関連法規


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最新のものではありません。




目次




(in English)

動物の保護及び管理に関する法律
Law concerning the protection and control of animals

(昭和48年10月1日 法律 第105号)
(Law No. 105, October 1, 1973)

(目 的)
第1条 この法律は、動物の虐待の防止、動物の適正な取扱いその他動物の保護に関する事項を定めて国民の間に動物を愛護する気風を招来し、生命尊重、友愛及び平和の情操の涵養に資するとともに、動物の管理に関する事項を定めて動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害を防止することを目的とする。
(基本原則)
第2条 何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない。
(動物愛護週間)
第3条 ひろく国民の間に動物の愛護と適正な飼養についての関心と理解を深めるようにするため、動物愛護週間を設ける。
2 動物愛護週間は、9月20日から同月26日までとする。
3 国及び地方公共団体は、動物愛護週間には、その趣旨にふさわしい行事が実施されるように努めなければならない。
(適正な飼養及び保管)
第4条 動物の所有者又は占有者は、その動物を適正に飼養し、又は保管することにより、動物の健康及び安全を保持するように努めるとともに、動物が人の生命、身体若しくは財産に害を加え、又は人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない。
2 内閣総理大臣は、関係行政機関の長と協議して、動物の飼養及び保管に関しよるべき 基準を定めることができる。
第5条 地方公共団体は、動物の健康及び安全を保持するため、条例で定めるところにより、動物の飼養及び保管についての指導及び助言に関し必要な措置を講ずることができる。
第6条 地方公共団体は、動物による人の生命、身体又は財産に対する侵害を防止するため、条例で定めるところにより、動物の所有者又は占有者が動物の飼養又は保管に関し遵守すべき事項を定め、人の生命、身体又は財産に害を加えるおそれがある動物の飼養を制限する等動物の飼養及び保管に関し必要な措置を講ず ることができる。
(犬及びねこの引取り)
第7条 都道府県又は政令に定める市(以下「都道府県等」という。)は、犬又はねこの引取りをその所有者から求められたときは、これを引き取らなけらばならない。この場所において、都道府県知事又は当該政令で定める市の長(以下「都道府県知事等」という。)は、その犬又はねこを引き取るべき場所を指定することができる。
2 前項の規定は、都道府県等が所有者の判明しない犬又はねこの引取りをその拾得者その他の者から求められた場合に準用する。
3 都道府県知事は、市町村長(第1項の政令で定める市の長を除き、特別区の区長を含む。)に対し、第1項(前項において準用する場合を含む。以下第6項 及び第7項において同じ。)の規定による犬又はねこの引取りに関し、必要な協力を求めることができる。
4 都道府県知事等は、動物の愛護を目的とする公益法人その他の者に犬及びねこの引取りを委託することができる。
5 都道府県等は、第1項の引取りに関し、条例で定めるところにより、手数料を徴収することができる。
6 内閣総理大臣は、関係行政機関の長と協議して、第1項の規定により引取りを求められた場合の措置に関し、必要な事項を定めることができる。
7 国は、都道府県等に対し、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、第1項の引取りに関し、費用の一部を補助することができる。
(負傷動物等の発見者の通報措置)
第8条 道路、公園、広場その他の公共の場所において、疾病にかかり、若しくは負傷した犬、ねこ等の動物又は犬、ねこ等の動物の死体を発見した者は、すみやかに、その所有者 が判明しているときは所有者に、その所有者が判明しないときは都道府県知事等に通報するように努めなければならない。
2 都道府県等は、前項の規定による通報があったときは、その動物又はその動物の死体を収容しなければならない。
3 前条第6項の規定は、前項の規定により動物を収容する場合に準用する。
(犬及びねこの繁殖制限)
第9条 犬又はねこの所有者は、これらの動物がみだりに繁殖してこれに適正な飼養を受ける機会を与えることが困難となるようなおそれがあると認める場合には、その繁殖を防 止するため、生殖を不能にする手術その他の措置をするように努めなければならない。
(動物を殺す場合の方法)
第10条 動物を殺さなければならない場合には、できる限りその動物に苦痛を与えない方法によってしなければならない。
2 内閣総理大臣は、関係行政機関の長と協議して、前項の方法に関し必要な事項を定めることができる。
(動物を科学上の利用に供する場合の方法及び事後措置)
第11条 動物を教育、試験研究又は生物学的製剤の製造の用その他の科学上の利用に供する場合には、その利用に必要な限度において、できる限りその動物に苦痛を与えない方法によってしなければならない。
2 動物が科学上の利用に供された後において回復の見込みのない状態に陥っている場合には、その科学上の利用に供した者は、直ちに、できる限り苦痛を与えない方法によってその動物を処分しなければならない。
3 内閣総理大臣は、関係行政機関の長と協議して、第1項の方法及び前項の措置に関しよるべき基準を定めることができる。
(動物保護審議会)
第12条 総理府に、附属機関として、動物保護審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、内閣総理大臣の諮問に応じ、動物の保護及び管理に関する重要事項を調査審議する。
3 内閣総理大臣は、第4条第2項若しくは前条第3項の基準の設定又は第7条第6項 (第8条第3項において準用する場合を含む。)若しくは第10条第2項の定めをしようとするときは、審議会に諮問しなければならない。これらの基準又は定めを変更し、又は廃止しようとするときも、同様とする。
4 審議会は、動物の保護及び管理に関する重要事項について内閣総理大臣に意見を述べ ることができる。
5 審議会は、委員15人以内で組織する。
6 委員は、学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。ただし、その過半数は動物に関する専門の学識経験を有する者のうちから任命しなけれ ばならない。
7 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
8 委員は、非常勤とする。 9 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。
(罰則)
第13条 保護動物を虐待し、又は遺棄した者は、3万円以下の罰金又は科料に処する。
2 前項において「保護動物」とは、次の各号に揚げる動物をいう。

