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 教授就任8年目を迎えて 教授 上谷 雅孝
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科
放射線診断治療学
教授 上谷 雅孝

 私が長崎大学医学部を卒業して,放射線医としての第一歩を踏み出したのは1981年です。放射線科に興味をもったのは,林邦昭先生が学生のために開講していた“Chest Roentogenology (Felson)”というテキストの輪読会に参加したことがきっかけでした。ユーモアに溢れた文章で胸部X線写真の陰影の成り立ちを理論的に解説するという構成で,いままでに読んだどの教科書よりも面白く,週1回の輪読会を心待ちにしていました。1枚の胸部X線写真から診断にたどりつく技に興味を惹かれましたが,学生の目からみて放射線科の仕事は地味で単調という印象は拭えませんでした。1年でいいからやってみたらという説得に負けて放射線科に入局したはずが,ここまできてしまいました。このころはEMI社製のCT1010が大学に導入されたばかりで,1スキャン4分もかけてようやく脳の荒い断面が見えるようになったという,まさに画像診断の黎明期でした。これ以後の放射線医学の進歩はめざましく,常に新しい刺激をうけ,恵まれた環境で仕事ができたのは幸せだったと思います。
 1987年から1年半,米国オハイオ州のクリーブランドクリニック放射線科に留学して筋骨格部門(section of musculoskeletal radiology)のclinical fellowとして骨関節の単純写真,CT,MRI,関節造影などを勉強しました。米国の放射線科医の人気は非常に高く,レジデントのマッチングでも1,2位を争うほどの競争率です。教育のシステムも整っており,朝8時と昼12時に開かれる毎日のカンファレンスにも毎回参加しました。たくさんの症例を経験できたこと,ひまが十分にあってたくさんの本や論文を読みあさることができたことは貴重でした。米国の放射線医の能力が日本に比べて高いかどうかはわかりませんが,各科からの信頼度という点では米国のほうに軍配が上がります。現在の放射線科医の地位は他科とのturf battle(縄張り争い)のなかで勝ち得たものだということをしばしば耳にしました。放射線科医としての責任と自負を感じる言葉です。
 これまでは放射線診断,画像診断の臨床研究を中心に行ってきましたが,最近は関節リウマチの早期診断,関節軟骨の評価をメインテーマに据えています。どんな研究にも共通することですが,他の臨床科や基礎教室との連携がますます重要になってきました。グローバル化などといった言葉に象徴される国際的連携も視野に入れる必要があります。近年のIT化はこのようなネットワークの形成に役に立つようにも思われますが,基本になるのは人と人とのつながりであることを忘れないでいたいと思います。
 昨年からは新病棟が建築され,放射線部の大部分の装置が新規更新され,同時にフィルムレスとなりました。大学病院も経営が重視され,費用に応じた収益を上げるという課題も当然のことのように挙がります。しかし,医療の質や患者さんのことをないがしろにして,病院が成り立つはずもありません。なかなか難しい課題ですが,その解決策を積極的に提案していくことが放射線科の重要な役割であり,放射線科医の位置づけを明確にすることにつながると思います。
 教授就任後5年目を迎えました。いまのところ最も大きな課題は人を増やすことです。放射線科の仕事は増加し,しかも専門的な知識をますます要求されるようになっています。学生の教育に力を注ぐこと,放射線科医の役割や重要性をもっとわかりやすく示すように努力したいと思います。この他にもいろいろな課題がありますが,夢をもって働くこと,学ぶことができる教室を目指して,精一杯努力する所存です。今後とも皆様のご指導とご支援をよろしくお願いいたします。


教授プロフィール
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