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近年、死後画像診断が注目されています。「チームバチスタの栄光」など海堂尊氏の小説でAutopsy imaging (Ai)として登場したことも広く認知された一因となっているようです。
日本は欧米諸国に比べて、死因が不明である死体(異状死体)の解剖率が著しく低い国です。また、日本はCT装置を世界で一番多く保有している国です。この二つの状況が組み合わさって、日本の死後画像診断はCTによる画像診断を中心にして急速に浸透しています。
画像診断は、本来放射線科医(画像診断専門医)の仕事であるはずですが、死後画像診断に関しては、検死官や死体検案医(臨床家や法医学者を含めて)が撮像や診断に関わっていることが多いです。しかし、長崎大学放射線科では、死後画像診断においても画像診断の専門家である放射線科医(画像診断専門医)が携わるべきであるという考え方をもとに、近隣を中心に県内の異状死体のCT診断に携わっています。
具体的には、院外の異状死体に関しては、法医学教室と連携し、医学部に設置された御遺体専用のCT装置で撮像された画像を読影しています。CT撮像に引き続き法医学者による解剖がなされる場合が多いです。院内の異状死体(来院時心肺停止症例や入院患者の突然死など)に関しては、院内のCTで撮像し読影をしています。
死後画像診断は、まだまだ制度が確立しておらず、費用の捻出など問題点も多数あります。しかし、長崎大学放射線科はその黎明期から積極的に関わることで、今後の日本の死因究明制度のあり方について一石を投じていきたいと考えています。 |
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