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UroUro通信

第68回西日本泌尿器科学会総会のヤングウロロジストリサーチコンテストで光成健輔先生が優秀賞を受賞しました!

2016年12月13日

 11月24日より27日まで山口県の下関市で開催された「第68回西日本泌尿器科学会総会」に、大学病院を始め関連病院から多数の発表を行なってきました。 その詳細は後日報告する予定ですが、昨年度まで大学院生であった光成健輔先生が「ヤングウロロジスト リサーチコンテスト」で優秀賞を受賞しました! このコンテストは、若手の先生が最近行なった研究成果を英語で発表するもので、西日本泌尿器科学会総会の名物企画の1つと言って良いと思います。 光成先生が発表したテーマは「Human antigen R is positively associated with malignant aggressiveness by upregulation of cell proliferation, migration, and VEGF and COX-2 in prostate cancer」という前立腺癌におけるhuman antigen Rという蛋白の機能を解明したもので、 近年問題となっている去勢抵抗性前立腺癌の治療戦略を議論する上でも非常に重要な情報になります。

 この研究の特筆すべき点の1つは、human antigen Rの病理学的機能が細胞質と核内では異なることを、患者さんの組織に加えて前立腺癌のcell linesを用いて明確に示したことにあります。 その検証には、私達の教室では初めての手法を用いましたので、大学院生の浅井昭宏先生も含めて連日夜中まで試行錯誤しながら実験してきました。
 また、多くの癌種で重要な役割を果たすVEGFやCOX-2との関連を見いだすことができたのは、これまで研究に従事してこられた諸先輩方が残された研究実績のおかげでした。 手前味噌で恐縮ですが、これまで脈々と続いてきた長崎大学泌尿器科学教室の基礎研究の賜物と感じています。
 発表当日は、緊張した面持ちの光成先生に「アメリカ泌尿器科学会など多くの国際学会で発表した経験を自信に変えて、先生らしくリラックスして楽しんでおいで!」と声を掛けましたが、 堂々とした良い発表と質疑応答でした。本当にお疲れ様でした。そして、あらためて受賞おめでとうございます。
(文責: 宮田康好)

冬休みに遊びに来ませんか?

2016年12月6日

 早いもので今年も「師走」となりました。研修医や学生の皆さんは、冬休みの予定は決まりましたか?冬休みは夏休みに比べると短いので、近場でのスキーや温泉、そして、帰省してゆっくり過ごす方も多いのではないかと思います。 さて、その冬休みに私達の教室へ見学、実習に来てみませんか?年内は12月28日まで、年明けは1月4日から通常の診療をしていますので、外来や手術、病棟業務に血液透析など普段通りの泌尿器科の仕事を体験できますよ!むしろ年末、 年始は自由になる時間も増えますので、普段より濃厚に?!説明や体験ができると思いますよ。実験も普段通りしていますので、興味のある方には今行なっている研究の内容や実験手法を丁寧に説明します。 気楽な感じでかまわないので、是非遊びに来てください。

連絡先) 医局長: 大庭 康司郎 ohba-k@nagasaki-u.ac.jp
  准教授: 宮田 康好 yasu-myt@nagasaki-u.ac.jp
    電話番号: 095-819-7340

第30回日本泌尿器内視鏡学会総会に参加しました。

2016年11月28日

 11月17日~19日に大阪にて開催された第30回日本泌尿器内視鏡学会総会に参加しました。 この学会は、実臨床における内視鏡外科的な手術手技を議論する学会で、様々な技術や、それによって生み出された新たなデータなどが発表されるので、個人的には毎年楽しみにしています。 また、多数のブースで、ハンズオン・トレーニングもできるため、ロボット支援を含め新しい機器に直に接することができます。
 長崎大学からは大庭と計屋先生が口演で、松尾先生がポスターで発表を行いました。また、長崎大学関連施設からも多くの先生が参加されました。 今年も多くの新しい企画があり、どの会場も座る席がないくらいに盛り上がっていました。
 そして学会夜の部も盛り上がりました。今回は研修医の先生方も参加しており、泌尿器内視鏡の奥深さを語り合いながら、大阪ならではの串かつなどを堪能しました。 長崎大学では以前より泌尿器内視鏡手術にはかなり力を入れていますが、低侵襲手術の発達は日進月歩であり、改めてロボット、腹腔鏡、経尿道的手術などの重要性を実感した学会でした。

医局旅行で武雄温泉に行きました!

