため、再発や手術による聴力低下が少なく、手術後も長期に安定した結果が得られています。
 さらにこの手術方法は、以前の中耳炎による後遺症としての難聴や、中耳炎の手術を過去に受けて難聴が残っているような場合にも非常に有効で、手術によって聴力が改善する可能性は約7割です。
 また当科での手術方法では創の治りが早く、最も軽い中耳炎に対する鼓膜形成術は日帰りないしは2-3日の入院、かなり重症のものでも通常術後10日程度で退院できます。

高度感音難聴
 感音難聴は色々な原因で耳の奥の内耳にある音を感じる細胞が減少することによって起こるもので、先天性、後天性に限らず治らないものが多く、したがって両耳に高度の感音難聴を持つ方々はこれまでコミュニケーション手段として手話などに頼らざるを得なかったのですが、最近は人工内耳という手術で埋め込む内耳の代用品でかなり言葉がわかるようになりました。
 当科では1997年より手術前後の検査、リハビリテーションの体制も整えてこの人工内耳の医療を行っており、これまですでに130例以上の手術を行い、全国でも有数の人工内耳センターとして機能しています。
 とくに発達に大きな影響を与える小児の先天性高度難聴に対しては積極的に人工内耳を推進しています。

その他の難聴
 その他、鼓膜、耳小骨などの先天奇形による難聴(中耳奇形)、交通事故や転落事故による難聴(外傷性耳小骨離断)、また原因不明で耳小骨が固まって音の伝わりが悪くなる耳硬化症なども同じく手術が必要な病気ですが、手術により聴力が改善する可能性は高く、当科でこれまで行った手術ではほぼ100%の患者さんで聴力改善が達成されています。
 また稀ですが耳の奥の神経に腫瘍ができることがあり、聴神経腫瘍や顔面神経鞘腫と呼ばれていますが、これらもやはり難聴の原因となる他、時に頭蓋内に進んで意識障害など重篤な症状を起こすことがあります。
 手術による摘出が最も完全な治療法ですが、手術を行っても多くの場合
聴力改善は望めません。そのため当科ではこれらの腫瘍に対して患者様の背景なども十分に考えて、手術も含めて一人一人の患者様に最適な治療方針を立てています。

めまい
 めまいは耳の病気や、高血圧など内科的な病気、脳腫瘍、脳梗塞といった脳の病気など、色々な病気から起こり日常生活に大きな支障を来たしますが、最近社会の複雑化のためか、めまいに悩まされる患者様の数は増えつつあるようです。
 当科ではめまいの原因を究明する精密検査システムが専門医のもとに整備されており、さらにメニエール病や聴神経腫瘍などの疾患に対する手術療法もおこなっています。めまいの患者様はどの科を受診すればよいか迷うことも多いようですが、めまいの適切な治療を受けるためには、平衡機能検査というからだのバランスに関する検査を受けることをお勧めしています。平衡機能検査により、めまいの原因がどこにあるのかを判断し、適切な治療を、最も適した科で受けることができるよう方針を決定していきます。