研究内容

 少子高齢化社会では、高齢者の身体の機能低下を緩やかにし、健康寿命を延伸する必要があります。健康寿命の延伸は、個人の生活の質を改善するだけでなく、医療費や介護福祉費の抑制し、社会全体の経済基盤を保持することにつながります。また、健康寿命の延伸を目指すためには、加齢に伴う生体機能の低下や関連疾患の発症に関する分子メカニズム解明とその成果の応用が重要です。

 健康寿命の延伸を目指すために、私達ができることはいったい何でしょうか。病気を克服するための薬の開発が、真っ先に思い浮かぶと思います。しかし、病気になってから対処しては、新の健康寿命の延伸にはつながりません。今注目されていることは、カロリー制限が健康寿命の延伸の最も有効な手段であることです。カロリー制限とは、いわゆる腹八分を示します。

 当研究室では、カロリー制限における寿命延長効果に着目して研究を行っています。カロリー制限を行うと下等生物(酵母、線虫)から齧歯類(マウス、ラット)や霊長類(サル、ヒト)に至るまで、寿命が延長することが知られています。またカロリー制限は、がん、心筋梗塞、生活習慣病などの発症率を抑制します。しかしながら、その分子メカニズムは未だ解明されていません。私達は、遺伝子改変マウスを用いたリバースジェネティクス法、次世代シークエンサー解析を中心とした分子生物学的手法、バイオイメージングを中心とした分子病理学的解析、生細胞ライブイメージングを中心とした細胞生物学的手法などを用いて、学際的に研究を展開しています。また当研究室は、27年間、国内では唯一の齧歯類モデルを用いたカロリー制限研究を行うグループとして知られています。


マウス 4レーザー共焦点顕微鏡 細胞遊走・増殖の様子(マウス由来正常ケラチノサイト)
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