2016年11月18日

 10月29日、30日に大学の教室員、同門および関連病院の先生方、そして、泌尿器科の患者さんがお世話になっている13階東病棟の看護師さん達で医局旅行に行きました! 昨年の嬉野に引き続き「温泉」と「ゴルフ」を目玉に武雄温泉での開催となりました。今回はゴルフを土曜日に企画しましたが、前日の大雨で開催も危ぶまれましたが、 日頃の行いが良いのか?強力な晴れ男がいたのか?当日はゴルフ日和となりました。 また、翌日も快晴に恵まれ、二日酔いと寝不足に負けずに武雄の観光地巡りを楽しみました。
 また、メインイベント?!の宴会では、恒例の同門会長、計屋先生による「ギター独演会」に、新人教室員による余興で大いに盛り上がりました!日頃の疲れを吹き飛ばし、 明日への鋭気を養えた2日間となりました。来年の開催地は未定ですが、例年通り秋に開催の予定です。 また、多くの教室員、同門および関連病院の先生方の参加をお待ちしております!さらにグレードアップした企画を準備します!!
(文責:宮田康好)

世界泌尿器内視鏡学会(WCE)に参加しました。

2016年11月17日

 11月8日~12日に、南アフリカのケープタウンにて、第34回世界泌尿器内視鏡学会が開催され、大庭と計屋先生の2名で参加・発表してまいりました。この学会は日本で言う、前EE学会(現:日本泌尿器内視鏡学会)が世界規模で行われるものになります。
 南アフリカは大変遠く、1日以上かかって到着しました。出発前は安全面の不安があったのですが、学会場周辺はかなり発達しておりむしろセキュリティが厳しく、また気候も穏やかで過ごしやすく、思っていたよりはるかに安心してのぞむことができました。
 さて、私はLPNに関する演題、計屋先生はRALPに関する演題を発表しました。世界各地よりendourologyに造詣の深い先生方が来られており、質問も多く、課題が見つかるとともに、いろんなご意見を伺うことができました。 全体としては、ロボットに関する演題が多いのかと思いきや、腹腔鏡や尿管鏡などの演題が多く、またビデオディベートやパネルディスカッションでも幅広いテーマが取り上げられ、さらにはロボットによる腎移植の話題や尿路再建の技術など、まだまだ私達に馴染みが薄い分野があることも痛感しました。
 発表終了後は、テーブルマウンテンは強風にて頂上までは登れませんでしたが、喜望峰ではとても美しい水平線や広大な平原を眺めることができ、自然の中に生きるシマウマやダチョウも見ることができました。 また会期中には、東京女子医大の近藤恒徳先生とお会いし、ウォーターフロントまで足を運び、南アフリカワインとのシーフードを堪能しました。  泌尿器内視鏡の進歩を感じながら南アフリカの魅力も満喫できた素晴らしい学会でした。

第54回日本癌治療学会学術集会、第2回日本泌尿器腫瘍学会に参加、発表してきました。

2016年11月7日

 10月20日より22日まで横浜で開催された「第54回日本癌治療学会学術集会」に、私、宮田と大庭先生が参加・発表してきました。私は、「緑茶摂取と尿路癌の関連」、大庭先生は「腎癌における分子標的治療薬」に関してワークショップで口演発表しました。 また、私は、同じく横浜で22日、23日に開催された「第2回日本泌尿器腫瘍学会」で、「尿路癌患者でのシスプラチン減量と抗腫瘍効果」に関する演題をポスター形式で発表しました。 ご存じのように、日本癌治療学会学術集会は、外科治療や化学療法、放射線治療などの治療方法に関する話題に加えて、癌患者さんの精神状態や社会的サポート、さらには、終末期医療まで癌患者さんの医療全般を網羅した学会です。 また、泌尿器癌に限らず、他の癌腫に関する話題が聞けるため勉強になります。私は、癌治療に関するセッションを中心に参加してきましたが、その他、在宅診療や精神的なサポート体制などでも興味深い発表があり学ぶことの多い学会でした。
 そして、2人とも無事に発表と質疑応対も終わった21日の夜には居酒屋で「反省会」を行ないました。いろいろな話題で盛り上がりながら2人で美味しい日本酒を痛飲しましたが、そのなかで「今回の癌治療学会に2人しか発表しないのは寂しいね」という話題になりました。 難しいことは考えずに、日頃行なっている診療内容や結果をまとめたり、興味深い知見を紹介したり、是非、来年はさらに多くの演題を発表して、また夜は大勢で「反省会」しましょう!
(文責:宮田康好)

九州泌尿器科連合地方会に参加、発表してきました。

2016年10月18日

 10月15日に久留米で開催された「第110回 九州泌尿器科連合地方会」において、診断上興味ある症例として、大坪亜紗斗先生が「前立腺」で、上田康史先生が「膀胱」で発表しました。 この会は、通常の学会と異なり、診断過程で得られた検査所見や画像を先に提示し、その後にフロアーから鑑別診断や追加で行なうべき検査などの意見を聞き、最終的に診断名や経過を提示する形式になっています。 そのため、若手の先生を含めて非常に勉強になる会です。また、発表は若手の先生が行なうことが慣例となっており、大坪先生(卒後3年目、入局1年目)、上田先生(9月に初期研修医1年目で泌尿器科を回ってくれました)に発表してもらいました。 上田先生とっては、医師になって初めての学会発表ということで、発表前には顔が青くなったり、赤くなったり、ついには、白くなったりと、20数年前の自分を見ているようでした。結果は、2名とも立派に発表してくれ、質疑応答にも堂々と対応できていました。 つきっきりで指導してくれた教室員の先生方も含めて、本当にお疲れさまでした。
 さて、無事に会も終わり、懇親会で食事とお酒を楽しんでいたところ、今回の発表の中から最優秀演題と優秀演題の発表がありました。で・・・、な、なんと、上田先生の発表が見事「優秀演題」に選ばれました!初めての発表で受賞の快挙に、「祝賀会という名の飲み会」で医局員一同大いに盛り上がりました。
 翌日は、前日の連合地方会にも参加してくれた、長崎みなとメディカルセンター市民病院の荒木先生、佐世保共済病院の湯野先生、そして、来年の新戦力?!の原田先生に松田先生も加わり、恒例の野球大会に参加しました。 私は、数年前の大会で3振したせいか今回は戦力外でした!?みんな勉強に、飲み会に、野球にと、本当に充実した時間を過ごせました。
(文責: 宮田康好)

