長崎大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚病態学分野・長崎大学病院皮膚科・アレルギー科

臨床・研究活動

研究活動

長崎の地域的特徴を活かしたユニークな臨床と研究を通して、
地域に根差し、世界に伸びる

研究概要

 皮膚科学講座が独立し、第9代教授 野北道夫先生によりアレルギー、感染症(真菌感染症)、代謝異常、皮膚腫瘍、皮膚生理学に関する研究が展開されました。第10代教授吉田彦太郎先生はアトピー性皮膚炎と家塵ダニ抗原の研究、第11代教授片山一朗先生は皮膚免疫アレルギーに関する研究、第12第教授佐藤伸一先生は全身性強皮症の研究、第13第教授宇谷厚志先生が細胞外マトリックスの研究を展開されました。第14代教授室田浩之就任以後もCreative professionalの育成を目指し、特色ある研究を行っています。

新興アレルギーの実態把握とその対策

 時代変遷に伴う生活習慣の変化はアレルギーの発症に大きく影響しています。新興アレルギーの実態を把握すべく疫学調査や観察研究に取り組んでいます。最近では思春期コホートを対象とした口腔アレルギー症候群の実態調査、職業病である手湿疹に対する介入研究を行っています。

アレルギー疾患の長期寛解維持のための基礎研究:汗と痒み過敏

 アトピー性皮膚炎の長期寛解維持を達成するためにその障壁となる悪化因子、特に汗による悪化と痒み過敏のメカニズム解明に取り組んできました。 これまで汗腺の動きをライブイメージングする世界初の試みに成功するとともに、汗が汗腺から組織中に漏出する機序を解明し、汗中代謝産物の網羅的解析を行った結果、炎症が汗を悪化因子にすることを報告してきました。最近では定量的発汗試験を用いて分子標的治療が発汗に及ぼす影響を研究しています。
 また痒みの”過敏”に注目した研究を展開しています。これまで私たちは表皮、真皮、そして神経栄養因子arteminが痒み過敏に関わる機序を報告してきました。最近は皮膚組織の透明化技術を応用した皮膚末梢神経の3D描出により痒み過敏を生じる神経の形態的特徴を研究しています。また懸案事項であった痒みの客観的な評価方法の確立に向けて独創的かつ多角的な研究を進めています。

発汗を制御する全く新しい創薬シーズの創出

 指定難病である特発性後天性全身性無汗症の病態解明のため、汗の出ている部位と出ていない部位の汗腺を単離しトランスクリプトーム解析を行うことで発汗制御に関わる遺伝子を探索してきました。その成果は想像も出来なかった結果を生み出しつつあります。

長崎の歴史に根ざした研究テーマ

 真菌感染症、皮膚腫瘍、遺伝疾患にも力を入れています。多くの皮膚疾患の病態に皮膚常在細菌叢が関わっています。私たちは乾癬など炎症疾患の病態における常在真菌の関与に着目し、分子標的治療前後でマイコバイオーム評価を行っています。腫瘍では悪性腫瘍やケロイドのような治療選択肢の限られている皮膚腫瘍の比較的低侵襲な治療の確立にむけて取り組んでいます。遺伝子疾患では弾性線維性仮性黄色腫の遺伝子診断および患者登録を継続しています。

長崎県の豊富な海洋資源を活かした研究

 長崎の海岸線の距離は国内第2位です。海岸線の複雑さは海洋生物の多様性を生み出します。長崎大学では豊富な海洋資源を社会に活かし、学際的に海産資源から得られる天然化合物を活かした研究と創薬を行っています。長崎大学皮膚科では水産学部と共同で魚介アレルギーの抗原同定と患者指導の確立に向けた取り組みを行なっています。
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