各診療班の紹介
 
循環器疾患
 
 小児の循環器疾患は新生児の緊急治療が必要な症例から、川崎病、学校検診、成人期に達した先天性心疾患など多岐にわたります。心臓外科手術の飛躍的な進歩により今までは助けることができなかった新生児も、びっくりするくらい元気になれるようなってきました。一方で、フォンタン型手術など特殊な血行動態の管理に注意が必要な疾患もでてきました。さらに大人になった成人先天性心疾患の問題もでてきています。胎児から思春期まで成長を見守る小児循環器医の必要性はさらに高まっていると思われます。
 IVIG不応の難治性川崎病の治療では血漿交換療法、インフリキシマブ療法を膠原病・アレルギー・リウマチ膠原病グループとともに導入し、冠動脈合併症ゼロを目指してチーム医療を行っています。
 最近の診療は大学病院だけでは良い医療はできませんので、長崎県下の基幹病院、クリニック、離島、循環器内科、心臓血管外科、産婦人科の各先生方と連携しながら診療を行います。そして、みんなでこども達の成長をみまもりたいと思います。

スタッフ紹介
 
スタッフ名 所属
卒業年
本村 秀樹 長崎医療センター 平成4年卒
大坪 善数 佐世保市総合医療センター 平成10年卒
蓮把 朋之 諫早総合病院 平成14年卒
福永 啓文 長崎記念病院 平成15年卒
桑原 義典 長崎大学 小児科 平成16年卒
石橋 洋子 長崎医療センター 平成18年卒
横川 真理 佐世保市総合医療センター 平成20年卒
草野 智佳子 長崎大学 小児科  平成20年卒 
M田 優季 (休職中) 平成23年卒
大塚 雅和 長崎大学 小児科 平成26年卒
山田 洸夢 JCHO九州病院 平成27年卒
種岡 飛翔 (国内留学) 平成29年卒
石橋 信弘 長崎医療センター 平成30年卒 
池田 英史 長崎大学 小児科 
(医局員外)
   手島 秀剛      大村市立病院   小児循環器学会評議員

1. 長崎大学病院小児科 循環器外来受診について
 

受付;毎週水曜日の午前に診察を行っています。初診の方はかかりつけの先生から地域医療連携室(095-819-7930)から予約をいれていただくと待ち時間が少なくなります。再診の方は予約制を導入していますので予約を小児科外来に電話(14時から15時)で予約をおとりください。基本的に予約が優先となりますので、予約がない新患の方の診察には時間を要します。なお、患者さまの状態や検査の関係で診療時間が遅れたり、順番が変わる事がありますので、ご了承ください。
検査;超音波検査は年間1000例を越える件数を行っていますが、原則的にその日に行うようにしています。また、ホルター心電図も適宜行っています。不整脈の誘発や心筋虚血をみるための運動負荷試験(トレッドミル)は1回の検査で40-50分程度かかるため、予約制で別日に行っています。冠動脈の異常が強く疑われるときには、心臓CT、心筋シンチグラフィーを行うようにしています。心臓カテーテル検査については適応がある方については火曜日に入院検査で行っています。

特殊検査について
1) MRI、心臓CTについて
 放射線科と協力して行います。診断はもとより、画像の精度もよくなっていますので心臓の形態、冠動脈、心筋症の診断に用いることができます。造影剤の使用など事前の血液検査や処置が必要ですので事前予約が必ず必要になります。
2) 胎児診断
 産婦人科、新生児グループの先生と協力しながら出生前からアプローチするようにしています。近年はすでに胎児診断がついて、妊娠中から関わることが増えてきています。なお、当院では新生児開心手術は行っていませんので、出生直後に循環不全となる超重症児は母体搬送を検討します。それ以外であれば出生後に状態を判断しながら手術病院と連絡をとり、手術施設へ搬送していくようにしています。手術後状態が落ち着いてきたら、当院へ再転院して管理を続けることもあります。
3) 心臓カテーテル検査
 火曜日の午前に行っています。麻酔をようする負担の大きな検査でありますが、得られる情報も大きいので適応を検討しながら行います。基本的な入院スケジュールは月曜日入院、火曜日午前にカテーテル検査、木曜日退院の34日としています。
4) QT延長症候群の遺伝子診断、その他の不整脈の遺伝子診断について
 QT延長症候群の遺伝子診断については国立循環器病研究センターの先生と協力して、とくにリスクの高い方について有料で検査を行っています。その他の不整脈の遺伝子診断については長崎大学医学部生理学教室の蒔田先生に相談させていただいております。

2. それぞれの地域の基幹病院での心臓外来について
 
A 長崎医療センター
県下で唯一、小児の開心術が行われている施設です。小児循環器医、小児心臓外科医が協力して治療を行っています。肺動脈弁狭窄に対してのカテーテルインターベンションも行われています。外来は初診の方も含めてすべて予約制ですので、かかりつけの先生と相談して予約をお取りください。
B 佐世保総合病院
小児循環器医が常駐しNICUも有していますので県北地域の新生児の緊急にも対応しています。外来は第2、第4木曜日の午後に予約制で行われています。
C 諫早総合病院
小児循環器医が出張し第1、第3木曜日の午後に専門外来を行っています。
超音波検査、ホルター心電図、運動負荷試験を行っていますが、さらに精査が必要な場合は、大学病院もしくは長崎医療センターで検査を続けます。予約制ですのでかかりつけの先生と相談して予約をお取りください。
D 五島中央病院
小児循環器医が出張し、第4木曜日午前に専門外来を行っています。
超音波検査、ホルター心電図を行っていますが、さらに精査が必要な場合は、大学病院もしくは長崎医療センターで検査します。予約制ですのでかかりつけの先生、小児科外来へ相談して予約をお取りください。
E 上五島病院
小児循環器医が出張し、夏、冬の年に2回程度専門外来を行っています。