  一 牛、馬、豚、めん羊、やぎ、犬、ねこ、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる
  二 前号に揚げるものを除くほか、人が占有している動物で哺乳類又は鳥類に属するもの

附則 (施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して6月を経過した日から施行する。
 (軽犯罪法の一部改正)
2 軽犯罪法 (昭和23年法律第39号)の一部を次のように改正する。 第1条第21号を次のように改める。
21 削除
 (総理府設置法の一部改正)
3 総理府設置法 (昭和24年法律第127号)の一部を次のように改正する。
第6条中第16号の3の次に次の1号を加える。 16の4 動物の保護及び管理に関する法律 (昭和48年法律第105号)の施行に関すること。
第15条第1項の表中中央交通安全対策会議の項の次に次のように加える。 動物保護審議会 動物の保護及び管理に関する法律の規定によりその権限に属せしめられた事項を行なうこと。
 (狂犬病予防法の一部改正)
4 狂犬病予防法 (昭和25年法律第247号)の一部を次のように改正する。
第5条の2を削る。
 (罰則に関する経過措置)
5 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。







総 管 第60号
昭和49年2月12日

   各都道府県知事 殿

総理府総務副長官

動物の保護及び管理に関する法律の施行について(通達)

 「動物の保護及び管理に関する法律」は、第71回国会において成立し、昭和48年10月 1日法律第105号として、別紙の通り交付され、昭和49年 4月 1日から施工されることになっています。
 この法律の立法の趣旨及び本施行上留意すべき事項は、下記の通りでありますから実施のための準備について遺漏のないようご配慮願います。
 なお、貴管下各市区村長、各関係団体及び住民一般にも本法制定の趣旨及び内容を周知徹底させるようよろしくお取り計らい願います。

(5)(第7条関係)

ア 第1項の「政令で定める市」については、今後関係地方公共団体の意見を聴いた上、個々に政令で指定する予定であること。
イ 第1項又は第2項により都道府県知事が犬又はねこを引き取るべき場所を指定するに当たっては、住民の便宜を考慮されたいこと。
なお、この引き取り事務については、市町村の協力なしには実効を期しがたいので、協力方法に関し、十分市町村と協議されたいこと。
ウ 遺失物法(明治32年法律第87号)第12条の逸走の家畜に当たる犬またはねこについては、同法の定めるところによるものとすること。
エ 都道府県知事等は、第1項又は第2項により犬またはねこを引き取った場合において、これを飼養し、又は試験研究上の利用に供する等のため引取りを希望する意見を見出しがたいときには、これを処分することができるが、その際にはその動物に苦痛を与えない方法によってしなければならないこと。

(6)(第8条関係)

ア 第1項2にいう「犬・ねこ等」とは、犬、ねこ及びこれらに準ずる程度に人々の間で親しまれている動物のことであり、通常家畜とされるべき動物をいうものであること。
イ 第2項により収容した動物のうち所有者があると認められるものについては、所有者の発見につとめてその引取りを求めることとし、その他のものについては (5)のエによること。
ウ 第2項による動物又は動物の死体の収容は、速やかに行う必要があるので、通報の受理、一時収容等を市町村に委任するなどし、事務処理の迅速化を図られたいこと。

(7)(第9条関係)

犬またはねこがみだりに繁殖することが、従来、犬またはねこの保護及び犬またはねこによる人身等への危害の防止に対する障害となっていることを考慮し、みだりに繁殖することの防止に関し、所有者の責務を明確にしたものであること。

(8)(第10条関係)

「動物を殺さなければならない場合」とは、有害動物の駆除、試験研究等科学上の利用、食用のための屠殺及び第7条により引き取った犬、ねこの処分等社会通念上正当と認められる場合をいうものであること。

(9)(第11条関係)

第1項は、動物を科学上の利用に供する場合には、その目的に応じ種々の取り扱いが必要であると考えられるが、その場合でも動物に与える苦痛は「その利用に必要な限度」にとどめるようにすべきことを定めたものであること。






犬及びねこの飼養及び保管に関する基準

(昭和50年7月16日 総理府告示第28号)

第1 一般原則

1 同様の愛情をもって保護するとともに、人の生命、身体又は財産に対する侵害を防止し、及び生活環境を害することがないよう責任をもって飼養及び保管に努め、並びに犬又はねこの所有者は、犬又はねこを終生飼養するようにつとめること。

2 この基準は、動物の保護及び管理に関する法律(以下「法」という。)第7条第1項及び第2項の規定により引き取った犬及びねこ並びに第8条第2項の規定により収容した犬及びねこ、狂犬病予防法(昭和25年法律第247号)第6条第1項の規定により抑留した犬並びに教育、試験研究又は生物学的製剤の製造の用その他の科学上の利用に供する犬及びねこの所有者又は占有者については正当な理由のある場合には、その一部を適用しないことができること。

第2 健康及び安全の保持

1 給餌及び給水 犬又はねこの所有者又は占有者は、犬又はねこの種類、発育状況等に応じて適正に飼 料及び水の給与を行うように努めること。
2 健康管理 犬又はねこの所有者又は占有者は、犬又はねこの外部寄生虫の防除、疾病の予防等健 康管理に努めること。
3 運動 犬の所有者又は占有者は、犬の種類、発育状況、健康状態等に応じて適正は運動をさせるように努めること。
4 保管施設 犬又はねこの所有者又は占有者は、犬又はねこの種類、習性及び飼養数、飼養目的等を考慮して犬又はねこを適正に保管し、必要に応じて保管施設(以下「施設」という。) を設けるように努めること。

