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法医学的病態解明

 研究課題名
 法医剖検で認められる豚脂様凝血に関する組織学的検討

 研究等責任者
 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 法医学 池松和哉

 研究の実施場所
 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 法医学
 長崎大学死因究明医育成センター

 目的・内容
 法医剖検例では豚脂様凝血と称される特殊な凝血が認められることがあります。豚脂様凝血は古くから教科書に言及されていますが、その内容は遷延死と法医学では呼ばれている“死亡までに時間を要する死”において多く見られると記載されているのみで、その成因や死因との関連は明らかになっていません。
 つまり、豚脂様凝血が生じる原因や豚脂様凝血の構成蛋白質等に関して、死因究明の精度向上の観点から科学的な解明が必要です。
 近年、免疫に関わっている好中球が、肺炎等の感染症の際に周りからある種の刺激を受けると、細胞外に粘性のDNAを放出し、細菌を捕捉・殺菌する「好中球細胞外トラップ」という現象が生じることが報告されました。また、この現象が好中球のプログラムされた細胞死であることも明らかにされ、NETosisという概念が提出されました。
 我々は肺炎や敗血症と言った病気による死亡が遷延死であり、また感染症による死亡でもあることから、これらの病態ではNETosisが生じており、その結果、豚脂様凝血が生成されるのではということを仮定し、研究を行いたいと考えています。具体的な方法ですが、豚脂様凝血を対象としてNETosisに関連する蛋白質が発現・存在しているか否かを、免疫組織学的法という特殊な方法を用いて蛋白質を可視化してから顕微鏡を用いて確認します。
 この研究の結果により、豚脂様凝血の法医学的意義を明らかにすることで、法医学での死因診断の精度向上に繋がることが期待されます。

 対象
 長崎大学法医学教室で平成29年4月1日から令和4年3月31日までに法医解剖に附された方

 研究期間
 調査実施期間:平成29年4月1日から令和4年3月31日
 研究実施期間:長崎大学大学院医歯薬学総合研究科倫理委員会許可日~令和6年12月31日

 倫理的問題点等
 本研究は「ヘルシンキ宣言」及び「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」、に従い実施されます。対象はご遺体であり、本人に対する苦痛はありません。
 解剖で得られたデータは、限られた人員のみがアクセス可能である外部から遮断されたデーターサーバーに保管されています。データ−サーバーより必要情報のみを抽出して研究に使用します。データ抽出後は個人の特定は不可能となります。抽出・解析データは研究終了後、責任者が電子媒体上のデータについて電子的破棄をおこないます。従って、データ管理に関する倫理的問題はほとんど生じないものと考えています。

 試料等提供者またはその家族等の人権の擁護
 本研究は「ヘルシンキ宣言」及び「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」、に従い実施されます。剖検データは上記の通り厳重に管理しており、データについては外部からのアクセスは遮断されています。本研究では、データ−サーバーより必要情報のみを抽出して研究に使用しますが、データ抽出後は、情報がどの個人から得られたものなのかは不明となり、個人を特定できず、個人情報は保護されます。

 予測される研究対象者等に対する危険又は不利益
 本研究への参加によって生じるリスクとして、万が一情報が漏洩した際には本人ならびに家族には不利益を被る可能性は皆無ではありません。しかし、データは既に匿名化して保存しており、情報漏洩の恐れは限りなく低いと考えます。
 本研究へ参加することで、死亡している対象者個人に対する利益はありませんが、研究成果により、将来の死因究明の進歩に貢献できる可能性があります。

 個人識別情報を含む情報の保護の方法
 情報管理者を決めた上で、外部から遮断されたパソコンに保管し、個人が特定される可能性は限りなく低いと思われます。

 研究参加拒否について
 本研究への参加を望まれない場合は、下記の「研究に関する連絡先」までご連絡をお願いいたします。本研究へ参加されなかったとしても不利益が生じることはありません。
 本研究は、倫理委員会による研究承認後2ヶ月してから、データ解析を行います。データ解析をはじめると、どのデータが誰のデータかを特定することはできません。このために、ご遺族の方が解剖でのデータを使用して欲しくないと思われた場合、早めにご連絡をお願いします。なお、この時期を過ぎますと、解析の中からデータを取り除くことは不可能です。

 研究により得られた結果等の説明について
 「倫理的問題点等」、「試料等提供者またはその家族等の人権の擁護」及び「研究参加拒否について」の欄に記載しましたように、本研究に使用する情報を抽出後は、個人の特定は不可能です。従って、ご遺族に故人の結果について開示・説明することはできなくなります。
 ただし、本研究は、人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」が想定している「特に生命に重大な影響を及ぼす恐れのある情報」、例えば、がんや遺伝病の罹患等に関する情報を取得するような研究ではありません


研究に関する連絡先

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 法医学  池松 和哉
tel. 095-819-7076
E-mailforensic.nagasaki@gmail.com  
   
※@(全角)を@(半角)に変更して送信ください。
 
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