平成24年6月に死因究明二法いわゆる「警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律(死因・身元調査法)」及び「死因究明等の推進に関する法律(推進法)」が議員立法で制定されました。それに伴い文部科学省は「歯学教育モデル・コア・カリキュラム」のなかで死因究明に携わる人材の育成を目標としています。しかし,全国で歯科法医学講座を有する大学は29学部中わずか10学部しかなく歯学を学ぶ全ての学生へ十分な教育が行われているとはいえません。そのようななか,長崎大学は平成27年4月に歯科法医学講座が設置され,また,死因究明医育成センターに歯科医師2名が 配置され文部科学省が推進する人材の育成を行うための最適の環境が揃っているといえます。
死因究明医育成センターでは,法医解剖や検案に参加し,歯牙鑑定や御遺体の年齢,生活背景の推定を行い、全例ではありませんが,死因究明に貢献できるのではないかと実感しています。今後予想される大規模災害や孤独死の増加など社会状況の変化に伴い,歯科医師が歯科法医学分野に触れる機会は増えていくことが予想されます。現在,臨床実習では,死後の口腔内写真から所見を採取し,生前カルテ所見と比較照合しディスカッションしながら身元の確認を行う実習を実施しています。これまで講義中心であった歯科法医学教育に臨床実習を組み込むことは,学生にとって良い刺激となっており,全国的にみても珍しいこの取組みを継続していくことは,歯科法医学分野に寄与できる人材の育成に繋がり大変有意義であると考えます。 |
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法歯学についての授業は何度か受けたことがあるが、今回のように具体的な実習は初めてで大変勉強にな2~3か月はたっており、孤独死である。現在日本は超高齢社会である。さらに核家族化しており地域や社会とのかかわりも薄くなっているといわれている。そのため今回のようなケースが増えていくかもしれないなと感じた。そうなればより歯科医の手も必要になってくるだろう。また高齢者の口腔内疾病構造も変化してきている。残存歯も多くなってきており顎骨の状態も良い人が増えている。日々臨床の場で口腔内を観察している人が個人識別に協力する、ということが意味を持つのだろうと思った。今回資料作成も体験することができた。思っていたよりも大変で、経験してみなければすべきことや手順がわからないため全体の流れがわかってよかった。ご遺体を目にするのは少し緊張したが、歯科医が実際に必要とされているんだなということがわかって興味が増したので解剖にたちあえてよかったと思う。 |
私たちの法歯学臨床実習では実際の解剖に立ち会うことができた。
4年で法歯学の授業と試験を受け、なんとなく歯科医師の法歯学の重要性を学ぶことができたが、実際に本当の木乃伊を見て、歯の咬耗や歯の欠損部位、歯槽骨の吸収度、横口蓋縫合などで経験のない私たちでも推定年齢に近い年齢をあてることができ、法歯学への歯科医師の重要性をさらに身にしみて感じることができた。
最近、熊本の大震災など自然災害が絶えないが、歯科医師が法歯学として本人のカルテを見つけるためにみんなが協力していかなければならない。そのために実際の木乃伊や法歯学実習をして、歯科医みんながこれからの法歯学に貢献していかなければならない時代にいることを学んでいくべきだと感じた。また医学の進歩により、医学と歯学の連携の重要性が求められている。そのために私たち歯科医師は全身疾患について、医師は歯科について情報を共有しあい、理解をしていかなければならないと感じた。今回、木乃伊を実際に見てとても衝撃的だったが、とても法歯学について興味を持つことができた。 |
以前、交通事故死の御遺体の検死を見学させていただいたこともあり、今回の実習での見学は交通事故死の御遺体と木乃伊化した御遺体との違いに驚きました。木乃伊というとニュースや映画の中でしか見たこと、聞いたことがなく、非常に貴重な経験となりました。法歯学的な内容は交通事故死と特に変わりはなく、歯牙所見をとり、年齢・性別を推定するものでしたが、御遺体の状態やにおいなど、前回とは全く違う見学となりました。さらに死因推定や身元確認について山本先生からご説明をいただき、単純にその住居から発見された御遺体がそこの住人であるとは限らないことや木乃伊化している場合など損傷が激しい遺体については骨折があったとしてもそれが生前に生じたものとは限らないなど、思い込みによる判断の恐ろしさを学びました。それは歯科診療においても当てはまり、最初から思い込みで一部分しか診ようとしなければ、重大なミスを起こす可能性があることに改めて気づかされました。法医学・法歯学の講義を何度も聴講させていただいていますが、やはり写真だけでみるものと実際に経験するとでは理解度が全くことなると実感しています。少しでも法医学に協力できる歯科医師になりたいと思います。 |
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