第3 危害防止

1 放し飼い防止 犬の所有者又は占有者は、犬の放し飼いをしないように努めること。
2 脱出防止 犬の所有者又は占有者は、犬が施設から脱出しないよう必要な措置を講ずるように努 めること。
3 けい留 犬の所有者又は占有者は、犬をけい留する場合にはけい留されている犬の行動範囲が道路又は通路に接しないように留意すること。
4 しつけ及び訓練 犬の所有者又は占有者は、適当な時期に飼養目的等に応じて適正な方法でしつけを行うとともに、特に所有者は占有者の制止に従うよう訓練に努めること。
5 運動上の留意事項 犬の所有者又は占有者は、犬を道路等屋外で運動させる場合には、下記事項を遵守す驍謔、に努めること。

(1) 犬を制御できる者が原則として引き運動により行うこと。
(2) 犬の突発的な行動に対応できるよう引綱の点検及び調節に配慮すること。
(3) 運動場所、時刻等に十分配慮すること。

第4 生活環境の保全

1 損壊等の防止 犬又はねこの所有者又は占有者は、公園、道路等公共の場所及び他人の土地、建物等 が犬若しくはねこにより損壊され、又は犬若しくはねこの汚物で汚されないように努 めること。
2 悪臭等の発生防止 犬又はねこの所有者又は占有者は、汚物及び排水の処理等施設を常に清潔にし、悪臭等の発生防止に努めること。

第5 その他

1 繁殖制限犬又はねこの繁殖を希望しない所有者は、去勢手術、不妊手術等繁殖制限の措置を行 うように努めること。
2 譲渡又は引取り

(1) 犬又はねこの所有者は、やむを得ず犬又はねこを継続して飼養することができなくな った場合には、適正に飼養することのできる者に当該犬又はねこを譲渡するように努 め、新たな飼養者を見出すことができないときは、都道府県知事(法第7条第1項に 規定する政令で定める市の住民にあっては、当該市の長)に引取りを求めること。
(2) 犬又はねこの所有者は、特別の場合を除き、離乳前の子犬又はねこを譲渡しないように努めること。






犬、及びねこの引取り並びに負傷動物の収容に関する措置要領

昭和50年 4月 5日
内閣総理大臣決定

 動物の保護管理に関する法律(昭和48年法律第105号。以下「法」という。)第七条第1項及び第2項の規定による犬、又はねこの引取り並びに法第8条第2項の規定による疾病にかかり、又は負傷した犬、ねこ等の動物の収容に関する措置は、次によるものとする。
第1 犬、及びねこの引取り
第2 負傷動物の収容
第3 保  管
第4 処  分
   保管動物の処分は、所有者への返還、飼養することを希望する者又は動物を教育、試験研究若しくは生物学的製剤の製造の用その他の科学上の利用に供する者への譲渡及び殺処分とする。
第5 死体の処理
   動物の死体は、専用の処理施設を設けている場合には、当該施設により、専用の処理施設を設けられていない場合には、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)の定めるところにより処理すること。ただし、化製その他経済的利用に供する者への払い下げる場合はこの限りではない。





展示動物等の飼養及び保管に関する基準

(昭和51年2月10日総理府告示第7号)

第1 一般原則

1 管理者及び飼養者は、展示動物の習性、生理、生態等を理解し、かつ、愛情をもってこれを飼養し、及び動物本来の姿を展示して観覧者に動物に関する知識と動物愛護についての関心を深めるように努めるとともに、責任をもってこれを保管し、展示動物による人の生命、身体又は財産に対する侵害及び生活環境の汚損を防止するように努めること。
2 管理者は、施設の立地及び整備状況、飼養者の飼養能力等の条件を考慮して飼養する 展示動物を選定するように努めること。
3 管理者は、自己の管理する施設で飼養することが展示動物の適正な展示、繁殖等に支障があると認めるときは、他の動物園等への移籍その他の措置を講ずるように努めること。
4 管理者は展示動物が伝染病にかかり、人又は他の動物に著しい被害を及ぼすおそれのある場合、苦痛が甚だしく、かつ、治癒の見込みのない疾病にかかり、又は負傷して いる場合、凶暴性が甚だしく、かつ、飼養を続けることが著しく困難である場合等を 除いて展示動物を終性飼養するように努めること。

第2 定 義

この基準において、次の各号に揚げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 動物 哺乳類(犬及びねこを除く。)、鳥類及びは虫類に属するものをいう。
(2) 展示動物 次のアからエまでに揚げる動物をいう。

ア 動物園、水族館、植物園、公園等の公共の場所の常設の施設において飼養展示する動物
イ 不特定の場所に移動して飼養展示する動物
ウ 興行、映画製作等に使用し、又は提供するために飼養及び保管する動物
エ 展示用若しくは愛がん用に飼養する者に販売するため又は客寄せのために飼養展示する動物

(3) 飼養展示 展示動物を飼養し、保管し、及び展示することをいう。
(4) 施設 飼養展示するための施設をいう。
(5) 管理者 展示動物の所有者又は占有者で、展示動物及び施設を管理する者をいう。
(6) 飼養者 飼養展示の作業に従事する者をいう。

