センター紹介

ようこそ分子標的医学研究センターへ
 分子標的医学研究センターは医歯薬学総合研究科の中に2015年7月に発足した新しい研究支援組織です。世の中には分子標的薬という言葉があり、本研究センターもそのような創薬とは無関係ではありませんが、その目指すところはもう少し幅広くまたゆるい研究分野です。本研究センターの英語訳はCenter for Bioinformatics and Molecular Medicine、つまりバイオインフォマティクスと分子医学です。この名称も漠然としていますが、それくらい本センターは色々なものや研究者を取り込む余地があります。唯一基本にしているところは対象とする標的のレベルを分子に絞っているところです。
 本センターでは、メンバーの専門分野を生かし、この目的を念頭において活躍してもらっています。
 具体的に本センターがどのような研究活動を行い、また支援しているのかを簡単に紹介します。

より治療効果が高く、副作用の少ない治療薬
有機合成化学を専門とする水田賢志助教を中心とし、これまでに、インフルエンザ、アスペルギルス、カンジダ、B型肝炎などに対する新規薬剤の開発を行ってきました。現在開発中の低分子化合物にもフッ素を積極的に導入し、より治療効果が高く、副作用の少ない治療薬の取得を目指しています。また、感染症だけでなく、自己免疫疾患、硬組織疾患など、様々な疾患に対するハイスループットスクリーニングを行っており、これら低分子薬剤候補化合物に関してもフッ素を導入し、医師主導型治験を目指した化合物取得を目指しています。

薬剤のアフィニティーを向上させる技術
分子シミュレーションを研究分野とする大滝大樹助教を主として、タンパク質の分子動力学計算や結晶を得ることが困難な創薬標的タンパク質のホモロジーモデリングを行っています。薬剤と創薬標的の相互作用を量子化学計算により解明し、薬剤のアフィニティーを向上させる技術の開発を目指しています。

 このように、長崎大学分子標的医学研究センターでは、創薬シーズの収集、アッセイ系の構築、ハイスループットスクリーニング、化合物最適化合成、医師主導型治験と続くアカデミア創薬に関して、基礎医学という生物学分野だけでなく、有機合成化学や計算科学といった数学、物理学、化学分野における技術を提供し、アカデミア初の医薬品開発が可能になるよう、学内外の創薬サポートを行っています。

分子標的医学研究センター長 益谷 美都子