長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 地域医療学分野

ごあいさつ

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 地域医療学分野 教授 永田康浩
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科
地域医療学分野 教授
永田 康浩
 この度、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科先進予防医学専攻の地域医療学分野を担当することになりました。これまでの地域包括ケア教育センターのセンター長を併任しますので、引き続き地域医療・包括ケアの向上に資するよう、教育と研究に取り組んでまいります。
 地域医療は当然のことながらこれを取り巻く社会と密接な関係があり、経済や人口の問題、医療資源の配置などが複雑に絡み合っており、数多の課題を一気に解決することはできません。アカデミアの地域医療学としてその中の一つでも多くの課題解決につながるエビデンスの創出に取り組みます。これまで、自治体と住民の皆様のご理解とご協力を得て行ってきた五島市と佐々町での住民健診を基盤にしたコホート研究からは、高齢者特有の動脈硬化やフレイルに関連する病態の解明やBPS(Bio-Psycho-Social)アプローチによる研究成果を発信してきました。今後は、ヘルスプロモーションや介護予防などの社会介入の効果検証システムにより地域医療のさらなる進化につながる研究にも着手します。さらに長崎大学地域医療協働センターが拠点となる医歯薬共同や学域を超えた研究活動にも参画し、地域医療におけるICTの活用や遠隔医療の導入など、住民の生活を支え、地域の活性化につながるヘルスケアモデルの実現へ向けて、地域全体の健康に貢献できる実践的地域医療学を目指します。
 COVID-19の蔓延により医療を取り巻く環境が一変しましたが、地域医療はその渦中にあります。これまでの「あたりまえ」が崩れ、今や世界中が「新たな日常」を求めて彷徨っていますが、その中で新たな着地点を見出すためのエビデンスが求められることでしょう。このような時代にこそ地域医療は「ローカル」の殻にとどまらずグローバルの視点を持つことが必要です。国内外の研究者とも学術交流を深化させ「グローカル」な活動にも積極的に取り組んでいきます。
 本講座は、平成16年(2004年)に開講された長崎県と五島市の寄附講座「離島・へき地医療学講座」に源があり、その原点は地域医療に資する人材養成です。これからも生活モデルの視点を養う環境での地域基盤型医学教育を推し進めていきます。また、五島セミナーにヒントを得た多学科の学生による学習の場は、ヘルスケアの現場における実践的コンピテンシーを養う多職種連携教育として、学科や学部、さらには大学を超えた共修教育としてこれからも拡充していきます。
 最後に地域医療に興味を持つ学生諸君や若い医師の皆さんへ。地域医療学講座では医学部にかぎらず学科を超え、大学を超えた地域活動を支援します。このような活動を通して地域医療の面白さとやり甲斐を感じることで、未来の地域医療を支える人材に成長してもらいたいと願っています。その日は、5年先でも10年先でも構いません。興味ある方は教室を訪問してください。一緒に活動していきましょう。
 これからも地域医療に関する研究と教育を共に推進し、地域診療を支援し、地域のヘルスケアの活性化に貢献するよう努力してまいります。皆様のご支援とご協力をよろしくお願いいたします。
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