第3 健康及び安全の保持

1 飼養者の教育訓練等 管理者は、展示動物の飼養展示がその動物について十分な知識と飼養経験を有する者により、又はその監督のもとに行われるようにするとともに、飼養者に対して必要な教育訓練を行い、展示動物の保護及び展示動物によるによる事故防止に努めること。
2 施設の設置等 管理者は、展示動物の習性及び生理に適合するものであり、かつ、飼養者が適切に飼養展示できる施設を設置し、又は整備するように努めること。
3 適正な飼養 管理者及び飼養者は、下記事項に留意し、展示動物に必要な運動、休息及び睡眠を確保し、並びに展示動物の健全な成長及び本来の習性の発現を図るように努めること。

(1) 動物の種類、発育状況等に応じて適正に飼料及び水の給与を行うこと。
(2) 動物の寄生虫の防除、疾病の予防等日常の健康管理に努めるとともに、疾病にかかり、 又は負傷した動物に対しては、原則として獣医師により速やかに適切な措置を講ずること。
(3) 捕獲後間もない動物又は他の施設から移動してきた動物については、飼養環境への順化順応を図るために必要な措置を講ずること。
(4) 原則として、動物の繁殖が支障なく行われるように出産及び営巣の場所の確保等必要な条件を整えること。

4 観覧者に対する指導 管理者は、観覧者に対して観覧上の注意事項を遵守するように指導を行い、観覧者が 展示動物に食物等を与え、又は石、棒等で展示動物を傷つけ、若しくは苦しめることがないように努めること。

第4 危害防止

1 施設の構造等 管理者は、人に危害を加えるおそれのある展示動物を飼養展示する場合には、施設の構造等について下記事項に留意し、人身事故の防止に努めること。

(1) 施設は、動物が脱出できない構造とすること。
(2) 施設は、飼養者が飼養展示に当たって、危険を伴うことなく作業できる構造とすること。
(3) 観覧者は、施設と十分の間隔を設け、観覧者が観覧上の注意事項を遵守する場合には、 動物が観覧者に触れることができないようにするとともに、観覧場と施設との仕切りは、幼児が容易に越えられないようにすること。
(4) 自動車等を施設に入れて動物を観覧させる場合は、観覧者に対して、自動車等の扉及び窓を常時閉めておくように指導するとともに、施設内の巡視その他観覧者の安全の 確保に必要な措置を講ずること。

2 脱出時対策

(1) 管理者は、人に危害を加えるおそれのある動物の脱出時の措置について予め対策を講 じ、脱出時の事故の防止に努めること。
(2) 管理者及び飼養者は、人に危害を加えるおそれのある展示動物が施設から脱出した場合には、速やかに関係機関への通報及び観覧者等の避難誘導を行うとともに、脱出し た動物の捕獲等を行い、展示動物による事故の防止に努めること。

3 緊急時対策 管理者は、地震、火災等の非常災害に際してとるべき緊急措置を定め、非常災害が発 生したときは、速やかに展示動物を保護し、及び展示動物による事故の防止に努める こと。

4 有毒動物の飼養展示 管理者は、毒蛇等の有毒動物を飼養展示する場合には、抗毒血清等の救急医薬品を備 えるとともに、飼養者に救急処置法を熟知させ、人身事故の防止に努めること。

第5 適正な展示

管理者は、展示動物の展示に当たっては、下記事項に留意し、動物本来の形態及び習 性が観覧できるように努めること。

(1) 観覧者に残酷な印象を与えるような不具動物又は傷病中の動物を展示しないこと。
(2) 動物にその動物の本来の形態を損なうような施術、着色等をして展示しないこと。
(3) 動物に過酷な訓練を伴う演芸をさせないこと。
(4) 動物の飼養に当たって、生きている動物を餌として給与することが不可欠であっても、 できるだけそれを展示中に行わないこと。

第6 生活環境の保全

管理者又は飼養者は、展示動物の汚物等の適正な処理を行うとともに、施設を常に清潔にして悪臭等の発生防止を図り、生活環境の保全に努めること。

第7 飼養展示等の補則

1 管理者は、展示場所を移動して展示する展示動物で、常時第3の2に定める施設に適 合する施設において飼養展示することが困難なものについては、その動物に必要な休息機関を設け、その期間中第3の2に定める施設に適合する施設において十分に休養させ、展示動物の健全な成長及び本来の習性の発現ができるように努めること。
2 管理者は、展示動物の輸送に当たっては、下記事項に留意し、展示動物の健康及び安全並びに展示動物による事故の防止に努めること。

(1) 動物の疲労及び苦痛をできるだけ小さくするため、なるべく短い時間による輸送方法を選ぶこと。
(2) 動物の種類、性別、性質等を考慮して適切に区分して輸送する方法をとるとともに、輸送に用いる車輛、容器等は、動物の安全の確保及び動物の脱出防止のために必要な 規模及び構造のものを選定すること。
(3) 輸送中の動物に適切な間隔で給餌及び給水すること。

第8 愛がん動物の所有者等への準用

この基準の第3(1及び4を除く。)、第4(1の(3)及び(4)を除く。)及び第6に定め る事項で展示動物の飼養及び保管に係る部分は、愛がん用として飼養及び保管する動物の所有者又は占有者に、この基準の第5に定める事項は、犬又はねこの所有者又は 占有者に、この基準の第7の2に定める事項は、愛がん用として飼養及び保管する動物又は犬若しくはねこの所有者又は占有者にそれぞれ準用する。






(in English)

実験動物の飼養及び保管等に関する基準
Standards relating to the care and management, etc. of experimental animals

(昭和55年3月27日 総理府告示 第6号)
(Notification No.6, March 27, 1980 of the Prime Minister's Office)

