長崎大学医学部法医学教室は大正11年(1922年)に開講され、約90年つづく日本でも有数の歴史ある教室です。この間、長崎県における法医学の教育や法医解剖鑑定の中心的役割を果たしてきました。
現在の活動は、法医学教育、法医鑑定実務(司法解剖、承諾解剖、検死・検案、親子鑑定等各種鑑定)、研究を3つの柱として行っています。
設備面では日本全国の法医学講座のなかでも特段の設備を有しています。具体的には、生化学系(血清免疫学)、組織形態学系(病理学、解剖学)実験室、組織培養実験室、ドラフト室等の各種実験室だけでなく、大規模災害に対応可能な複数の解剖台のある厳重な感染防御対策を施した法医解剖室、さらに各種測定機器を配備した分析室を有しています。
また、死体専用CTを活用した死後画像診断の施行とNAGINATAシステム(GC-MSを用いた毒薬物スクリーニング定量システム)の導入をはかり、法医解剖だけでなく死体検案においてもこれらの機器を活用することによって死因診断の精度向上に務めています。
近年の社会情勢の変化(無縁死、過労死、児童虐待等)に伴って、社会における法医学の重要性は増大しています。長崎大学医学部法医学教室は「法医学とは、法律に関わる医学的諸問題を広く取り扱い、これらに対して医学的に公正な判断を下していく学問である。」を座右の銘に日々の活動に取り組んでいます。 |