ごあいさつ

2022所感 教授:田中克己
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科
形成再建外科学
教授 田中 克己

 新年度を迎え、長崎大学形成外科もすでに新たなスタッフとともにスタートを切っています。長崎大学形成外科として果たすべき役割として3つの重要課題があります。
 第一に研究と臨床の両立があります。形成外科は確かに臨床に特化しているところがありますが、実は基礎的研究に裏付けられた部分が多く、その研究成果を基に新たな治療へ繋ぐことができます。また、臨床研究は得意な分野の一つですので、新たなエビデンスをもとに次の世代に繋がるような治療法を考えています。そのためには、大学院生を広く募集しており、多くの方に大学院での研究、じっくりと腰を据えたサイエンスの追及を行っていただき、国内外に広く発信できるように考えております。
 第二に地域医療への貢献です。2007年から日本はすでに超高齢社会に突入しております。このまま高齢化はさらに加速するため、加齢に伴う各種の疾患の増加が予想されます。とくに難治性潰瘍や変性疾患に対する形成外科的な取り組みを求められており、患者さんの社会復帰とともに質の高い日常生活を取り戻す一助と考えております。
 三つ目の取り組むべき課題として、働き方改革があります。長崎大学形成外科においてもワ―クライフバランス、働き方改革等に関してはすでに2019年から取り組みが始まっており、5年の猶予後の、いわゆる「医師の2024年問題」にむけての対応が喫緊の課題となっています。多様な働き方を選択できる社会へ向けて、時間外労働の上限規制など具体的に取り組まなければなりません。長崎大学の関連施設は県内外に数多くあり、施設ごとの特徴やきわめて多彩です。自分の希望やライフスタイルにあった形成外科を求めることが可能です。

 最後にご案内です。2023年4月26日(水)・27日(木)・28日(金)に長崎市の出島メッセ長崎におきまして、第66回日本形成外科学会総会・学術集会の開催を予定しております。長崎大学形成外科としては、第23回(1980年)の難波雄哉先生、第45回(2002年)の藤井 徹先生、第57回(2014年)の平野明喜先生に続き、4回目となり、たいへん光栄に存じております。テーマを、『歴史を繋ぎ、未来を拓く』といたしました。長崎大学形成外科の歴史が日本の形成外科の歴史であるという自負を抱きつつ、未来へと繋いでまいります。