羊膜バンクについて

概 要
 長崎大学病院羊膜バンクは、妊婦さんのご同意のもと頂いた羊膜を、適切に管理したうえで眼の疾患の治療に利用して頂く医療機関等に提供を行うために、2017年に設立されました。

 羊膜は子宮の中で赤ちゃんを包む卵膜の最内層を覆う厚さ約100~150μmの半透明の膜であり、母体からの胎盤組織への拒絶反応の抑制等赤ちゃんを保護したり、羊水を分泌する役割があると考えられています。
 羊膜組織は伸縮性に富み、また低免疫原性や抗炎症作用等多様な性質を有していることから、以前から様々な医療用途に用いられてきました。
 通常分娩時には、この羊膜は胎児から分離された後に廃棄されています。羊膜バンクでは、この羊膜を頂いております。

 羊膜移植療法は、難治性の眼の疾患のなかでも特に角膜や結膜の疾患をもつ患者さんに対し病変部に羊膜を移植する治療法です。具体的には、再発翼状片やスティーブンス・ジョンソン症候群、眼類天疱瘡、熱・化学外傷等が代表的な対象疾患となります。このほか、角膜潰瘍上皮欠損、角膜穿孔、眼瞼癒着、腫瘍等に対しても使用されます。
 わが国では、WHOの羊膜取扱い基準ならびに日本組織移植学会の組織取扱ガイドラインを遵守する形で、2008年に日本角膜学会が眼科領域における羊膜移植に関する羊膜取扱いガイドラインを作成しました。その後、先進医療による臨床研究期間を経て、2014年4月に保険収載されました。
 長崎大学病院羊膜バンクは、日本組織移植学会認定のカテゴリー1のバンクです。従って、長崎大学病院以外の医療機関の眼科における羊膜移植療法においても、長崎大学病院羊膜バンクに保管してある羊膜をご利用いただくことが可能です。
目 的
 長崎大学病院羊膜バンクは、採取された羊膜を、適切に処理、保管、管理すると共に、これを角膜疾患に対する移植医療への利用のために医療機関へ提供することを目的として活動しています。
事業内容
① 羊膜採取のためのコーディネート活動
② 羊膜の処理、保管、管理業務
③ 羊膜移植療法実施医療機関への羊膜の提供