目 次
大学等における実験動物の取扱いに関する安全管理の徹底について (通知)
Bウイルス抗体調査結果に対する「国動協バイオハザード小委員会」の「見解」
平成8年 国動協配布資料「Bウイルス関係参考資料」(国動協より)
文献リスト (訳)
疫学(発生事例報告等)関係 
血清学的診断関係 
遺伝子診断・遺伝子治療関係
化学療法関係
SPFサルコロニー樹立関係
その他の文献 




9学情第 18号
平成9年5月23日
各 国 公 私 立 大 学 長
各大学共同利用機関長   殿
文部省学術国際局学術情報課長
大学等における実験動物の取扱いに関する安全管理の徹底について (通知)
 
 大学等における動物実験の実施に関しては、「大学等における動物実験について」(昭和62年5月25日付け、文学情第141号)によって特段の御努力をいただくとともに、特に人獣共通感染症については、「動物実験における人獣共通感染事故の防止について」(昭和54年4月25日付け、文学情第161号)及び「流行性出血熱 (韓国型出血熱)予防指針等について」(昭和56年7月10日付け、文学情第215号)で、関係職員等の健康安全管理等に十分留意するようお願いしてきたところです。
 今般、「国立大学動物実験施設協議会バイオハザード対策小委員会」が別紙1のとおり実験用サルについて人獣共通の感染症であるBウイルスの抗体検査結果を取りまとめました。それによれば、実験動物の適正な飼育管理の確保について改めて徹底を図る必要があると考えられます。  ついては、貴学 (機関)において、とりわけ実験用サルに関する飼育及び実験が行われている各施設、部局等の関係職員等に対して、別紙2の「国立大学動物実験施設協議会バイオハザード対策小委員会」が取りまとめた留意事項の周知徹底を図られ、関係者の健康安全管理に遺漏のないよう、特段の御配慮をお願いします。



(別紙1)
Bウイルス抗体調査結果について
 
国立大学動物実験施設協議会
バイオハザード対策小委員会
 今回文部省科学研究費補助金により我が国の動物実験施設協議会傘下 (31施設)について、平成8年8月から同年12月までの期間にマカカ属及び非マカカ属の計962検体を収集し、社団法人「予防衛生協会」でBウイルス抗体検査を行った。

 その結果下記のようなデータが得られた。

1. 上記期間中に総数 962検体 (31機関)のサルの血清が収集された。
2. Bウイルス抗体調査結果



(別紙2)
サルを使用した動物実験における人獣共通感染症 (特にBウイルス)の防止に関する留意事項
 
国立大学動物実験施設協議会
バイオハザード対策小委員会
 サルを使用した動物実験における人獣共通感染症感染事故、例えばBウイルスなどの感染事故を防止するためサルの取扱いについて基本的事項を徹底し、少なくとも次の諸点を遵守するよう、関係者に周知願いたい。

1 サルの入手に当たっては次の事項に留意すること。
 (1) 新たに入手したサルの一般的健康状態の把握
 (2) Bウイルス抗体の有無

2 サルの検疫、飼育、実験に携わる者は次の事項を励行すること。
 (1) サルは個別ケージ、可能であれば挟体付きケージに収容
 (2) 専用マスク・実験衣・手袋・履物の使用
 (3) 飼育器材の定期的消毒及び洗浄
 (4) 咬傷、ひっかき事故の防止
 (5) 実験使用後の機器、資材の消毒、滅菌
 (6) サル由来の組織、血液等の慎重な取扱い
 (7) 救急箱の常備

(注) 免疫抑制、レトロウイルス感染実験、あるいはストレス付与実験等により
Bウイルスの活性化を招く恐れのある実験を行う時は、特に上記に留意すること。

3 動物飼育管理及び動物実験を行う施設等においては特に次の事項に留意すること。
 (1) サルの逃亡防止
 (2) 確実な麻酔
 (3) 飼育・実験関係者以外の立入制限

