心臓血管外科 診療・手術内容
狭心症、心筋梗塞に対する手術
心筋を栄養する冠状動脈が、動脈硬化などにより狭窄あるいは閉塞をおこすのが狭心症、心筋梗塞という病気です。そして血流不足の血管に新たな通り道(バイパス)を作成するのが冠動脈バイパス術です。
冠動脈バイパス術は人工心肺装置を使用して広く行われてきましたが、近年人工心肺を使用せずに行う心拍動下冠動脈バイパス術(オフポンプ)も増加傾向にあります。
*「患者さん向け術前説明用紙」は下記よりダウンロード可能です。
冠動脈バイパス術は人工心肺装置を使用して広く行われてきましたが、近年人工心肺を使用せずに行う心拍動下冠動脈バイパス術(オフポンプ)も増加傾向にあります。
―狭心症、心筋梗塞に対する永久的バイパス術の取り組み― |
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冠動脈バイパス手術は安全に行われるようになったものの、吻合部の狭窄の問題や、10年前後でグラフトの変性が起こり、せっかくのグラフトが閉塞してしまうという問題がありました。 1.5ミリ前後の血管を正確に吻合するために、心臓手術にも手術用の顕微鏡を導入し、10倍以上に拡大された視野で精密な吻合を行っております。また、従来グラフトとして使われていた下肢の静脈に代わり、変性の極めて少ない内胸動脈を用いることによりグラフトが半永久的に長持ちするようになりました。 現在、顕微鏡を使って精密な吻合を行い、2本の内胸動脈を積極的に使用することにより、一回の手術で生涯、狭心症、心筋梗塞の恐怖から解放される永久的バイパスの期待が十分もてるようになりました。 |
―高齢者や大きな病気をもった患者さんへの低侵襲バイパス手術― |
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一方、患者さんの高齢化に伴い、心臓手術の半数以上が70歳代となっています。80歳以上の患者さんや、腎不全、脳血管障害などの手術の危険性が高い患者さんも増えており、手術侵襲を少なくする為に人工心肺装置を使わないで心臓が拍動したままで行う心拍動下冠動脈バイパス術(オフポンプバイパス術)も行っております。 吸盤を持った小さな特殊な固定器(スタビライザー)が開発され、吻合に必要な部分だけを固定して手術が行えるようになったため可能になった手術です。 心拍動下バイパス術により、手術の危険が高いと考えられていた患者さんに対しても、より安全に手術を行い、術後も速やかに社会復帰ができるようになりました。 |
弁膜症の手術
心臓弁膜症の手術は、自分の弁組織を切除した後に、人工の弁をとりつける人工弁置換術が一般的です。しかし金属製の人工弁(機械弁)を用いた場合、血液が人工弁の周囲で凝血する血栓塞栓症などの合併症の心配やワーファリン内服による出血の心配があります。
また、ウシの心膜やブタの大動脈弁などを加工した生体弁を用いた場合は耐久性に問題がありました。最近では人工弁の性能もよくなり、これらの合併症も少なくなっています。
一方、自分の心臓弁組織をそのまま残して、病変部分だけを修復する弁形成術の技術が進歩しました。人工弁を用いない心臓弁形成術は、人工弁による血栓症や人工弁の交換などの心配がなく、健康人と同じ生活を獲得できる可能性が十分ある優れた手術方法です。以前のように心臓手術を受けたら普段の生活も制限をしなければいけないというようなことが少なくなりました。
心臓弁形成術はすべての弁膜症で可能ということではありませんが、手術前の診断をもとに患者さんにとって適切な術式を豊富な経験をもとに検討させていただきます。
また心臓弁形成術の適応がある場合には、不整脈や心不全など心筋などのダメージがおきる前の早い時期に手術を行うことが勧められます。
*「患者さん向け術前説明用紙」は下記よりダウンロード可能です。
また、ウシの心膜やブタの大動脈弁などを加工した生体弁を用いた場合は耐久性に問題がありました。最近では人工弁の性能もよくなり、これらの合併症も少なくなっています。
一方、自分の心臓弁組織をそのまま残して、病変部分だけを修復する弁形成術の技術が進歩しました。人工弁を用いない心臓弁形成術は、人工弁による血栓症や人工弁の交換などの心配がなく、健康人と同じ生活を獲得できる可能性が十分ある優れた手術方法です。以前のように心臓手術を受けたら普段の生活も制限をしなければいけないというようなことが少なくなりました。
心臓弁形成術はすべての弁膜症で可能ということではありませんが、手術前の診断をもとに患者さんにとって適切な術式を豊富な経験をもとに検討させていただきます。
また心臓弁形成術の適応がある場合には、不整脈や心不全など心筋などのダメージがおきる前の早い時期に手術を行うことが勧められます。
*「患者さん向け術前説明用紙」は下記よりダウンロード可能です。
胸部・腹部大動脈の手術
大動脈瘤の手術は動脈瘤を切開して人工血管でその部分を置換する人工血管手術が一般的な方法です。しかし動脈瘤によっては比較的大きな皮膚切開が必要となり、多臓器への影響が心配されることから、部位によっては、未だ危険性の高い手術です。
最近は足の付け根の血管から、細い管(カテーテル)を利用して、人工血管をすぼめた状態で、動脈瘤の部位まで持っていき、そこで人工血管を拡張し、血管内に密着させる血管内ステント内挿術も進歩してきましたがすべての動脈瘤に可能というわけではありません。
我々は患者さんの全身状態、動脈瘤の部位・性状を十分に検討した上で、根治性と侵襲性のバランスを十分に検討したうえで、治療方法を決定しています。
*尚、当院では放射線科医師と協力し、以前より積極的に胸部下行大動脈瘤・腹部大動脈瘤のステントグラフト内挿術を行っております。2006年7月からはわが国でも企業性ステントが使用可能となり、当院でもステントグラフト症例の数は増加傾向にあります(手術実績のページをご参照下さい)。
ステントグラフト治療を希望される方はお気軽にお問い合わせください。
最近は足の付け根の血管から、細い管(カテーテル)を利用して、人工血管をすぼめた状態で、動脈瘤の部位まで持っていき、そこで人工血管を拡張し、血管内に密着させる血管内ステント内挿術も進歩してきましたがすべての動脈瘤に可能というわけではありません。
我々は患者さんの全身状態、動脈瘤の部位・性状を十分に検討した上で、根治性と侵襲性のバランスを十分に検討したうえで、治療方法を決定しています。
*尚、当院では放射線科医師と協力し、以前より積極的に胸部下行大動脈瘤・腹部大動脈瘤のステントグラフト内挿術を行っております。2006年7月からはわが国でも企業性ステントが使用可能となり、当院でもステントグラフト症例の数は増加傾向にあります(手術実績のページをご参照下さい)。
ステントグラフト治療を希望される方はお気軽にお問い合わせください。
末梢動脈・末梢静脈の手術
動脈硬化に伴う慢性閉塞性動脈硬化症、別の血管からの塞栓による急性動脈閉塞症による血流障害、また静脈弁の破壊に伴う下肢静脈瘤、近年注目を集める深部静脈血栓症などについても積極的に診断・加療を行っています。症例豊富な関連施設にて手術加療を行う場合もありますが、遠慮なさらずにご相談いただきたいと思います。
また重症下肢虚血を呈するバージャー病の患者さんに対して骨髄単核球移植による血管再生医療も行っております。
また重症下肢虚血を呈するバージャー病の患者さんに対して骨髄単核球移植による血管再生医療も行っております。