長崎大学大学院医歯薬学総合研究科
循環器内科学
教授 前村 浩二
教授:前村浩二

 当教室は、平成20年7月に第2内科循環器グループと第3内科を統合した新しい循環器内科学教室として誕生しました。大学院では循環器内科学として研究、教育を行うとともに、医学部、大学病院では循環器内科として学生教育や診療に当たっています。従来、長崎大学の内科は番号講座ごとに診療、研究が行われていましたが、この再編により、学生、研修医教育の効率化、診療の効率化、高度化が図られ、また地域医療へのより一層の貢献とともに、高度な医療が可能となっています。

 当循環器内科では狭心症、心筋梗塞、不整脈、心不全、弁膜症、心筋症、高血圧、肺動脈疾患、大動脈疾患などの診療を行っています。循環器内科として統合し、また心臓血管外科とも同じフロアーで診療するようになったことにより、常時連携を蜜にして迅速的確な治療が可能になっているのが強みです。長崎大学の従来からの得意分野である不整脈診療では、カテーテルアブレーション、植え込み型除細動器(ICD)の症例がさらに増加しています。また虚血性心疾患の分野でも長崎県の拠点病院として、関連の病院、診療所と連携をとりながら、急性心筋梗塞など一刻を争う急性疾患にも積極的に取り組んでいます。さらに心不全の分野でも、難治性の心不全患者多くが紹介され、心臓再同期療法(CRT)や左室補助心臓などの高度な診療を行っています。このように循環器疾患の治療法は急速に進歩しておりますが、まだまだ治療できない疾患も数多く残されており、新しい治療法の開発、応用にも取り組んでいます。 

 学生や初期研修医の教育面では、単に循環器疾患の知識や、手技の習得のみならず、病歴、理学所見を重視し、自分で考え解決して行く能力を養うとともに、患者の立場に立った視点を身につけることを重視しています。後期研修では、循環器専門医の取得が可能ないくつかのコースを整えていますが、内科他科や関連病院と連携をとりながら、総合的な内科研修ができるように配慮しています。さらに専門医の取得のみを目指すことなく、是非研究も行うように勧めています。研究を経験することにより、病態の本質に迫る視点を養うことができ、そのことが視野の広い、奧の深い診療にも結びつくと考えるからです。その研究の内容としては、診療を通じて沸いた疑問を出発点とし、その疑問を解決すべく、基礎研究、トランスレーショナルリサーチを展開して、新しい診断法、治療法の開発に結びつけて行ければと考えております。

 最後に大学病院は患者、学生、研修医、教職員、研究者、外部資金が集まる魅力的な“場”であり、その“場”で人材育成、高度な医療の育成をし、社会貢献して行けると考えております。今後長崎大学循環器内科がそのような“場”となるように努力して行く所存です。