20th International Conference of FFC に参加、発表してきました。

2016年10月3日

 9月22日よりアメリカのボストンで開催された「 20th International Conference of Functional Food Center」に、宮田と松尾先生、浅井先生の3名で参加、発表してきました。 この会は、Functional Food、つまり、『機能性食品』に関する研究会なのですが、乳酸菌飲料や辛子といった身近な食品の疾患予防や治療応用に関する報告から、機能性食品がミトコンドリアの機能や細胞活性に与える影響に関する基礎研究まで、実に幅広い内容の発表がありました。
 皆さんにはなじみのない会かもしれませんが、私が以前から「緑茶の抗腫瘍効果」をマウスモデルで研究していた関係で、数年前からこの会での発表を事務局から誘われていました。そして、今年、「ロイヤルゼリー」に関する研究助成金を獲得できたこともあり、日頃から口にする食品が、健康や疾患のどのような影響を与えているいのか? そして、その分野の世界的な話題や研究の流れを学びたいと思い初めて参加しました。また、現在、松尾先生が「排尿機能と漢方薬」、浅井先生が「緑茶と泌尿器癌」の関連を研究しているため、その研究成果を発表してもらいました。 会場はハーバード大学病院にある会議棟で行なわれ、コンパクトな会でしたが、その熱い議論からは学ぶことも多く、また、非常に刺激も受けました。  そして、発表の後には「クラムチャウダーやロブスターを始めとした海産物」に「ビール」で反省会?を行いました。近年次々に新薬が登場し、その効果は目覚ましいものがありますが、日々の生活の中で疾患予防や治療に役立つ機能性食品に関する知識を持つことも大切だな!と3人で話しました。 そして、今後も、漢方薬を含む機能性食品をいかに患者さんの健康維持と治療に役立てていくか、臨床的、そして、科学的視点から探求していこう!!とビールを片手に決意を新たにしました。
(文責:宮田康好)

浅井先生の送別会を行ないました。

2016年9月16日

 9月13日に浅井昭宏先生の送別会を、大学病院から歩いてすぐの浜口にある小料理屋で行いました!浅井先生は、10月より「長崎原爆病院」のスタッフとして勤務する予定です。 浅井先生にとってはスタッフとして初めての関連病院勤務で不安な点も多いとは思いますが、大学病院で培った経験や知識を基盤に、鶴崎部長と今里部長の両先生の温かく、かつ、厳しい指導のもと、一回りも二回りも大きく成長してくれる(注:体型ではありません)ものと期待しています。 また、酒井教授より話しがあったように、『学位取得』という目標にむかってラストスパートの時期でもあります。ますます診療も忙しくなるとは思いますが、もうゴールは見えていますので頑張っていきましょう!!
 なお、本来は9月末の送別会を予定していましたが、9月14日より東京で行なわれる国際尿禁制学会(ICS)と、9月22日より米国のボストンで行なわれる機能性食品に関する国際会議に、いずれも発表で参加するためこの時期行ないました。 思い返せば、浅井先生はこの数年間にアメリカ泌尿器科学会(AUA)、国際泌尿器科学会(SIU)を含め、多くの国際学会において(当たり前ですが・・・)英語で発表しました。この経験は、今後の医師人生においても必ず役に立つと思います。そして、本当にお疲れさまでした。 また、今回の送別会には、泌尿器科で初期研修中の上田先生も参加してくれました。明るい雰囲気のなかいろいろ話しもできて、本当に楽しい時間を過ごせました。上田先生の研修日記?!については、またUroUro通信で報告したいと思います。
(文責:宮田康好)

