原爆復興70周年記念事業

映画「母と暮せば」公開記念企画展
 ~今ここにボクがいる理由~ 開催にあたって

 被爆70年という節目の年。「平和」について改めて考えるよい機会ですが、従来通り正面から対峙する平和教育では、とっつきにくく腰が重いと感じている人は少なくないかもしれません。殊に戦争を体験していない世代においては、大事なこととは感じていても、身近なきっかけがなく改めて真剣に考えるまでに至らないことも多いと思います。
 そこで私たち長崎に住む大学生有志は、「平和」を広義の意味で捉え、「日々勉強ができる日常」「大切な人と過ごす温もりに包まれた生活」「生きている今この瞬間」など、平穏な日々が戦争のない平和のもとに成り立っていることを感じる場を提供したいと集まりました。
 幸いなことに、山田洋次監督が、ここ長崎を舞台に主人公が旧長崎医科大学(現長崎大学医学部)の学生である映画「母と暮せば」を制作され、2015年12月12日より公開されています。
 山田監督も「長崎原爆を次世代に語り伝えたい、残したい」「原爆というものについて今一度考えるきっかけにしたい」という想いを映画に込めているそうです。私たちの想いもそれに似ているものがあると共感し、映画「母と暮せば」を通して、まずは広義の「平和」について考えるきっかけになる場を作りたいという想いで、今回の企画展開催にいたりました。
 企画展は2016年1月4日~1月15日まで長崎大学医学部キャンパスの良順会館にて行われました。
映画の世界観を表現しながら、映画の流れに沿った5つのテーマ「被爆前の日常」「1945年8月9日」「3年後」「大切なひと」「おとなの覚悟」で展示を行いました。被爆前後の旧長崎医科大学や長崎の様子がわかる写真、被爆された方へのインタビュー、学生自ら制作した当時の長崎のジオラマ展示、大切なひとに想いを伝えるオリジナルメッセージカードの設置、山田監督をはじめ社会で働く方たちの覚悟や大切にしている想いを知る色紙の掲示、山田監督からのオリジナルビデオメッセージの上映など、学生ならではの視点で、従来の平和教育や講義等とは異なる切り口から「平和」を考える企画展となりました。原爆によって一瞬にして奪われたものは「特別なものではなく私たちと同じ日常であった。」ということを、来場者の皆様が感じてくださっていると嬉しいです。
 私たちの企画展は終わってしまいましたが、改めて平和教育について考えるきっかけや、今のかけがえのない日々を大切に生きようと思うきっかけとして、この企画展が少しでも心に残る存在であればと思います。多くの方にご来場いただきまして、誠にありがとうございました。また、改めまして、本企画にご賛同頂き、ご協力いただいた方々に深く感謝申し上げます。

 

長崎被爆70年学生企画 学生実行委員会

長崎被爆70年学生企画展① 長崎被爆70年学生企画展② 長崎被爆70年学生企画展③