長崎大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚病態学分野・長崎大学病院皮膚科・アレルギー科

魚介アレルギー

魚介アレルギーについて

 魚介を摂取後に口腔内の違和感や、蕁麻疹、アナフィラキシーなどの症状が出現します。魚介アレルギーは一度発症すると、他の食物アレルギーと比べて症状の改善が得られにくいと言われいます。また、魚アレルギーの主要なアレルゲンはほぼすべての魚に含有され、複数の魚で症状が出現することが多いです。
 当科では、長崎大学水産学部の協力のもと、魚介アレルギーのアレルゲン検査を行っております。原因を明らかにすることにより、過剰な食事制限の回避し、長期的には低アレルゲン化した食品の開発などを目指していきたいと考えております。魚介アレルギーでお悩みの方は、ご相談ください。
 詳しい検査の流れなどは下記をご参照ください。

魚介アレルギー

 魚アレルギーは成人の新規食物アレルギー発症患者の原因食物としては小麦に次いで、第2位となっています。小児においては他のアレルゲンと比較し、高率にアナフィラキシー様症状を引き起こすことも特徴の一つです。エビ・カニなどの甲殻類も7歳以上の食物アレルギーの原因として頻度が高くなっています。
 魚介アレルギーは一度発症すると、寛解が得られにくいと言われており、過度な長期的な食事制限によりビタミンDの不足などの健康問題が懸念されます。
 当科では、長崎大学水産・環境科学総合研究科、水産利用学研究室(濱田先生)の協力のもと、希望されれば抗原の精査を行っています。

原因

 魚アレルギーの主な抗原はパルブアルブミン、コラーゲンというタンパクが知られています。しかし、まれに未知のタンパクが抗原となることもあります。主な抗原のパルブアルブミン、コラーゲンはほぼすべての魚に含まれており、複数の魚にアレルギー反応を示すことが多いです。しかし、その含有量は魚種や部位によって異なっており、魚アレルギーの人でも魚が摂取できる場合もあります。
 甲殻類・貝類の主な抗原はトロポミオシンというタンパク質です。こちらも、抗原が共通していますので、例えばエビにアレルギーのある人はカニでもアレルギー反応を示すことが多いため、注意が必要です。

検査

 魚介アレルギーで受診された際には下記のような検査を行います。

  • 血液検査:
    特異的IgE(当院で検査可能な項目:タラ、マグロ、サケ、サバ、アジ、イワシ、カレイ、エビ、カニ、ムラサキイガイ、ロブスター、イカ、タコ、ホタテ、アサリ、カキ)
  • 皮膚テスト(プリックテスト):
    特殊な1㎜程度の針で皮膚に抗原を少量入れて、15分後に皮膚の反応をみます。アジ、サバ、エビ、カニについては当科にある抗原を使用します。その他の魚介であれば、後日持参いただき行います。

 さらなる精査の希望があれば、通常の採血の際に9ml程度多く血液を採取し、長崎大学水産学部で、抗原の精査を行います。結果がでるまで数か月かかりますので、結果がでしだいご連絡します。

治療

 反応性が高い魚介類については、抗原の回避が必要となります。抗原によっては、水溶性のものや、加熱により抗原性が低下するものもありますので、結果に応じて食事の提案を行います。将来的に長崎大学水産学部と連携して、低アレルゲン化した食品の開発につなげたいと考えています。
★精査ご希望の方は、近くの皮膚科クリニックでアレルギー外来(火曜日午後)への紹介についてご相談ください。
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