「日本医学教育学会大会」に参加、発表してきました。

2016年8月10日

 7月28日~30日に、大阪府の高槻市で開催された「第48回日本医学教育学会大会」に参加、発表してきました。医局員や同門会の先生方にはなじみの少ない学会と思いますが、その抄録集の厚さは1cm以上あり、イメージとしては日本泌尿器科学会総会と西日本総会の中間といった感じです。 実は、この学会に参加したのは昨年に引く続き2回目であり、いつもの泌尿器疾患や泌尿器癌に関連する学会とは異なる雰囲気や議論内容に戸惑ったのを覚えています。
 さて、「なぜ宮田が医学教育学会に?」と思われるかもしれませんが、今回は『医療系学部学生における薬剤師の在宅訪問についての意識調査』という演題を口演で発表しました。泌尿器科医は、分子標的治療薬といった高額で、しかも、有害事象の管理が重要な薬を多く扱います。 そして、高齢の患者さんも多いことから、それらの治療を安全に、かつ、最大限の効果得るために多職種によるチーム医療が重要になります。また、これらの薬を適切に管理、使用することで無駄な医療費を削減するという意味でも、薬剤師さんを含むチームの重要性が指摘されています。 今回、学部学生、特に、医学部や薬学部などの医療系学部の学生における調査を通して、薬剤師の在宅訪問の存在や重要性に関する教育がまだまだ不十分だと感じられた点を中心に発表しました。医学教育の専門家を相手の発表にいつもとは違う緊張感もありましたが、フロアーから質問も頂き、有用な情報を提供できたかな、と安堵しました。
 泌尿器科学教室の立場から言えば、学部学生の泌尿器科疾患における理解を深めるための教育が第一ですが、薬剤師も含めた多職種からなる在宅診療の重要性についても、今後の講義で少しでも触れていきたいと考えています。そのことで、泌尿器科疾患の患者さんの治療がより安全に、そして、最大限の効果が得られるようになることを願いつつ学会会場を跡にしました。
(文責:宮田康好)

日本透析医学会学術集会・総会に参加、発表してきました。

2016年6月24日

 6月10日より大阪市で開催された「第61回日本透析医学会学術集会・総会」に参加、発表してきました。その名の通り透析医療を中心に発表、議論する場として日本最大の学会ですが、透析に限らず慢性腎臓病や腎移植も含めた腎不全に関わる医療の全般を網羅した会です。 今回、私達の教室からは、望月先生が一般演題(口演)で、『当院における腎移植後透析再導入症例の臨床的検討』として、腎移植後に透析へ再導入となった患者さんについて検討した結果を報告しました。 移植医療が発達した現在においても、腎移植後に腎機能が低下し再び透析を始める患者さんは存在します。(私見ではありますが)「透析から腎移植への移行」に比べると、「腎移植から透析への再導入」に関する医学的な興味は薄いのが実情だと思います。 今回の発表は、腎不全医療を、慢性腎臓病-透析医療-腎移植という一連の医療として網羅的に捉える長崎大学病院の理念が良く反映された内容だと思いました。 このことは、血液浄化療法部と腎臟内科の先生方にも共同演者として協力して頂いたことからもわかると思います。さらに、望月先生は、「よくわかるシリーズ」という特別企画で、献腎移植の普及を目指した長崎大学病院の取り組みについて発表しました。
 また、私は、「慢性腎不全における抗がん剤治療とその成績」というワークショップのなかで、『慢性腎不全の尿路癌患者におけるシスプラチン減量と抗腫瘍効果に関する検討』を発表しました。 今回のワークショップでは、透析を含む慢性腎不全の患者さんにおける抗がん剤治療の現状や問題点などについて、婦人科領域、耳鼻科領域、そして、大腸癌や腎癌など、全国から選ばれた7施設が発表し、長崎大学は尿路癌の発表で選ばれました。 他の領域におけるがん治療の新たな試みや問題点など勉強する良い機会になると共に、私達の教室からも新たな治療戦略を含めた有益な情報を提供できたと自負しています。
 今回、関連施設からも、前田医院の前田兼徳先生がシンポジウムで透析液組成に関する話題で発表され、佐世保総合病院の古川正隆先生、諫早総合病院の西村直樹先生、長崎腎病院の澤瀬健次先生が一般演題で発表されているのを拝聴しました。 皆さん、様々な切り口から透析医療に貢献できる有益な演題を発表されていました。また、看護師、臨床工学士、栄養士さんなどの発表も多く、腎不全、透析患者さんの診療には、様々な診療科間の協力や多職種での連携が重要であることを改めて感じる学会となりました。
(文責:宮田康好)

