患者さんへ
手術の麻酔について
 手術を受けられる患者さんは、大きな不安をお持ちのことと思います。その不安の中には、麻酔に対する不安も多いと思います。「麻酔が十分効くのだろうか?」「終わったあとに目覚めるのだろうか?」「手術後はとても痛いのでは?」などの疑問をお持ちの方も多いと思います。長崎大学病院では、毎日30~40人の患者さんが手術を受けられています。私たち麻酔科医はその中の多くの手術に立ち会い、患者さんが痛みや苦痛を感じることなく手術を受けられるよう、また、安全に手術を終了し少しでも早く元気になれるよう努力しています。
 手術の際の麻酔法には、大きく分けて局所麻酔、全身麻酔があります。局所麻酔の手術は、基本的に患者さんの意識がある状態で行われる手術です。これには、外科医が手術する部位に直接注射をする麻酔(狭い意味での局所麻酔)と神経や脊髄に作用するお薬を使用して下半身や体の一部の感覚を麻痺させる麻酔(脊髄麻酔や硬膜外麻酔など:区域麻酔とも呼ばれます。)があります。全身麻酔は、完全に意識や記憶がない状態で手術が行われます。大学病院で行われる手術の7割は全身麻酔です。全身麻酔と区域麻酔の手術はすべて私たち麻酔科医が麻酔を行います。私たち麻酔科医の業務は、患者さんの痛みや苦痛を取り除くことだけでなく、手術中のいろいろな状況により変化する患者さんの体の状態を把握し、安定した状態を維持できるよう治療することです。
 手術や麻酔を受ける前には、麻酔科術前外来を受診していただきます。麻酔科術前外来では、麻酔の紹介ビデオやパンフレットを用い、手術前、手術中、手術後の詳しい流れについて、初めて受けられる方にも分かりやすく説明いたします。麻酔科術前外来では、問診票(麻酔科からの質問事項にこたえていただくアンケートのようなもの)に記載をしていただきます。さらに、常用しているお薬がある場合、必ずお薬の種類や量などを確認させていただきます。手術当日にも必ず内服が必要なものや、逆に手術前に休薬が必要な薬もあります。確実な情報を頂くためにお薬手帳の持参をお願いしております。これらの情報を得ることにより、患者さんのお体の状態を私たちが十分に把握することができ、安全に手術を受けていただくことにつながります。
 麻酔を含め、すべての医療行為は残念ながら100%安全とは言えません。少ない可能性ですが、合併症の可能性もあります。手術にはいろいろな種類があり、手術を受ける患者さんの状態も様々です。患者さんそれぞれに起こりうる合併症の可能性について説明し、十分納得のうえで治療を受けていただくよう心掛けています。手術までにご不明な点や心配な点がありましたら、遠慮なく質問してください。長崎大学病院では、多くの麻酔科指導医や麻酔科専門医が十分な態勢で研修医と一緒に麻酔を行っています。患者さんの病状や手術の大きさを配慮して、安全かつ質の高い診療を第一としています。
手術件数の推移
2013 2014 2015 2016 2017 2018
総手術件数 8328 8268 8446 8805 9516 9806
麻酔科管理件数 5770 5552 5713 5940 6566 6808

手術麻酔
臨床研究について
 大学病院では、いろいろな臨床研究を行っています。より質の高い麻酔の方法やお薬の使用方法を開発するための研究です。患者さんが研究の対象としてふさわしいと判断した場合、ご協力をお願いすることがあります。その際には、研究内容について十分説明いたします。参加については患者さんの自由意思ですので、もし断られた場合も何の不利益もありません。参加される場合、患者さんのプライバシーや安全性を最も重視して行います。             
 これとは別に、手術が終了した後の患者さんを対象として、振り返って麻酔中のデータなどを収集・解析して研究発表を行う場合があります(レトロスペクティブ研究)。これらについては、当ホームページに公開しております(http://www.med.nagasaki-u.ac.jp/anesthes/research/retrospectivestudy.html)。もちろん、患者さんのプライバシー等については十分配慮して行われますが、もしご質問等がある場合は担当者までご連絡ください。