第1 一般原則

管理者等は、実験動物の生理、生態、習性等を理解し、並びに愛情をもって飼養し、及び科学上の利用に供するように努めるとともに、責任をもってこれを保管し、実験動物による人の生命、身体又は財産に対する侵害及び生活環境の汚損を防止するように努めること。

第2 定 義

この基準において、次の各号に揚げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 実験動物 実験等の利用に供するため、施設で飼養し、又は保管している哺乳類及び鳥類に属する動物 (施設に導入するための輸送中のものを含む。)をいう。
(2) 実験等 動物を教育、試験研究又は生物学的製剤の製造の用その他科学上の利用に供することをいう。
(3) 施設 実験動物の飼養若しくは保管又は実験等を行う施設をいう。
(4) 管理者等 管理者、実験動物管理者、実験実施者及び飼養者をいう。
(5) 管理者 実験動物及び施設を管理する者をいう。
(6) 実験動物管理者 管理者を補佐し、実験動物の管理を担当する者をいう。
(7) 実験実施者 実験等を行う者をいう。
(8) 飼養者 実験動物管理者又は実験実施者の下で実験動物の飼養又は保管に従事する者をいう。

第3 導入に当たっての配慮

1 管理者及び実験動物管理者は、施設の立地、整備状況及び飼養能力並びに実験実施者が策定した実験等の計画等を勘案のうえ定められた当該施設の事業計画に基づき、実験動物を導入するように努めること。
2 実験動物の輸送に当たる者は、その輸送に当たっては、次の事項に留意し、実験動物の健康及び安全並びに実験動物による事故の防止に努めること。

(1) 実験動物の疲労及び苦痛をできるだけ小さくするため、なるべく短い時間による輸送を選ぶこと。
(2) 輸送中の実験動物には、必要に応じ適切な飼料及び水の給与を行うこと。
(3) 実験動物の生理、生態、習性等を考慮の上適切に区分して輸送する方法を採るとともに、輸送に用いる車両、容器等は、実験動物の健康及び安全を確保し、並びに実験動物の脱出防止するために必要な規模、構造等のものを選定すること。
(4) 実験動物の微生物、汚物等により環境が汚染されることを防止するために必要な措置を講ずること。

3 実験動物管理者は、施設への実験動物の導入に当たっては、必要に応じて適切な検疫を行い、実験実施者、飼養者及び他の実験動物の健康を損ねることのないようにすること。

第4 実験動物の健康及び安全の保持

1 管理者は、実験動物に関する知識及び経験を有する者を実験動物管理者に充てるようにすること。
2 管理者は、実験動物の飼養及び保管については、その生理、生態、習性等に応じて適切な設備を設けるようにすること。
3 実験動物管理者、実験実施者及び飼養者は、次の事項に留意し、実験動物の健康及び安全の保持に努めること。

(1) 実験動物の生理、生態、習性等に応じ、かつ、実験等の目的に支障を及ぼさない範囲で、適切に飼料及び水の給与を行うこと。
(2) 実験動物が実験等の目的に係わる疾病以外の疾病にり患することを予防する等必要な健康管理を行うこと。

第5 実験等の実施上の配慮及び終了後の処置

1 実験実施者は実験等の目的を達成するために必要な範囲で実験動物を適切に利用するよう努めること。
2 実験動物管理者又は実験実施者は、次の事項に留意し、実験等の実施及び実験等の終了後の処置に当たるように努めること。

(1) 実験等に当たっては、その実験等の目的に支障を及ぼさない範囲で麻酔薬等を投与すること等によりできる限り実験動物に苦痛を与えないようにするとともに、保温等適切な処置を採ること。
(2) 実験等を終了し、又は中断した実験動物を処分する時は、速やかに致死量以上の麻酔薬の投与、又は頚椎脱臼等によって、実験動物にできる限り苦痛を与えないようにすること。
(3) 実験動物の死体については、適切な処置を講じ、人の健康及び生活環境を損なわないようにすること。

第6 危害防止

1 管理者等は、実験動物の飼養及び保管並びに実験等に関係のない者が実験動物に接することのないようにすること。
2 実験動物管理者、実験実施者及び飼養者は、次により、相互に実験動物による危害防止に必要な情報の提供等を行うように努めること。

(1) 実験動物管理者は、実験実施者に対して実験動物の取扱い方法についての情報を提供するとともに、飼養者に対し、その飼養又は保管について必要な指導を行うこと。
(2) 実験実施者は、実験動物管理者に対して実験等に利用している実験動物についての情報を報告すること。

3 管理者は、実験動物に疾病のり患を予防するため、実験動物管理者及び飼養者の健康について必要な健康管理を行うこと。
4 管理者等は、実験動物が保管場所から脱出しないよう必要な措置を講ずること。
5 管理者は、実験動物が脱出下場合の措置についてあらかじめ対策を講じ、事故の防止に努めること。
6 管理者は、地震、火災等の非常災害に際して採るべき緊急措置を定め、非常災害が発生したときは、速やかに実験動物を保護し、及び実験動物による事故の防止に努めること。

第7 生活環境の保全

管理者等は、実験動物の汚物等の適切な処置を行い、及び施設を常に清潔にして微生物等による環境の汚染、悪臭の発生等を防止し、並びに施設の整備等により騒音の防止に努めること。

第8 実験動物生産者の採るべき措置

実験等のため哺乳類及び鳥類に属する動物を生産する者は、次の事項に留意し、動物の生理、生態、習性等を理解し、及び愛情をもって飼養するように努めるとともに責任をもってこれを保管すること。