アメリカ泌尿器科学会(American Urological Association, AUA)年次総会に参加、発表してきました。

2016年6月1日

 5月6日からアメリカ、サンディエゴで開催された2016 年のアメリカ泌尿器科学会、年次総会(AUA Annual Meeting 2016)に、酒井教授と宮田、そして、松尾先生、中村先生、荒木先生が参加してきました。この学会については以前にも紹介していますが、3月に開催されたヨーロッパ泌尿器科学会(EAU)総会と、その演題の質と量において双璧をなす泌尿器科領域で最大規模の学会です。
 長崎大学、泌尿器科からは、松尾先生が「Association between vaginal pressure and transversus abdominis muscle thickness in patients with pelvic organ prolapse」を発表しました。Pelvic organ prolapse (POP) とは骨盤内臓器脱のことで、高齢女性を中心にみられる子宮のみならず膀胱瘤や直腸瘤などを呈する女性泌尿器科領域の疾患です。 この治療法には様々なものがありますが、長崎大学、泌尿器科では、メッシュを使用したtension-free vaginal mesh (TVM) という手術療法を中心に行なってきました。これは、子宮を摘出することなく、最小限の侵襲できる優れた方法であり、発表者の松尾先生は150 例を超える豊富な経験を有しています、さらに、その病態によっては、腹腔鏡を用いた手術を導入するなど積極的に取り組んでいる分野の1つです。 今回の発表は、その診療の中から得られた経験から、腹部の超音波検査という負担の少ない検査法を活用した新たな知見を見いだしたものです。発表会場では活発な議論が行なわれており、女性泌尿器科の分野においても、有益な情報を世界に発信できたと思います。
 さて、今年の総会は、(あくまでの私見ではありますが)「分子標的薬」や「抗がん剤治療」に関する発表が減少しているのに対して、「尿路結石」や「手術」に関する発表が増えている印象を持ちました。ご存じのように、アメリカでは 「分子標的薬」や「抗がん剤治療」は medical oncologist が行うことが多いため、このような傾向にあるのかもしれません。 また、手術支援ロボットや体腔鏡手術、そして、尿管鏡手術など、内視鏡手術では、新たなデバイスや技術が報告されており非常に勉強になりました。また、私達もグローバルの治験に参加している「免疫チェックポイント阻害剤」に関する発表が昨年よりも倍増しているのも印象的でした。 今年は、若手医師として中村先生と荒木先生が参加しました。 長崎大学、泌尿器科では、酒井教授の「若い時期に世界の最高レベルの学会の雰囲気に触れてもらう」という方針のもと、教室員となった翌年のEAUかAUAの年次総会に派遣することを恒例としています(ちなみに、湯野先生はドイツ、ミュンヘンで開催されたEAUの総会に参加しました)。 2人とも時差ぼけと戦いながら?!熱心に発表を聞いていました。 そして、帰国後に、より積極的に臨床や研究に取り組んでいる姿を見て、本当に一緒に参加して良かったな!と実感しています。数年後には、彼らがこの学会の壇上に立ち、立派に発表してくれることを確信しています。
 そして、学会でみっちり勉強した後は、アメリカの特大ステーキに、カリフォルニアワインを腹一杯堪能しました。来年の AUA Annual Meeting はボストンで開催されます。大学病院のみならず、関連病院も含めてみんなで頑張って演題発表の機会を得て、ボストン名物の「ロブスター」に「クラムチャウダー」を・・・失礼しました・・・最先端の泌尿器科を感じに、そして、勉強に行きましょう!!
(文責:宮田康好)

朝の7時過ぎの学会会場です。この写真で全体の半分程度です。

学会会場のサンデイエゴ コンベンションセンターです。すぐ裏はヨットハーバーでした。

第104回日本泌尿器科学会総会に参加しました!

2016年5月9日

 去る4月23日~25日、仙台国際センターにて、第104回日本泌尿器科学会総会が開催されました。国内の泌尿器科医が一堂に会する大きな学会で、今回は土日が中心であったこともあり、特に参加者が多いように感じました。
 さて、長崎大学および関連施設からも数多くの演題発表がありました。The power of partnership企画においては、副腎腫瘍のパートで酒井教授が座長を務め、竹原浩介先生(長崎みなとメディカル市民病院)がシンポジストとして発表し、 また地域連携のパートでは古川正隆先生(佐世保市立総合病院)がシンポジストとして発表しました。また総会賞演題として、林田 靖先生(国立病院機構嬉野医療センター)、松尾朋博先生、光成健輔先生(長崎原爆病院)が、 一般口演で大庭康司郎、一般ポスターで宮田康好先生、計屋知彰先生、鹿子木 桂先生、浅井昭宏先生が、発表しました。そして、林田 靖先生が日本泌尿器科学会総会賞に選ばれました。
 本学会には研修医の先生にも参加してもらい、泌尿器科の魅力や長崎大学が発信する研究成果を改めて実感できたものと思います。また学会で多くの発表、意義深い討論を行った後は、恒例の懇親会も開き、 日本酒と海の幸、牛タンに舌鼓をうちました。短い期間でしたが充実した楽しい学会でした。

