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教授あいさつ

教授 今村 亮一

(いまむら りょういち)

長崎大学医学部泌尿器科学教室
今村 亮一

 長崎大学泌尿器科学講座の今村亮一です。われわれの講座ウェブサイトをご覧いただきありがとうございます。初代故近藤厚教授、2代目齊藤泰教授、3代目金武洋教授、4代目酒井英樹教授の後を引き継ぎ、令和5年1月から教室の主任を担当しております。講座を代表してご挨拶申し上げるとともに、当科の理念、抱負を述べさせていただきます。

1.泌尿器科とは?

 泌尿器科とは背中側から下腹部にある臓器(副腎、腎臓、尿管、膀胱、尿道)、男性特有の臓器(前立腺、精嚢、精巣、精管、陰茎)および関連臓器を扱う科です。診療分野は腎癌や前立腺癌などの悪性腫瘍、腎不全に対する腎移植を含めた腎不全外科(内シャント造設術、腹膜透析用カテーテル留置術、副甲状腺腫瘍摘出術など)、前立腺肥大症等の良性腫瘍、尿路結石症、尿失禁等の排尿機能障害、小児泌尿器科、尿路および性感染症、性機能障害、男性不妊症と多岐にわたります。泌尿器科はある限定された小さな領域の診療にとどまらない、小児から高齢者まで、内科的側面から外科的側面まで、幅広く診療を行う部署なのです。
 高齢化社会を迎え、今や最も注目を浴びている診療科のひとつです。長崎大学病院泌尿器科・腎移植外科は県下唯一の大学附属機関として、上記すべての診療対応を行うと同時に、各疾患に対応できるスペシャリストの育成を行っています。

2.診療について

 大学病院は高度先進医療の推進とともに、地域の中核施設として、安全で質の高い診療が求められています。
 がん診療におきましては、根治性とともに可能な限り機能温存、低侵襲であることが必要です。開腹手術のみならず、腹腔鏡手術やロボット手術を積極的に取り入れ、患者さん本位の満足度の高い診療をめざしています。同時に、必要に応じて薬物療法も積極的に取り入れています。通常の保険診療で用いられる薬剤にとどまらず、国際共同開発治験を含めた新規薬物開発治験に積極的に参加し、先進的医療の実践を通じて、患者さんへの貢献に努めています。
 腎不全の患者さんに対しては、透析医療にとどまらず、腎移植を積極的に推進しています。長崎大学病院における腎移植の歴史は古く、日本で最も早く移植医療を開始した施設のひとつとして、その診療実績は国内外でも高く評価されています。
 泌尿器科分野には女性特有の疾患も数多く存在し、尿失禁や骨盤性器脱等で受診される女性患者さんも増加傾向にあります。当科ではこれらの疾患に対しても積極的に取り組み、女性が受診しやすい診療体制の構築に努めています。
 その他各疾患におきましても、内視鏡手術やロボット手術等の低侵襲治療、薬物療法を駆使し、関係各所と協力しながら、満足度の高い診療を推進してまいります。

3.研究について

 基礎研究は医療発展の礎であると考えています。長崎大学は、診療を行う「病院」機能を有すると同時に、大学としての「研究機関」でもあります。他講座や他学部、国内外の大学との連携を推進し、各疾患の早期診断につながるバイオマーカーの開発、新たな治療法の確立に取り組み、患者さんへの還元に努めてまいります。

4.教育について ~ 若手医師、専攻医、学生の皆さんへ ~

 泌尿器科講座にとっても最大の強みは、世帯が比較的小さいということです。つまり指導医と若手医師の皆さんとの距離が近く、大変風通しが良い環境になっています。診療においても指導医が密に指導し、常にしっかりとしたバックアップ体制をとっています。当科はいわゆる主治医制なくグループ制をとっており、各グループの責任医のもと、身体的精神的負担が個々人の重圧になることのないように配慮しながら、医師教育にあたっています。
 私どもが理想とする医師像は、常に研究的視点を持ちながら医療の問題点を提起でき、解決すべき方向性を探索できる医師であると考えています。わかりやすくいえば、困難な疾患に遭遇しても、さまざまなオプションを想定し、最良の解決法を周囲と協力しながらも自ら探ることができる力を持つ医師といえます。そのためには指導を受けながらも、常に自学自習を続ける努力が必要です。医師としての倫理観、道徳観の更なる習得とともに、この自己解決力を会得していただく教育を進めています。
 近年、女性患者さんからの女性医師のニーズは大変高まっています。さらに我々は、各分野において女性医師が女性特有の視点で診療を行うことは極めて重要であると認識しています。ライフイベントを考慮しながら、女性医師が働きやすい環境整備を行っています。男性医師だけでなく、多くの女性医師が参画していただけることを願っています。
 大学および特色ある各関連施設が一体となった循環型教育を推進し、国内外での学会発表、論文作成を援助しています。希望するみなさんには大学院への進学、学位取得、さらには国内外の大学等の施設へ留学を推進しています。「地域に生き、世界に羽ばたく」医師の育成をめざします。
 最後に、我々が理想とする診療や研究は、スタッフが集まってこそできるものです。我々は、「人=財産」であると認識しています。「以和為貴」、和を大切にしながら、ぜひ共に働きましょう。