4 動物実験に従事する者が咬傷、ひっかき等サル由来の怪我をした場合は、速やかに医師の診断を受けるとともに、施設に報告すること。

5 実験動物飼育管理者及び実験従事者に対して、予防に関する安全教育を徹底するとともに、定期的に健康診断を実施し、関係者の健康安全管理に遺漏のないよう留意すること。

6 その他CDCガイドライン (Guidelines for the Prevention and Treatment of B-virus infections in Exposed Persons; Clin. Inf. Dis., 20: 421-439, 1995) をはじめ、Bウイルスの詳細については、以下のウェブサイトを参照すること。



Bウイルス抗体調査結果に対する本小委員会の「見解」

平成9年5月8日
                         バイオハザード対策小委員会
「まえおき」
 
 このたび、国立大学動物実験施設協議会 (以下、国動協と略) 会員施設を対象とした平成8年度科研班 (施設飼育実験用サルにおけるBウイルス感染の実態調査、班員: 国動協バイオハザード対策小委員会委員及び予研・霊長類センター長、班長: 佐藤 浩) によるサルBウイルス抗体調査結果が本協議会総会で報告されます。本小委員会としてはこのたびの調査結果に鑑み、以下のような「見解」を示します が、その前に、本小委員会としての立場を前置きかたがた若干説明しておきたいと思い ます。
 一般的に、実験動物にほぼ共通することですが、動物実験に使用される実験動物は、それらが捕獲動物、あるいは 捕獲動物由来であると否とにかかわらず、動物実験に際しては、人獣共通感染症によるバイオハザードの危険性が絶えず付随することは避 けられないことであります。昨今のエマージングあるいはリ・エマージング感染症をも考慮 して、例え病原体が検出されなかったといえども、あらゆるもの (未知のものを含めて) について検査されたものではないことでもあり、充分な注意が必要です。
 一方、バイオハザード防止に関しては、これまでにもすでにいくつかの対策マニュアルが存在し、 それらを参考にして各機関 (動物実験委員会、安全管理委員会)、各施設及び実験実施者が対処すべき性 質のものです。そのため国動協は的確な情報をいちはやく動物実験施設を通じてこれら対処すべき機関、実験実施者に提供してゆきたいと存じます。
 実験動物の中でも、とりわけサルに関連する疾病は、密接に人に関連することが多く、注意すべきものですが (例えば結核、赤痢、あるいは寄生虫、さらに最近のエボラ、モンキーポックス等)、近年サルにおけるBウイルス感染のことが社会的にも問題となっており、 本小委員会としては以下の項目を今回のBウイルス抗体調査結果に対する「見解」として示すとともに、関連情報を提供し、国動協会員の理解を図ることと致します。
「見解」
 
  1. 抗体陽性個体の実験使用、あるいは安楽死などの取扱いは、各実験内容とその重要性及び予想されるリスクを総合的に考えて各機関、各施設で主体的に判断されたい。
  2. 抗体陽性個体からの咬傷や針刺し事故など、Bウイルスの感染・曝露が考えられる 場合でも現在は治療法があってそれらに基づき治療されるべきである。 
  3.  このためBウイルス感染に限らず、動物実験施設は人獣共通感染症の不測の事態発生 を考慮して、施設内にあっては救急手当用の消毒薬を常備すると共に、施設外にあっては「安全管理委員会」との接触や、大学附属病院 (例えば救急部や感染系内科等) 等の指定医と情報等に関し絶えず密接な交流を計っておくことが望まれる。
  4. わが国では過去に死亡例は無いが (諸外国でも例数は少ないが)、予防などに従来通り万全の注意を払うに越したことはない。これまでの経験から適切なサルの取扱いに よって危険性を防止出来得る。
  5.  しかし、最近のサルの使用状況の変化 (特に最近は従来動物実験にあまり経験のない 分野の研究者がサル使用の動物実験分野に参入してきている)を考慮すると、人獣共通 感染症に関する実験者への一層の啓蒙・教育が必要である。
  6. 今回の調査には野生棲息及び動物園等のサル群は含まれておらず、それらのマカカ属サルの抗体保有の実態は不明である。
  7. 近い将来には小動物同様マカカ属サルにおいてもSPFの繁殖コロニーを樹立し、 それらのサルを動物実験に使用することが必要であり、早急な対応が望まれる。
  8. なお、下記「常備すべき資料」を各国動協会員施設に置き、実験者・施設職員等関係者が容易 に閲覧出来るようにすることを勧める。
「常備すべき資料」
 