第104回日本泌尿器科学会総会で、嬉野医療センターの林田靖先生が総会賞を受賞しました。

2016年4月27日

 4月22日より、仙台市で開催された日本泌尿器科学会総会で、長崎大学泌尿器科学教室の関連施設である嬉野医療センターの林田靖先生が発表した「腫瘍径の大きい表在性膀胱腫瘍に対するEMR併用En-bloc TUR」(林田靖、谷口啓輔、宮田康好、酒井英樹)が、ビデオ部門の総会賞を受賞しました!
 今回の発表は、嬉野医療センターの谷口先生と林田先生が独自に着目し、工夫を重ねて確立した手術を紹介したものでした。この方法は、比較的大きな膀胱腫瘍であっても、安全に、より確実に腫瘍を切除できるなど、従来の経尿道的手術より優れた点を多く持っています。 私が、最初にこの手術法について相談を受けた時には、「地域の中核病院で忙しいなか、独自性の高い発想ができてすごいなぁ」と驚くと共に、膀胱がんの組織を研究してきた私にとっては、病理診断という意味でも非常にすばらしい方法だと思いました。 そこで、長崎大学病院で蓄積してきた知見を基にさらなる改良を加えることで、手術方法が優れている事に留まらず、治療後の患者さんの経過を予測する、そして、生命予後そのものを向上させることを目指した手術法となりました。
 今回の発表の抄録作成からビデオ編集、発表スライド作成まで、何十回となく林田先生とメールのやり取りをしました。そして、4月に入ってからは、診療が終わった後に、何度となく大学病院まで足を運んでくれました。 このように、今回の栄誉は、何よりも林田先生の熱意と行動力、そして、それを支えられた谷口先生の指導力と包容力の賜物だと思います。そして、大学病院として、そのサポートができたことを嬉しく思っています。
 授賞式の夜は、酒井教授を囲んで、林田先生も一緒に教室員みんなで仙台の美味しい日本酒に海産物、牛タンを堪能しました!そして、林田先生の「長崎大学泌尿器科学教室の総合力の成果です!!」という言葉を聞いて胸が熱くなりました。 今後も、臨床に、研究に、そして、飲み会に?!『オール長崎』で取り組んでいきたい、と改めて強く感じました。
 最後になりましたが、林田先生、谷口先生、総会賞受賞、本当におめでとうございました!
(文責:宮田康好)

3名の仲間が新たに加わりました。

2016年4月13日

 4月より、迎先生、大坪先生、城島先生の3名が私達の教室に加わってくれました!その略歴や自己紹介は近日中にホームページにアップしますが、関連病院ならびに同門の先生方には、今後ともよろしくご指導のほどお願い申し上げます。 ただ、初めて長崎大学病院の電子カルテに触れる先生もいて、戸惑いの方が大きいようですが、焦らずにボチボチ頑張りましょう!!
 来年度からは「新専門医制度」が始まります。私達の教室でも、酒井教授監修のもと、「da Vinciを含む最先端の医療」、「腎移植を含めた腎不全や小児泌尿器科、排尿障害、女性泌尿器科などの専門医療」、 「副腎腫瘍や透析患者さんの副甲状腺疾患に対する内分泌外科」、さらには、「離島や遠隔地での地域医療」、そして、「基礎と臨床を網羅する研究」など幅広い領域に特徴を持つ『ながさき泌尿器科専門研修プログラム』を作成しました。 また同時に、 「ワーク・ライフ・バランスのとれた職場」も大切な目標のひとつです。私達の実践している医療に、そして、長崎県を含む西九州の地域医療に関心のある研修医、医学生の皆さん、是非、私達の職場を1度見学に来られませんか? 百聞は一見にしかずと言います。1年365日、いつでも大歓迎いたしますので気軽に連絡ください。
(文責:宮田康好)

第49回日本臨床腎移植学会に参加・発表しました。

2016年3月29日

 2016年3月23日~25日に鳥取県米子市で第49回日本臨床腎移植学会に参加・発表しました。
 今回は長崎大学からは泌尿器科、腎臓内科のほかに、救命救急センターの先生も参加・発表されました。
 泌尿器科からは荒木先生が「SLE患者の腎移植に関する症例報告」、岩田先生が「エベロリムスを使用した新規免疫抑制療法の初期治療成績」、 望月先生が「長崎大学50年の腎移植治療成績」といった内容の3演題の発表でした。腎臓内科からは北村先生、川口先生が一般演題での発表を、 救命救急センターの平尾先生はシンポジストとして発表されていました。錦戸先生はシンポジウムの座長を担当されました。 今回は長崎大学から多くの演題発表がありました!!

 そして学会で大いに勉強したあとは、懇親会です。長崎大学病院からは貞方、天ケ瀬、末永看護師と、長崎医療センターからは松屋先生、大仁田先生と、同院の院内コーディネーターの濱村さんと、 そして長崎県移植コーディネーターの竹田さんと一緒に交流を深め、長崎県の腎移植医療の発展を誓いつつ、楽しく有意義な時間を過ごしました。

