研究内容

私たちはin vitroでの基礎的な微生物学的な分野から、in vivoでの新たな治療法の開発、臨床現場における感染制御分野まで幅広い研究を行っています。扱う病原微生物は細菌・ウイルス・真菌(糸状菌や酵母)など多岐にわたります。
真 菌
日和見感染症は現代の医療において極めて重要な課題です。特に深在性真菌症は使用可能な抗真菌薬が少なく、新規の治療法や抗真菌薬の開発が求められている分野です。

私たちはカンジダやクリプトコックスを中心とした酵母の研究グループとアスペルギルスを中心とした研究グループに分かれ、基礎と臨床の側面から多角的に研究を行っています。
主な研究テーマ
  • アスペルギルスの耐性(臨床分離株からの耐性変異の検出やバイオフィルム形成など)や、慢性肺アスペルギルス症マウスモデルの開発や治療法の研究
  • アイソトープを用いた肺アスペルギルス症の病態解析、新規診断法の開発
  • カンジダ属の薬剤耐性機構および病原因子の解明のための分子生物学的研究、新規治療法の開発
  • Cryptococcus gattii, Cryptococcus neoformansの感染・治療に関する研究、症例リファレンスセンターの創立
細 菌
昨今の多剤耐性菌の増加、新規抗菌薬開発数減少などから、抗菌化学療法のみに依存しない新しい治療法のニーズが高まっています。

私たちは宿主-病原体間の相互関係を明らかにすることで、宿主免疫の賦活化や病原因子抑制などに基づく、未来の治療法の確立を目指しています。
主な研究テーマ
  • 常在細菌叢と宿主全身性免疫との関連性
  • 自然免疫賦活による呼吸器感染症発症予防法に関する研究(特に肺炎球菌、インフルエンザ菌)
  • 細菌性肺炎の発症に重要な新規リスクファクターの解明
  • 遺伝子改変マウスを用いた呼吸器細菌感染症制御に重要な自然免疫機構の発見を目指した研究
  • マイコプラズマ感染症の疫学研究
ウイルス
様々な微生物の中でも特にウイルスはその感染によって直接的に病変を惹起する他、宿主免疫に影響を与え、続発する細菌感染症は重症化し極めて予後不良であることが知られています。

私たちはウイルスと細菌が引き起こす重症細菌性肺炎の発症メカニズムの解明と、その制御を目指した研究を行っています。
主な研究テーマ
  • インフルエンザウイルス感染後の二次性肺炎球菌性肺炎発症機構の解明に関する研究
  • 抗インフルエンザウイルス薬の二次性細菌性肺炎抑制効果に関する研究
  • ウイルス/細菌の重複感染で惹起される高サイトカイン血症および急性肺障害の発症と制御機構に関する研究
抗酸菌
近年、肺非結核性抗酸菌症の患者は増加傾向にあり、臨床的に極めて重要な呼吸器感染症の一つですが、有効な治療法は限られています。 動物実験や疫学的研究などから、新しい治療法の開発を目指し、日々研究を行っています。
主な研究テーマ
  • 肺非結核性抗酸菌感染マウスモデルを用いた治療実験
  • 非結核性抗酸菌感染症発症と予後に影響する因子に関する臨床研究
  • 肺非結核性抗酸菌とアスペルギルスとの相互作用の解析
感染制御
エボラ、鳥インフルエンザ、SARSのアウトブレイクや多剤耐性菌の出現など感染症を取り巻く現状は刻々と変化しています。これらの病原体の周囲への拡散(伝播)防止、アウトブレイクコントロールなど感染制御に関する研究を行っています。
主な研究テーマ
  • 分子疫学的解析・要因分析による多剤耐性菌アウトブレイクの危険因子検索とその制御
  • 結核診断の遅れに関する要因分析と結核患者早期発見への応用
  • 多施設間での感染制御ネットワークの構築と地域における包括的感染制御
  • 効率的な呼吸器感染症伝搬予防のためのN95マスクフィッティングの検証と実践への応用
臨床研究に関する情報公開NewWindow(長崎大学病院臨床研究センター)
長崎大学病院臨床研究センター
公開しなければいけない臨床研究「臨床感染症学」ページ