(1) 動物の生理、生態、習性等に応じた適切な施設を設け、適切に飼料及び水の提供を行い、動物が疾病にり患することを予防する等必要な措置を講ずること。
(2) 生活環境の保全のため、動物の汚物等の適切な処置を行い、及び生産の場を常に清潔にすることにより、環境の汚損の防止に努めるとともに生産に従事する者の動物からの疾病のり患を予防する等必要な健康管理を行うように努めること。

第9 補 則

管理者等は、哺乳類及び鳥類に属する動物以外の動物を実験等に利用する場合においてもこの基準の趣旨にそって措置するよう努めること。

第10 適用除外

1 この基準は、畜産に関する飼養管理の教育若しくは試験研究又は畜産に関する育種改良を行うことを目的として飼養し、又は保管する実験動物の管理者等には適用しない。
2 この基準は、生態の観察を行うことを目的として飼養し、又は保管する実験動物の管理者等には適用しない。ただし、当該実験動物に係わる飼養及び保管に関する基準については、展示動物等の飼養及び保管に関する基準 (昭和51年総理府告示第7号)の第3(1を除く。)、第4(1の(3)、(4)及び4を除く。)、第6及び第7の2に定める事項を準拠する。






生理学領域における動物実験に関する基本的指針
Guiding principles for the care and use of animals in the field of physiological sciences

(昭和63年12月19日 制定、日本生理学雑誌51巻1号(1989)より)

日本生理学会
動物実験に際しての実験計画立案の科学性と動物の福祉の立場に立った倫理的現範は、すでに「実験動物の飼養及び保管等に関する基準、昭和55年総理府告示上「International guiding principles for biomedical research involving animals.CIOMS1984」、「Guide for the care and use of laboratory animals,DHEW Publication No.(NIH)85-23 1985」、「動物実験に関する指針、日本実験動物学会1987」、「サル類を用いる実験遂行のための基本原則、日本霊長類学会1986」等に示されており、本学会もこれらの精神をふまえて「生理学領域における動物実験に関する基本的指針」を制定する。
生理学の教育、研究の場では動物実験は殆ど必須の手段となっている。そして動物実験を通じて行われた生理学の教育、研究は生命現象の理解と解明に大きな役割をはたし、この研究成果は、医学・医療に応用され、人類福祉のためにはかり知れない貢献をした。今後、日本における生理学教育の一層の充実と生理学研究の飛躍的な発展のため、生理学実験者が主として脊椎動物を用いる動物実験にあたって、科学的な動物実験計画の立案と動物の福祉の観点に十二分な配慮をするため、ここに基本的指針を定める。生理学領域の実験者は以下の指針を遵守し厳正適格な実験を遂行しなければならない。

I.基本的事項

(1) 動物実験の目的が生理学的知識の向上と人類福祉に役立ち、動物の福祉にも配慮したものでなければならない。
(2) 動物実験にあたっては、科学的な観点から最も適正な種属と数量を選択しなければならない。
(3) 実験にあたっては、保定や麻酔薬の投与などにより実験動物に不必要な苦しみや痛みを与えないよう充分な配慮をしなければならない。特に痛覚の研究や実験の性質上、軽い麻酔しか用いられない実験を行う場合には、予め動物実験委員会などの意見を聞いた上、倫理的な観点から動物に与える苦痛を最小限にする配慮が必要である。
(4) 実験終了後、動物を処分する場合には、「実験動物の飼養及び保管等に関する基準」(昭和55年)に定められているところに従い、速やかに安楽死させなければならない。
(5) 実験動物には適切な給餌、給水を行い、可能な限り清潔で快適な環境で飼育するよう心がけねばならない。

II.特記事項

(1) 動物実験を実施するにあたっては、専用区域を設け、動物の福祉に配慮した整備された施設で行わなければならない。又、施設の管理、運営のため必要な組織や体制を整備して、有能な専従の飼育技術者を配置して動物飼育に万全を期する必要がある。
(2) 実験者は科学的な計画を立案し、適正な供試動物の選択、実験方法の検討、必要な飼育条件の確保をはかる必要がある。実験計画の立案にあたっては実験動物学の専門家などの助言をもとめることが望ましい。
(3) 供試動物の選択にあたっては、実験目的に則して遺伝学的及び微生物学的品質を考慮する必要があり、飼育管理については管理者の指示に従わなければならない。
(4) 実験者は動物の入手にあたり、検収と検疫を的確に行い、入手時及び飼育期間中の動物の状態を記録し、保管しておく必要がある。この作業は管理者に委嘱する事ができる。
(5) 物理的、化学的に危険な物質、あるいは病原体等を扱う動物実験においては、人の安全の確保や、飼育環境の汚染により動物が障害を受けたり、実験結果の信頼性が損なわれないよう配慮する必要がある。なお、実験施設周辺の汚染防止についても充分に注意を払う必要がある。
(6) 実験者は各研究機関の「動物実験委員会」の規程、指示にしたがわなければならない。
(7) 研究成果の論文発表にあたっては、本指針にのっとって実験を遂行したことを付記することが望ましい。






動物の処分方法に関する指針

(平成7年7月4日 総理府告示 第40号)

第1 一般原則

管理者及び処分実施者は、動物を処分しなければならない場合にあっては、処分動物の生理、生態、習性等を理解し、生命の尊厳性を尊重することを理念として、その動物に苦痛を与えない方法によるよう努めるとともに、処分動物による人の生命、身体又は財産に対する侵害及び人の生活環境の汚損を防止するよう努めること。

第2 定 義

この指針において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 対象動物 この指針の対象となる動物で、動物の保護及び管理に関する法律 (昭和48年法律第105号) 第13条2項第1号及び第2号に規定する動物