ヨーロッパ泌尿器学会の展示ブースから

2016年3月25日

 3月11日よりミュンヘン(ドイツ)で開催されたヨーロッパ泌尿器学会(EAU)総会に参加してきました。学会の詳細は後日掲載しますが、今回は「企業の展示ブースからみた近未来の泌尿器科診療」を紹介します。 国内でも全日本レベルの学会では、製薬会社や医療器機メーカーが自社の製品を紹介するブースがあります。しかし、EAUにおける規模は国内のそれの数倍はあり、また、日本では認可されていないものも展示されているため、実は、毎回楽しみに訪れています。
 今回も、様々な最先端の情報に接することができましたが、特に以下の3つが印象に残りました。 つまり、①より小型され、精密になっていくda Vinci(ダビンチ) システム、②地味ながら進化を続ける内視鏡、そして、③免疫チェックポイント阻害剤、の3つです。 少し細かく述べますと、①は写真Aに示した通りで、すごくコンパクトになっており、コスト次第では全国の泌尿器科を標榜する病院でますますda Vinciシステムの導入が進むのはないかと感じました。 ②については、意外に感じる方もいるかもしれませんが、泌尿器科は内視鏡を用いた検査や手術が非常に多く、写真に示したようなより侵襲の少ない腎盂尿管鏡や、新たな経尿道的手術(TUR)の開発(B)など、地味ではありましたが着実に進化していることを実感しました。 そして、③の「免疫チェックポイント阻害剤」については、日本では未承認の薬剤もあり写真は掲載できませんが、様々な種類の薬剤が紹介されていました。この「免疫チェックポイント阻害剤」は、従来のがん治療を大きく変貌させる可能性が指摘されている薬剤で、世界的規模で多種多様な悪性腫瘍における臨床研究や治験が進んでいます。 本邦でも、その一部がある種の悪性黒色腫や肺癌で承認されていますが、海外では、一部の国で腎癌や膀胱癌などの尿路癌での承認が見込まれています。実際、私達の教室も、尿路癌における「免疫チェックポイント阻害剤」を用いた世界規模の治験に参加が決定しており、その意味でも興味深く見ることができ、良い勉強にもなりました。 その他にも、より精度の高い前立腺生検を可能にした超音波検査装置(C)にも目を奪われました。そして、日本企業も頑張っていました(D)!!
 EAUには5年連続で演題が採択され学会に参加する機会を得ましたが、(昨年は、トラブルで渡欧できませんでしたが・・・)、企業展示ブースを訪れる度に、泌尿器科診療の進歩を目の当たりにします。思えば5年前に驚愕したda Vinciシステムを、今、大学病院で直接触れることができるようになりました。 また、医療器械や薬剤など、幅広い分野で泌尿器科の診療が進歩していることを実感できた学会でした。常に最新の情報を入手して勉強していかなくてはならないと、あらためて痛感しました。
(文責:宮田康好)

ヨーロッパ泌尿器科学会(European Aassocaition of Urology, EAU)の年次総会で発表して・・・

2016年2月29日

 ご存じの方も多いと思いますが、論文掲載にいたるステップとして「査読(review)制度」があります。これは、投稿された論文の内容などから、編集者がその分野の専門家に結果の重要性や追加すべき事柄、そして、掲載の可否について意見を求めるものです。 通常は2ないし3名に依頼されることが多く、それらの意見などに沿って修正された後に掲載の可否が最終決定されます。この査読を誰が行なったかは公表されず、全くのボランティアであるなど完全に「裏方」であり、さらに、返答までの期限は1~3週間と限られるため、結構大変な作業になります。 ただ、私達が論文を投稿した時は誰かがこの役割を果たしているわけですし、これも大学の教官としての仕事と考え、私は依頼があれば原則としてすべて受け入れています。 なお、「原則として」と言ったのは、最近インターネットなどに堂々と公表されている「インチキ論文」以外ということです。 その詳細については、機会があれば触れたいと思いますが、詳細を知りたい方は“Beall’s List ”で検索してみてください。
 さて、前置きが長くなりましたがで、先日、ある雑誌から査読の依頼が来ました。その詳細を述べることはできませんが、今まで私達が報告してきた癌関連分子の「腎腫瘍」における発現に関する内容でした。初めて目にする雑誌でしたが、インパクトファクターが付与されており引き受けることにしました。 そして、後日その内容を丁寧に読むと、何となく違和感が・・・、今まで目にしたことがない英語が・・・。で、タイトルをよく見ると・・・「Persian cat」の文字が・・・。そうです、獣医さん向けの英文誌に投稿された「ペルシャ猫」の腎腫瘍に関する論文だったのです!! 先日のニュース番組で、最近は「猫ブーム」と報道していましたが、こんな形で実感するとは!?などと思いながら熟読すると、同じ腎腫瘍に関する論文でも、人とネコでは表現や論点が大きく違っており、とても興味深く読めました。しかし、また猫や犬などの家畜に関する論文の査読依頼がきたらどうしよう?と少し悩んでいます。
(文責:宮田康好)

2014年12月 XII International Symposium of HTLV in Brazil and IV Paulista Symposium of HTLVに参加・発表しました。

