長崎大学における外科学教室が第一と第二に別れたのは昭和9年6月からです。第二外科の初代教授は古屋野宏平教授(1922年〜)で、自身の原爆被爆にもかかわらず戦後学長として廃校の危機にあった長崎大学の復興に功績を残しました。二代目辻村秀夫教授(1945年〜)は古屋野学長のもとで長崎における外科教室の基盤作りから発展に尽くされました。この流れは三代目平井孝教授(1964〜)にも引き継がれました。四代目土屋凉一教授(1969年〜)は肝、胆道、膵臓の外科手術において国内のみならず世界的な先駆者であり、長崎における消化器外科手術の水準を国内のトップレベルに引き上げました。1991年6月から五代目教授として兼松隆之教授が就任しています。

 診療内容は、消化器外科、乳腺内分泌外科、小児外科です。
 消化器外科は上部消化管、下部消化管、肝臓、胆道及び膵臓外科の各グループに分かれて診療しています。とくに兼松教授就任後、肝移植実施のための準備を進め、1997年8月から生体部分肝移植を開始しました。

 教室の主な研究内容は臓器移植、肝細胞移植、人工肝臓の開発、消化管運動、胆道癌を中心とした発癌研究、癌ワクチンの開発、内分泌癌の治療開発と国際協力などであり、基礎的研究に裏付けられた臨床医学の発展に力を注いでいます。

 もう一つの柱である教育は、卒前教育としてクリニカルクラークシップをいち早く導入し、関連病院の協力により救急現場での研修も行なっています。

 また未来を担う外科医の育成には特に力を注いでおり、時代に応じたプログラムに沿って卒後研修を行なっています。入局者全員が日本外科学会専門医を取得し、日本消化器外科学会をはじめとする専門学会の専門医、指導医育成を行なっています。