・当院ではキャンデラ社の皮膚冷却装置付き長パルス幅色素レーザー(VビームⅡ®:595nm)を使用しています。
・レーザー治療は単一の波長の光を照射する方法です。色素レーザーの光は皮膚を通り抜けて、皮膚直下にある血管内の赤血球(ヘモグロビン)に選択的に吸収され、熱変性により血管を閉塞します。
・照射する皮膚の厚さや血管の深さ・太さによって、レーザーの照射時間や出力、波長を調節しながら治療を進めます。初回は試験照射といって小範囲に照射することもあります。
<治療の流れ>
・通常は1回の照射ではなく1~3か月おきを目安に複数回の照射が必要になることが多いです。
・日焼けで皮膚が黒い状態では、レーザー光がメラニンに吸収され治療効果が望めないことがあります。その場合は治療を行わないことがあります。
① 外来照射の場合
・照射時の痛みに対して、必要に応じて麻酔テープ(リドカインテープ)を使用します。貼付後30分~1時間待機してから照射になります。
・小さなお子さんは安全に照射するため体を押さえさせていただきます。
・病変が広範囲の場合は1回の外来で全てに照射するのではなく部分照射にすることがあります。
・照射後は炎症を抑えるためにステロイド軟膏を塗布し、10分程保冷剤で冷却してからご帰宅いただきます。
② 全身麻酔下照射の場合
・体を押さえても動きが抑えられない場合や、病変が広範囲に及ぶ場合、眼瞼の病変の場合は1歳以降を目安に全身麻酔下で照射を行うことがあります。
・照射前日に入院し当日朝から照射、術後の覚醒具合や体調に問題なければ当日午後に退院となります。
<照射後のケア>
・治療当日は照射部位に化粧はしないでください。
・当日の入浴は可能です。
・照射後半年は遮光(日焼け止めクリームや衣類など)、保湿を徹底してください。乾燥しているとレーザーの刺激により創が出来やすくなります。
・ステロイドの軟膏を処方しますので、当日夜入浴後に1回塗布してください。翌日照射部に水疱やびらんがある場合は治るまで塗布+保護を続け、1週間たっても治らない、もしくは創の様子がおかしい場合(ひどい、出血する、熱を持つなど)は外来に連絡し受診してください。
翌日、創がなければステロイド軟膏は終了し保湿を毎日行ってください。
<照射後経過>
数日~数週間かけて徐々に薄くなります。その過程で一時的に色調が濃くなったり紫斑を形成したりすることがあります。
・紫斑
照射部位が紫斑といって赤紫色に変色することがあります。これは治療過程で自然な反応で、1~3週間で消失することが多いです。この時期は特に色素沈着を来しやすいため日焼け予防を徹底してください。
・再発
毛細血管奇形ではレーザー終了後数年すると再び濃くなることが報告されています。その場合は年に1回程維持療法として照射を行います。 |