2016年1月25日

 1月26日(火)19時~20時54分に、長崎文化放送(NCC)を含む朝日放送系列で長崎大学病院の「排尿機能外来」が全国放送されます!!その番組は、『たけしの健康エンターテインメント!みんなの家庭の医学 2時間スペシャル』です。そして、その内容は、【チーム医療】で原因究明! 治らない不調を解決する専門外来 スペシャルということで、松尾朋博先生を中心とした長崎大学病院、泌尿器科・腎移植外科の排尿機能専門外来が取り上げられます。
 細かな内容については、当日のテレビ放送をご覧頂くとして、松尾先生のこれまでの地道な診療と、看護師さんをはじめとしたコメディカルの皆さんとの協調体制の構築、そして、内科を含む他科医師との診療連携などの【チーム医療】に注目した内容になっています。 これは、長崎大学泌尿器科学教室が掲げる「他職種との連携」、「地域に密着した医療」、「診断から治療まで一貫した診療」といった方向性が認められた事でもあり、本当に嬉しく名誉なことだと思います。そして、その【チーム医療】の柱として頑張っている松尾先生の温厚な性格と優しさ、 心に秘めた強い意志とやる気があったからこそ、このようなすばらしいチームができあがり、その結果、多くの患者さんのより緻密な診断や症状の改善に繋がったものと確信しています。かく言う私も松尾先生の情熱に魅せられてそのチームに参加した1人であり、ほぼ1人で排尿機能専門外来を担いながら、 少しずつ仲間を増やしていき、さらに、患者さん1人1人を丁寧に診察するなかから臨床研究をまとめていった松尾先生をそばで見てきました。その意味でも、今回、松尾先生が実践している排尿機能専門外来の診療にスポットライトが当たることを、本当に嬉しく感じています。
 なお、松尾先生はビートたけしさんと一緒にスタジオ収録したわけですが、すごいオーラを発していたそうですよ。そして、全国放送の番組作りは本当に大変だったようです。皆さんも、機会があればそれらの話しを松尾先生に聞いてみてはいかがですか、とても興味深い話しが聞けますよ。
 前回のASCO-GUの学会記にも書きましたが、長崎大学泌尿器科教室では、酒井教授が掲げられた方針のもと、世界的にも最先端の医療技術や各種の診療を提供するのは言うまでもなく、このような「他職種と連携したチーム医療により地域医療へ貢献できる取り組み」も積極的に行なっています。 今回、このような姿勢は患者さんにとっても有用なものであり、また、客観的にも注目されるに値するものであることが示されました。毎回、UroUro通信に書いていますが、このような地域医療に、そして、排尿機能障害に興味のある学生、研修医の皆さん、是非、気軽に話しを聞きに来ませんか?教室員一同で大歓迎しますよ。
(文責:宮田康好)

2016 Genitourinary Cancer Symposium (ASCO-GU) に参加、発表してきました。

2016年1月19日

 1月7日からアメリカ、サンフランシスコで開催された2016年 Genitourinary Cancer Symposium (ASCO-GU)に酒井教授と共に参加してきました。この学会は、アメリカ臨床腫瘍学会の泌尿器癌 に特化した学会で、朝から夜まで泌尿器科癌についての講演や発表が行なわれます。 この学会の最大の特徴は、そのタイムスケジュールにあります。つまり、一般的な学会では複数カ所(大きな学会では10数カ所)の会場で同時進行で発表があるため、聞きたい演題が同じ時刻にある場合には1つしか聞くことができません。 まして、発表者となれば、その時間に興味ある講演があったとしても聴講することはできません。一方、ASCO-GUでは、午前中に1カ所のみで講演や口演発表があり、昼食後には1会場でポスター発表があり、その後、再び、1つの会場で講演が行なわれます。 つまり、その気になればすべての発表を聞くことができます。しかも、初日は前立腺癌を中心に、2日目は尿路癌や精巣腫瘍、陰茎腫瘍を、3日目は腎癌を中心に行なわれるため、現在の治療の流れや次世代の治療法について効率的かつ系統的に学ぶことができます。
 今年、長崎大学からは2題発表しました。1題は、以前より長崎大学、泌尿器科がオリジナルで考案した「ゲムシタビン、パクリタキセル、ソラフェニブ併用療法」の尿路癌患者における有用性と安全性に関するもので、もう一題は、前立腺癌に研究を進めてきた「human antigen-R」の発現が尿路癌患者におけるゲムシタビンの治療効果を予測するという内容でした。
 さて、私自身は2012年に参加、発表して以来、久しぶりのASCO-GU でしたが、今年はその時と何か違う印象を感じました。つまり、あくまで私見ですが、アメリカにおける抗がん剤や分子標的治療薬による治療が泌尿器科医から臨床腫瘍医にシフトしている感じを受けました。 このことは以前より指摘されていたことですが、その傾向がより加速し、すでに既成事実化しているように思えました。長崎大学、泌尿器科では、酒井教授の方針のもと、診断から治療まで、さらには、関係分野と連携しながら、がんの予防から緩和医療まで泌尿器科医が一貫して関わっていく医療を行なっています。 本学会に参加、発表したことで、手術は言うまでもなく、抗がん剤治療や放射線療法、分子標的治療に免疫療法と、幅広い分野で最先端の医療を提供していきたい、とあらためて思いました。
(文責:宮田康好)


講演会場では立ち見も出るほどでした。この写真で全体の3分の1くらいです。


ポスターの前で少し緊張気味です。