3. 研究の概要
 
1. 川崎病およびIgA腎症におけるウテログロビン遺伝子の多形について疾患感受性などを研究しています。
2. 川崎病の発症の成因の解明について感染症との関連を見直す研究を行っています。
3. 学校検診、学校保健にたいして長崎県、長崎市の学校心臓検診委員としてとくに心臓系突然死の減少に向けて管理指導、健康教育の研究を行っています。
4. 難治性川崎病の血漿交換療法、インフリキシマブ療法についてアレルギー・リウマチ膠原病班とともに治療研究にあたります。
5. ダウン症候群など全身性症候群と心疾患について、他の診療グループの先生と協力し検討しています。
6. 先天性風疹症候群の心合併症について
熱帯医学研究所小児感染症学分野の先生方と共同研究でベトナムにおける先天性風疹症候群の心合併症についての研究を行っています。

4. 勉強会・カンファレンス
 
 小児循環器疾患の勉強会を小児科図書室(外来棟10階)で開催しています。成人先天性心疾患カンファランスを隔週第4火曜日18時から病棟10階カンファレンス室で循環器内科の先生方と行っています。年長児の外科的疾患については適宜、心臓血管外科の先生とカンファレンスを行っています。

長崎大学小児科小児循環器医になろうと考えている先生へ
 循環管理は全身管理の基本になります。循環器を習得することで小児の全身管理が深まると思います。超音波診断、心臓カテーテル検査での中心静脈路確保などの手技は一般小児科でもきっと役立つことでしょう。また、胎児期から大人になるまでの成長を見守ることができます。長く、こどもたちと関われることはまさに小児科と思います。
 また、女性の方で心臓カテーテル検査などX線が気になる方もおられると思いますが、心臓カテーテル検査を必要としない領域も多数あります。女性特有の疾患や妊娠、出産の助言など女性医師の役割はとても重要なものとなっています。男女とわず気軽に相談してみてください。あなたの声を待っています。
 長崎県内の研修で日本小児循環器学会受験資格をえることができます。
また、大学院へ進学し、研究することもできますので、ご相談ください。


 ☆小児循環器専門医取得までの流れ
 当院は長崎医療センターの小児循環器修練施設群として専門医取得のための施設として小児循環器学会から認定をうけています。そのため、2つの病院で所定の修練を受ければ長崎県内の研修のみで専門医受験資格を得ることができます。もちろん、その間に専門施設(福岡市立こども病院、東京女子医科大学など)への国内留学も含めることができます。
 日本小児循環器学会専門医資格を取得するためにはまず3年で小児科学会専門医取得し、その後、5年間の研修施設研修が必要となります。ただし、小児科学会専門医修練中も学会の修練施設での研修が2年間は含める事ができるため施設(長崎医療センターか当院)の制限がありますが、医学部卒業からは8-10年必要になります。
 初期臨床研修 2年
 小児科学会専門医取得 3年
 日本小児循環器学会取得 3-5年   合計 8-10年


 日本小児循環器学会専門医の申請資格は以下のようになっています。
(抜粋;詳細は日本小児循環器学会ホームページで確認してください)
1. 日本国医師免許を有すること
2. 小児科専門医であること
3. 受験申込時、5年以上継続して学会員で会費を完納していること
4. 卒後8年以上の研修・修練期間を有し、本学会が認定する修練施設または修練施設群で5年間の小児循環器修練を修了していること
5. 所定の学術研究業績を有すること
6. 資格認定試験に合格していること

小児循環器専門医の申請に必要な修練内容は以下の通りである。
1. 入院患者の受け持ちを30例以上経験していること
2. 心臓カテーテル検査を30症例以上経験していること
3. 運動負荷試験を5例以上、ホルター心電図読影を5例以上、心エコー検査を100例以上実施していること
4. 心臓検診への参加や要精検者への対応があること
5. 小児循環器に関係する原著論文を1編以上、筆頭演者として刊行していること
6. 日本小児循環器学会認定の学会、研究会、分科会、地方会に小児循環器に関する発表を筆頭演者として3回以上行っていること
7. 日本小児循環器学会学術集会に3回以上出席していること
8. 研修施設内外を問わないが、安全管理に関する会議、講習会に3回以上出席していること


以下は具体的な小児循環器医育成スケジュールについての基本コースです。
詳細は個人で変わりますので相談してみて下さい。

1. 社会人大学院入学優先コース(教育機関5-6年)
 
社会人大学院入学(4年) 最初の2年間は長崎近郊もしくは大学病院

卒業後に
 
東京女子医大
もしくは福岡市立こども病院など
国内留学(1-2年)
社会人大学院の間に基礎知識をつけていきます。
 
循環器診療・研究  

2. 他施設研修を早期に希望コース(教育期間7年)
 
長崎大学附属病院(1-2年)
長崎医療センター(1-2年)
 
 
東京女子医大
もしくは福岡市立こども病院など
国内留学(1-2年)
最低2年間基礎知識をつけて他施設へ国内留学
 
社会人大学院入学(4年) 最初の2年間は長崎近郊もしくは大学病院
 
循環器診療・研究  

3. 他施設留学、循環器学会専門医取得コース
 
長崎大学附属病院(1-2年)
長崎医療センター(1-2年)
 
 
東京女子医大
もしくは福岡市立こども病院
(1-2年)
最低2年間基礎知識をつけて他施設へ国内留学
 
循環器診療・専門医の取得・研究  

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