(2) 処分動物 対象動物で処分されるものをいう。

(3) 処分 処分動物を致死させることをいう。

(4) 苦痛 痛覚刺激による痛み並びに中枢の興奮等による苦痛、恐怖、不安及びうつの状態等の態様をいう。

(5) 管理者 処分動物の保管及び処分を行う施設並びに処分動物を管理する者をいう。

(6) 処分実施者 処分動物の処分に係る者をいう。


第3 処分動物の処分方法

処分動物の処分方法は、化学的又は物理的方法により、できる限り処分動物に苦痛を与えない方法を用いて当該動物を意識の喪失状態にし、心機能又は肺機能を非可逆的に停止させる方法によるほか、社会的に容認されている通常の方法によること。






(in English)

長崎大学における動物実験指針

(平成元年12月22日 評議会決定)

 動物実験は、人類文化の形成・進展に多大の貢献をしてきたし、今後も貢献するであろう。特に自然科学の分野における貢献度は大きい。こうした動物実験は、科学研究の一般原則に従い、客観的成果・評価をもたらす基本である再現性が得られる実験の諸条件を満たしつつ、動物の生命を尊重するという基本的観点に基づく動物福祉を護持するための配慮を必要とする。
 このことに関しては、動物の保護及び管理に関する法律 (昭和48年法律第105号)及び実験動物の飼養及び保管等に関する基準 (昭和55年総理府告示第6号)に部分的にではあるが明示されているところであり、更に動物福祉と動物実験に関しては、日本学術会議第80回総会決議による「動物実験ガイドラインの策定について (勧告)」及び学術審議会学術情報資料分科会学術資料部会による「大学等における動物実験の実施に関する基本的な考え方について (報告)」に示されているとおりであり、動物実験を行う上で、寛容なことである。
 長崎大学は、その構成員等によって行われる動物実験がこれらの基本理念を満たすものでなければならないとの認識に立ち、この指針を制定するものである。

第1 目 的
 この指針は、長崎大学 (以下「本学」という。)において動物実験を計画し、実施する際に遵守すべき事項を示し、科学的にはもとより動物福祉の観点からその倫理性にも配慮した適正な実験を図ることを目的とする。
第2 適用範囲
 この指針は哺乳類及び鳥類を用いたすべての実験に適用する。なお哺乳類及び鳥類以外の動物を用いた実験についても、この指針の趣旨に沿って実施されることが望ましい。
第3 基本原則
 動物実験を実施する者 (以下「実験者」という。)は、実験計画の立案、実験の実施、実験終了後の処置等に関し責任を有するとともに、適切な実験環境の確保に十分配慮しなければならない。
第4 施設、設備及び組織の整備

  1. 実験動物の飼育及び実験動物を適正かつ円滑に行うため整備された適切な区域(以下「専用区域」という。)が確保されていなければならない。
  2. 実験動物の飼育・実験設備は、動物の生態・習性等を考慮し、適切なものを設置しなければならない。
  3. 動物実験を行う部局の長等は、動物実験に係る施設・設備及びその管理・運営に必要な組織体制の整備に努めなければならない。

第5 実験計画の立案

  1. 実験者は、実験計画の立案に際し、文献等による調査を行い、既に十分な知見の得られている事実の単なる再確認のための実験動物は避けるように努めなければならない。
  2. 実験者は、研究目的を検討し、動物実験以外の系による代替法について十分考慮した上で、実験計画を立案しなければならない。
  3. 実験者は、動物実験の範囲を研究目的に必要最小限度にとどめるため、適正な実験動物の種の選択、品質の選定及び数の決定並びに飼育・実験条件等を考慮しなければならない。
  4. 実験者は、実験開始から終了までの全経過中、実験動物に与える苦痛を可及的に軽減する等、実験方法及び実験環境等について倫理的面への配慮に努めなければならない。
  5. 実験者は、立案した実験計画について、別表に掲げる項目による点検を行い、必要に応じて実験動物又は実験動物の専門家 (以下「専門家」という。)の助言を求め、又は実験計画のこの指針への適合性の有無について第12第1項に定める長崎大学動物実験委員会 (以下「委員会」という。)の判断を求めなければならない。
  6. 実験者は、実験計画書を保管し、委員会の求めに応じ、実験計画書を提出し、又は実験経過等を報告しなければならない。

第6 実験動物の導入

  1. 実験者は、実験動物の導入に際し、動物の発注条件及び異常・死亡の有無を確認し、動物の状態、輸送の方法・時間等を記録しなければならない。
  2. 実験者は実験動物の導入に際し、検疫を実施しなければならない。検疫の結果、異常のある場合は、適切に処置し、異常が解消するまでその動物を実験に供すべきではない。
  3. 実験者は、必要に応じ、実験動物の環境への順化を図らなければならない。
  4. 実験動物が信頼性の高い生産者由来の場合、生産者添付の遺伝学的・微生物学的品質を示す成績をもって検疫の一部に代えることができる。
  5. 実験者は、第1項の確認及び記録並びに第2項の検疫に関し、専門家に助言又は協力を求めることができる。

第7 実験動物の飼育管理

  1. 実験者は、実験動物の導入時から実験終了までの全過程中、動物の状態を子細に観察し、状況に応じた適切な処置を施さなければならない。
  2. 実験者は、専門区域及び飼育・実験設備の維持及び管理に努めなければならない。このため、気候 (温度、湿度、気流、風速、換気、光、臭気、塵埃等)、居住性 (実験・飼育室の構造、ケージ、床敷、給餌、給水器等)、音、振動等の物理的環境因子及び同室動物 (種、性、令、数、密度等)、微生物汚染、無用なストレスの不可等の生物的環境因子に留意する必要がある。
  3. 実験者は、実験動物への適切な給餌、給水等の飼育管理に努めなければならない。
  4. 実験者は、前3項の飼育管理に関し、専門家に助言又は協力を求めることができる。

