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④ロボット支援下膀胱全摘除術

RARC(Robot-Assisted Radical Cystectomy)とは

浸潤性膀胱癌に対する標準的な治療は、“根治的膀胱全摘除術”でした。この手術は、臍上から恥骨の高さまで開腹して膀胱を摘出し、その後膀胱が無くなった代わりに新たな尿の流れ道を作る、といったものです。この術式は、①長時間の開腹手術で患者さんの体の負担が大きい、②術後の合併症出現頻度が高い、といった問題点がありました。これを改善するために術式が改良され、“腹腔鏡下手術”が行われるようになりました。私たちも2014年より“腹腔鏡下膀胱全摘除術“を導入し経験を積み重ねてまいりました。しかしこの術式は、腹腔鏡手術に精通した医師であっても、難易度が高い術式であり、手術を行う医師の負担も大きいという欠点がありました。
この問題点は、手術支援ロボットの登場により、解決へ進みました。以前より当科では、“ロボット支援下前立腺全摘除術”、“ロボット支援下腎部分切除術”(別記ご参照ください)の十分な経験を活かし、2018年より“ロボット支援下膀胱全摘除術”を導入致しました。

RARCの実際

この手術は、手術支援ロボットを用いて行います。腎部分切除術や前立腺全摘除術と同様に“鉗子”と呼ばれる手術器具をお腹に差し込み、左右の尿管を切断して膀胱の摘出・リンパ節郭清を行います。その後新たな尿の流れ道も作るために、小腸を一部切り取り、そこに左右の尿管をつないでその出口側を右腹部に導き出す、“回腸導管造設術”を行うか、切り取った小腸を開いて袋状に形成した後、尿道(尿の出口側)へつなげることで、術前同様の尿の流れ道を作成する、“新膀胱造設術”を行います。回腸導管の場合は右腹部にストーマと言われる尿の出口が作られますが、新膀胱の場合は今まで通り外尿道口より尿を出すことになります。この選択は、症例によって検討して決定することになります。
術後の傷は、鉗子や内視鏡が入る程度の約1-2cmの傷が数か所、膀胱を摘出するために臍下の約4cm程度の傷になります。

治療成績

当院では、2018年よりRARCを導入しました。従来の開放手術や腹腔鏡下手術と比較して、腸閉塞などの術後合併症は明らかに減少しました。