  1. Bウイルス関係参考資料 (第22回国立大学動物実験施設協議会総会におけるバイオハザード対策小委員会配布資 料、平成8年5月9日)(電子ファイル:長崎大学医学部附属動物実験施設 <URL: http://www.med.nagasaki-u.ac.jp/lac/B-virus.html#CDC>)
  2. 1) CDCガイドライン: Bウイルス感染の予防と治療のためのガイドライン
    2)(社団法人)予防衛生協会における対応(事故発生時の対応)
    3) 京都大学霊長類研究所における対応(現方針
    4) 検査関係(日本におけるBウイルスおよびその他サルのウイルス抗体検査機関)
  3. 大阪大学医学部"霊長類の飼育と使用に関するガイドライン <URL: http://hayato.med.osaka-u.ac.jp/index/guide/inform/regulation/ primate2-j.html>
  4. CDC, NIH 微生物学・医学実験室のバイオセーフティー(倉田毅訳、医学書院 1996年)
  5. バイオハザード対策ハンドブック (大谷 明、内田久雄、北村 敬、山内一也編集: 近代出版、1981年)
  6. 微生物によるバイオハザードとその対策 (岩田和夫編集: ソフトサイエンス社、1980年)
  7. Guide for the Care and Use of Laboratory Animals. Institute of Laboratory Animal Resources, Commission on Life Sciences, National Research Council, National Academy Press, 1996
  8. Laboratory Safety; principles and practices, 2nd edit.   Fleming, DO., Richardson, JH., Tulis, JJ., and Vesley, D.   ASM Press, 1995
「関連通知等」
 
  1. 動物実験における人獣共通感染症感染事故の防止についての申し合わせ
  2. (昭和54年3月26日 国立大学動物実験施設長会議)
  3. 動物実験における人獣共通感染症感染事故の防止について(通知)
  4. (昭和54年4月25日 文学情 第161号)
  5. 流行性出血熱(韓国型出血熱)予防指針等について(通知)
  6. (昭和56年7月10日 文学情 第215号)
  7. 大学等における動物実験について(通知)
  8. (昭和62年5月25日 文学情 第141号)
  9. 大学等における実験動物の取扱いに関する安全管理の徹底について(通知)
  10. (平成5年2月18日 5学情 第2号)
「関連文献」
 
 Bウイルスに関連した多数の文献のうち、主要なもののアブストラクトを小委員会委員 関係者によって、現在、和訳作業を進めています。 下記ウエブサイトにアクセスして必要なものをコピー&ペーストしてご使用下さい。 URL: http://www.med.nagasaki-u.ac.jp/lac/macaque_B.html>

次のような階層になっております。    

    1. 1996年 国動協配布資料「Bウイルス関係参考資料」
    2. 疫学(発生事例報告等)関係 
    3. 血清学的診断関係 
    4. 遺伝子診断・遺伝子治療関係
    5. 化学療法関係
    6. SPFサルコロニー樹立関係 
    7. その他の文献 
「関連ウエブサイト」
  1. 人獣共通感染症連続講義 URL: http://www.anex.med.tokushima-u.ac.jp/topics/index.html>
  2. 感染研 (旧予研) 霊長類センター URL: http://www.nih.go.jp:80/yoken/tpc/main-j.html>
  3. Zoonotic Diseases <URL: http://omni.ucsb.edu/pro/policy.html#Devices>


文献リスト (訳)
  • 疫学(発生事例報告等)関係


  • 血清学的診断関係



  • 遺伝子診断・遺伝子治療関係



  • 化学療法関係



  • SPFサルコロニー樹立関係


  • その他の文献