学生・研修医の皆さんへ

外科医を目指す若い諸君へ...
 150年以上前にシーボルトやポンペらに学んだ多くの日本人医師らにより、東洋医学と西洋医学を融合した日本の医学が発祥しました。その背景には、鎖国時代に唯一門戸を開いていた出島を通して、諸外国の分化と広く自由に接しながら発展してきた、当時の長崎の風土が重要でした。
 長崎大学腫瘍外科も、新しいものを柔軟に取り入れていくことに寛容で、自由な雰囲気にあふれる場を提供できる、外科教室でありたいと思います。
近代外科の大きな方向性として、内視鏡手術の進歩と移植・再生医療の推進が挙げられます。
 内視鏡手術の導入は近年の外科手術にとって大きなターニングポイントになったと言えますが、様々な疾患に対する手術において、まだまだ改良できる可能性のある、あるいは改良しなければならない手術が多く残っています。また手術治療を中心として放射線・化学療法などを併用する集学的治療は近代外科において欠かせないものとなっていますが、それらを実行して行くためには大学病院が中心となって多くのエビデンスを築いていかなければなりません。

 もう1つの柱である移植・再生医療においては、スタートしたばかりの肺移植プログラムの充実と移植外科医の育成が挙げられます。さらに外科手術で失う機能をいかに再生するかという点で、今後いかに再生医療を外科治療に融合させていくかということが重要となっています。
 このようにまだまだ発展途上の外科治療は、バイタリティにあふれ、柔軟な発想をもっている君たちの力を必要としています。150年を超える歴史をもつ医学発祥の地で、21世紀の外科学の発展に寄与したい、そんな気概をもった医師を歓迎いたします。  
教授:永安武
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科腫瘍外科学分野
長崎大学医学部腫瘍外科(第一外科)
教授 永安 武