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 これまでの卒前臨床医学教育は大学病院を中心として行われてきました。しかしながら、大学病院の機能は高次・専門医療であり、大学病院での実習では、いわゆる「よく遭遇する病気:common disease」に接する機会が少ないことが問題点としてあげられています。また、医学的検査が進歩したことにより、検査データ中心の医療となってしまい、病める人を全人的に診ないようになったとの指摘もあります。一方、医学教育成果に関する学部内委員会において、「医と社会」での実地研修および「社会医学実習」での離島実習等が学生に強いインパクトを与えていたことが明らかとなり、全学生に対する離島における実践体験教育の導入の必要性が指摘されました。

 離島は人口規模が小さいため、人々の暮らしと密着した健康像と保健・医療・福祉体制を身近に感じることができ、かつ中核病院と近隣診療所がコンパクトにまとまり有機的に連携していることから、学生が包括的保健を理解しやすい点で都市部にはない利点を有しているとも考えられます。また、離島では専門医不足が深刻であることから、プライマリケア主体の医療が行われているため、離島の医師は全人的医療を理解・実践していることも特徴です。このように、本土とは違った特性を有しているため離島においては、地域に強く密着した保健・医療体制と独自の広域医療ネットワークが構築されており、地域保健、地域医療を学ぶことを通して包括的保健・全人的医療教育を行うのに最適のモデルであると言えます。