第8 専用区域への立入り

専用区域への実験者、専門家等の動物実験関係者以外の者の立入りは、原則として避けるべきである。

第9 実験操作

実験者は、適切な保定及び麻酔等の手段によって、動物に無用な苦痛を与えないよう配慮しなければならない。このため必要に応じ、専門家または委員会に助言または判断を努めなければならない。

第10 実験終了後の処置等

  1. 実験者は、実験を終了又は中断した動物を処置する場合は、致死量以上の麻酔薬の投与、頚椎脱臼、炭酸ガス吸入等により、速やかに苦痛から解放するように努めなければならない。
  2. 実験者は、動物の死体等による環境汚染の防止に努めなければならない。
  3. 実験者は、前2項の処置に関し、専門家の助言又は協力を求めることができる。

第11 危険物質を扱う動物実験

  1. 病原体等を用いる動物実験及び組換えDNAを用いる動物実験については、それぞれ長崎大学生物災害防止安全管理規則 (昭和58年9月16日規則第14号)及び長崎大学組換えDNA実験安全管理規則 (昭和58年9月16日規則第15号)を適用する。
  2. 放射性物質及び放射線を用いる動物実験については、長崎大学放射性同位元素等安全管理規則 (昭和51年10月22日規則第12号)及び長崎大学研究教育用エックス線装置放射線障害防止管理規則 (昭和58年10月25日規則第16号)を適用する。
  3. 実験者は、発癌性試験、変異原性試験等に用いられる危険な物質、安全性が確認されていない物質その他の危険な物質を用いる動物実験に付いては、他の動物及び環境の汚染を防止するため、適切な措置を講じなければならない。また、実験計画の立案に当たっては、専門家に助言を求め、又は委員会に諮らなければならない。

第12 委員会の設置

  1. この指針の適正な運用を図るため、本学に委員会を置く。
    委員会に関し必要な事項は、別に定める。

附 則

この指針は、平成元年12月22日から施行する。

別 表

  1. 動物実験実施専用区域の環境
  2. 動物実験実施期間
  3. 動物導入条件
  4. 使用実験動物
    • 動物種、系統、遺伝学的品質、微生物学的品質、性、令、数等
  5. 実験方法
    • 投与方法、材料採取法、観察法、外科的処置法等
  6. 動物の苦痛軽減・排除の方法
    • 麻酔薬等の種類・投与量、投与法、保定法等
  7. 実験終了時の処置法
    • 安楽死の方法等
  8. 物理的・化学的・生物学的に危険な物質を用いる実験における、動物間汚染及び環境汚染に対する防止法
  9. 動物実験が必要な理由 (代替法を用いない理由)





(in English)

長崎大学動物実験委員会規程

(平成元年12月22日 規程 第41号)

(趣 旨)
第1条 この規程は、長崎大学動物実験指針 (平成元年12月22日評議会決定。以下「指針」という。)第12第2項の規程に基づき、長崎大学動物実験委員会 (以下「委員会」という。)の組織及び運営に関し、必要な事項を定めるものとする。
(任 務)
第2条 委員会は、指針の係る諸事項を所掌する。
第3条 委員会は、動物実験を実施する者 (以下「実験者」という。)から申請された実験計画について、指針に対する適合性を審議するとともに、必要に応じ、実験の実施状況の報告を求めることができる。
 2. 前項の結果、委員会が必要と認めた場合は、実験者に対し、助言を与え、実験計画を修正させ、又は実験の禁止若しくは中止を勧告することができる。
 3. 委員会が必要と認めた場合は、実験者から申請されなかった動物実験についても、実験計画の提出又は実験の実施状況の報告を求め、前項の措置を行うことができる。
(組 織)
第4条 委員会の委員は、次の各号に掲げる者をもって組織する。

  1. 各学部 (経済学部を除く。)、教養部、熱帯医学研究所、医学部附属病院、歯学部附属病院及び医療技術短期大学部の教授、助教授及び講師のうちから選出された者各一人。
  2. 指針第5第5項に定める実験動物又は動物実験の専門家 若干名。
  3. その他学長が必要と認めた者。

 2. 委員は学長が任命する。
(任 期)
第5条 委員の任期は二年とする。ただし、再任を妨げない。
 2. 前項第1項に掲げる委員に欠員が生じた場合の補欠の委員の任期は、前任者の任期の残余の期間とする。
(委員長)
第6条 委員会に委員長を置き、委員の互選により選出する。
 2. 委員長は、委員会を召集し、その議長となる。
 3. 委員長に事故のあるときは、あらかじめ委員長が指名する委員がその職務を代行する。
(会 議)
第7条 委員会は、委員の過半数の出席がなければ開くことができない。
 2. 委員会の議事は、出席委員の3分の2以上の同意をもって決するものとする。
(意見の聴取)
第8条 委員会が認めたときは、委員会に委員以外の者を出席させ、意見を聴くことができる。
(庶 務)
第9条 委員会の庶務は、庶務部において処理する。
(補 則)
第10条 この規程に定めるもののほか、委員会に関し必要な事項は、委員会が別に定める。

 附 則

  1. この規程は、平成元年12月22日から施行する。
  2. この規程制定後最初に任命される委員の任期は、第5条第1項の規定にかかわらず、平成3年3月31日までとする。