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長崎労災病院
    websitehttp://www.na-robyo.jp/

 長崎労災病院は昭和32年5月に3診療科(外科、内科、整形外科)病床100床で開院し、その後の診療科の増設、病床の増床を経て現在では13診療科、350床の中規模病院となっています。
労災の名が示すとおり「勤労者脊椎腰痛センター」、「勤労者脳卒中センター」、「アスベスト疾患ブロックセンター」などを開設し勤労者医療を行っております。一方で地域医療の一翼を担っており、大半の患者さんは一般の中規模病院と大きな違いはありません。(実際に働くと特殊性を感じる事はほとんどないというのが実感です)。
 当院の所在は佐世保市の北部(旧佐世保市以北)に位置し、佐世保市を含む県北医療圏の急性期病院として二次輪番病院の一員でもあります。
 現在のところ県北で唯一、屋上にヘリポートを設置しており離島や僻地からの緊急の患者さんも受け入れが可能であり、実際に搬送患者数も年々増加しております。(2012年度は33件)
県北医療圏は病院数、病院機能の変化、医師数の不足といった問題があり、入院を要する患者さんが佐世保市内をはじめとした中核病院に集中する傾向があります。当院でも佐世保市内は元より県北の平戸市、松浦市や隣接する佐賀県の伊万里、有田方面からの患者さんも受診されます。
 当院の入院患者は整形外科、脳外科、外科などの外科系が4分の3以上を占めていますが消化器科の入院患者数は年々増加する傾向にあります。内科は現在、消化器3名、呼吸器2名、血液1名の小所帯ですが、2年間で200件の紹介入院患者の増加があり、入院数も年間900件を超え増加傾向が続いています。(入院収入で2年前と比較して1.8億円増)
 当院の消化器科の特徴としては肝疾患が比較的多いことです。肝細胞癌の初発だけで年間10~20例あり、2012年度はTAE・TAIで42件、ラジオ波焼灼術16件でした。機器の整備では2012年度よりソナゾイド超音波エコー(アロカProsoundα7)が施行可能となり、RFAが増加しつつあるところです。ソラフェニブに関しても積極的に使用し2013年に入って1月から5月までにすでに5例に投与しています。
C型慢性肝炎は積極的にインターフェロン導入を行っており、2001年以来、270例を超える導入症例数があり、T.R.、N.Rとなった患者さんは小量長期IFNもしくは肝庇護療法を行い、新薬の発売を待っている状況です。B型慢性肝炎、肝硬変の患者さんにも2001年以来約70名に核酸アナログを使用し、発がん予防、肝予備能の改善につとめています。 
胆膵領域ですが、閉塞性胆管炎に対する緊急のERBD、総胆管結石に対するESTやEPBD、悪性胆道狭窄症に対するmetalic stent挿入など施行しています。
閉塞性黄疸に対してはPTCDを当科でも行っており、内視鏡的処置の困難例では内視鏡とあわせて行うこともあります。2012年度は胆道生検や検査をいれて約90例の施行でした。

 消化管については関連病院の中では内視鏡数は少ない方です。2012年度は上部約1200例、下部約650例(うちポリープ切除が100例超)、EVL 11件、消化管止血術30件、ERCP関連約90例でした。(2012年度の12月よりNECの電子カルテが導入され、内視鏡も大学と同じSolemioを部門システムとして導入していますが直後の混乱で統計が概数となりました。)
機器の整備については横山院長の理解もあり、ここ2年間で充実してきました。上部・下部のハイビジョン拡大内視鏡をはじめ、ルーチンの内視鏡の定数増、また今年になり超音波内視鏡、ESDに使用するVIO300Dをそろえました。また内視鏡室も拡充の予算がつき近々工事予定です。
これまで消化器内視鏡関連については佐世保市の他の基幹病院、中核病院に比すと専門性が弱い状態でしたが中尾教授のお許しを得て、2013年5月より大仁田賢先生、山口直之先生、南ひとみ先生に交代で来て頂き手技の施行、指導をして頂けることとなりました。当院にとっては大きな転機と思います。外科の先生からの強い要望もありましたので、この場を借りて御礼申し上げます。
 その他、胆膵、消化管の進行癌に対する化学療法や炎症性腸疾患に対する加療も今のところ数は少ないですが行っております。

 消化器科関連の主な学会認定等については
 日本内科学会教育関連施設
 日本消化器病学会専門医関連施設
 日本肝臓学会関連施設
 日本がん治療認定研修施設
 長崎県C型肝炎治療支援専門医療機関
 となっています。今後、当院に勤務する先生方の一助となれるよう新たな取得をするように努力中です。
 また主に女性医師に対しての育児などが対象ですが勤務条件に関しては短時間勤務(週30時間で正規雇用)が可能です。配偶者の転勤など当院での勤務希望があれば医師確保という面から出来うる限り相談に応じます。
 
 関連病院のなかでは小さな消化器科ですが、RFAや胆膵系の手技、消化管止血術などは複数で行う事を基本とすることに変わりはありません。本年度は私と山口東平先生、城谷麻衣子先生の3人での体制で頑張っています。
外科系の急患が多く、重症例のconsultやICUへの出張内視鏡や外科手術中の術中内視鏡など人数が少ない中で多忙な面もありますが、医局内でのconsultは他の中規模病院と同じくやりやすいと思います。
 これからも赴任される先生方が少しでも働きやすい環境づくりに努めていきたいと思います。今後とも当院をよろしくお願いします。

2013年6月 消化器科部長 後藤貴史